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バルサ指導者が語る最強の理由
世界最高の下部組織が生んだ究極のサッカー
決勝のスタメンには9人がカンテラ出身の選手が並んだ。バルセロナの強さは下部組織から一貫した哲学にある
決勝のスタメンには9人がカンテラ出身の選手が並んだ。バルセロナの強さは下部組織から一貫した哲学にある【Getty Images】

 これほどまでに強いチームがあっただろうか。クラブワールドカップ(W杯)決勝でバルセロナがサントスを終始圧倒し、4−0で完勝した。では一体なぜ、バルサはここまでサントスを圧倒することができたのだろうか? その答え知るために、バルサに縁の深い2人の指導者を訪ねた。カルレス・ロマゴサとダビッド・エルナンデス――。


 彼らはバルサのメソッド部門の責任者であるジョアン・ビラとともに『サッカーサービス』という組織を作り、カタルーニャ地方のみならず、世界中でプロ選手のコンサルティングや育成年代の選手を指導している。かつてカンテラのコーチとして、セスクやピケを指導したカルレス。プジョルのパーソナルコーチとして、日々プレーのアドバイスを送っているダビッド。バルサの哲学を知り尽くす2人に、バルサ最強の理由を直撃した。

バルサの哲学は「スペースを作り、埋める」

――クラブW杯決勝をスタジアムで観戦し、どのような感想を持ちましたか?


ダビッド この試合ではすべてにおいてバルサがサントスを上回りました。それが4−0という結果に表れています。バルサのサッカーが機能している時に、それを止めるのはどんなチームであっても難しいものです。攻撃面では、バルサの哲学である「スペースを作り、埋める」というプレーを90分間、やり続けました。サントスの選手はその動きにどう対応すればいいか、まったく分かっていませんでした。サントスがなすすべもなく敗れたように見えたのは、彼らが弱いチームだからではなく、バルサが素晴らしいプレーを見せたからです。


――「スペースを作り、埋める」動きを具体的に説明してください


ダビッド バルサのシステムは1−3−3−2−2でした。GKはビクトル・バルデス。3バックはプジョル、ピケ、アビダル。中盤の下がり目にブスケツ、その前にシャビとイニエスタ。中盤の上がり目にメッシとセスク。ダニエウ・アウベスとチアゴ・アルカンタラをウイングに配置し、センターFWのポジションに選手を置かないシステムです。

 攻撃を例に挙げると、中盤のシャビ、イニエスタ、ブスケツは常に数的優位を保ち、味方のためにスペースを作る動きをしていました。例えばブスケツがピッチの中央でボールを持っている時、シャビは右サイドのタッチライン際へと開いていきます。サントスの左MFは外へ開くシャビについていくと、メッシへのパスコースを空けてしまうことになります。そこで、左MFがメッシへのパスコースを消すことを選択すると、シャビはタッチライン際で悠々とボールを受けることができます。シャビはとても賢い選手なので、中盤の5人がプレーしやすいように、味方のためにスペースを作る動きを常に続けていました。


 これは1つの例ですが、90分を通じてバルサの選手たちは、チームとして1つの生き物のように動いていました。なぜこのようなプレーができるのか。それは、ピッチに立つ11人のうち、9人がカンテラ(下部組織)出身だからです。彼らは「スペースを作って、埋める」というバルサの哲学を長い期間、一緒に学んできた選手たちなのです。

セスクのスペースを突く動きがゴール量産に

――スペースを作り、埋める動きを前線で行っていたのが、セスク・ファブレガスです。カルレスはセスクが10歳のころにカンテラで指導していますが、彼のプレーをどう見ていますか?


カルレス セスクが加入したことによって、昨季と比べて、ほかの選手のプレーの選択肢が増えました。セスクは「いつ、どこのスペースに動くか」をチームのために考えて実行できる選手です。彼は試合中、スペースを探し続け、次々に入っていきます。セスクはシャビやイニエスタと比べて、相手のディフェンスラインの裏のスペースを見る能力に非凡なものがあります。サントスは1失点目の後に3バックにシステムを変更しましたが、それによってできたスペースをセスクがどんどん突いていました。それが、次々にゴールが生まれた要因の1つでもあります。


――クラブW杯決勝は、バルセロナがネイマールをどうストップするかという見どころもありました。ダビッドはプジョルのパーソナルコーチとして、プレーの改善に取り組んでいますが、彼のプレーをどう評価しますか?


ダビッド 試合を通して、的確なディフェンスをしたと思います。試合開始直後はネイマールに対して、激しくプレッシャーをかけるのではなく、自陣ゴール前にできるスペースを埋めることと、自分の裏のスペースを使われないことに意識を向けていました。試合が進むにつれ、「スペースは使われないな」と判断した時から、少しずつ前への圧力を高めました。時間の経過とともに、ネイマールに入るパスを何回かカットする場面があったと思います。プジョルはわたしたちとともに、相手選手との間合いの取り方などを勉強しているので、試合の中で徐々に変えていくことができます。ネイマールは世界有数のFWですが、プジョルも世界トップレベルのDFです。そんな2人の対決はとても見応えがありました。

鈴木智之

スポーツライター。『サッカークリニック』『コーチユナイテッド』『サカイク』などに選手育成・指導法の記事を寄稿。著書に『サッカー少年がみる みる育つ』『C・ロナウドはなぜ5歩さがるのか』『青春サッカー小説 蹴夢』がある。TwitterID:suzukikaku

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