全日本女子、チーム力でつかんだ世界王者ブラジル撃破=バレーW杯 自信取り戻す大きな1勝で五輪への夢つなぐ
悪い流れを断ち切った木村の一撃
勝負どころでスパイクを決めた木村 【坂本清】
第3セット終盤、23−19から23−22まで追い上げられたとき、苦い記憶がよぎった。
昨年の世界選手権(東京)で、女王ブラジルをセットカウント2−0と追い詰めながら、まさかの逆転負けを喫した準決勝。そしてちょうど1週間前、フルセットで5−1とリードしていたにも関わらず、追い上げられて敗れた中国戦。3位以内に与えられるロンドン五輪出場権獲得を目指した今大会、7試合を終えて4勝3敗と日本にとって厳しい展開を招いた要因であり、課題とされていた「連続失点を断ち切る」という大きなポイントとまたも直面することとなった。
24−22とするか、23−23になるのか。リベロの佐野優子(イトゥサチ/アゼルバイジャン)は二段トスをレフトの木村沙織(東レ)に託す。次の瞬間、クロスに刺さるようにスパイクが決まり、日本がマッチポイントに到達した。
佐野はこう言った。
「一番苦しいところでサオリ(=木村)が決めてくれた。流れを引き寄せてくれました」
25点目も木村が決め、ブラジルに日本国内の試合では2001年以来実に10年ぶりとなるストレート勝ちを収めると、ベンチの選手も一斉にコートに立つ選手のもとへと駆け寄る。
ブラジルに勝ったこともうれしい。だがそれ以上に、自分たちがすべきバレーをできたことがうれしかった。
木村の言葉が弾む。
「小さなことかもしれないけれど、きっかけをつかむことができました」
反省や課題が目立っていたブラジル戦前
ストレートで敗れたセルビア戦、がっくりと肩を落として引き上げる竹下(右)と佐野 【坂本清】
「今の日本チームにあのクイックをブロック、ディフェンスするのは難しいというのが現状です」
そして、途中出場したチーム最年長のベテラン、森和代(岡山)は敗因をこう述べた。
「日本がセルビアに対して組んだシフトに対して、セルビアは『日本がこう来たから、こう攻めよう』と利用してきた。ブロックで止まらないならサーブで攻めようと思って深めに打っても、オーバー(ハンド)でボールを処理して、多少崩れてもクイック、コンビを使ってくる。試合中はずっと、相手が優勢でした」
完敗だった。
続く第7戦、韓国には3−0で快勝したが、連続失点を喫する場面や、防げるミスが幾度も生じるなど、合格点を与えるには程遠い内容だった。もっと簡単に勝つこともできたのではないか。勝たなければならないのではないか。勝利はしたものの、2戦を終えた時点では反省や課題ばかりが目立った。