イチロー検証<その3>:今季の成績は、契約交渉の不利となりうるか?
年1000万ドルがたたき台に?
過去の実績や“イチロー・ブランド”の評価は? 【Getty Images】
別の記者はただ、もう少し厳しい見方をしていて、「出来高をすべてクリアして初めて、年1000万ドルに届く契約になるだろう」と予想した。
「基本年棒は500万ドル(約3億9000万円)程度。打席数や観客動員数などをクリアすることで、ボーナスが加算される」
確かに、この年齢になってくると、契約の半分程度をインセンティブが占めるという可能性は高い。ちょうど、ケン・グリフィー・ジュニアが2年前にマリナーズと契約を交わしたときがそうで、観客動員数、打席数などが実に複雑に絡められていた。
貢献度を考えれば、チームにとってはバーゲンプライス
イチローが攻守両面で創出するであろう得点数などをもとに算出した結果、向こう5年間で25勝分と算出し、前年のFA選手がもたらした1勝分の平均コストが400万ドルだったことから、そこにインフレ率など加味した数字を掛け合わせてイチローの市場価格を5年、1億2100万ドルとはじき出すと、「今回の契約は、マリナーズにとってバーゲン価格だ」と評価した。
今回もそれに倣えば、仮に3年契約とした場合、イチローの貢献度は向こう3年間で5勝分となった。
1勝分のコストの算出が難しいが、暫定的に500万ドルと設定すれば、3年2500万ドルというのが、セイバーメイトリックス的なオファー額。そしてここに、イチローという付加価値が加わることで、総額は3年3000万ドルを越えてくると予想できる。再契約のボーナスまで含めれば総額は4000万ドル前後か。
見積もり要素がやや大雑把なので、あくまで目安だが、チームがもしも3年3000万ドルでイチローと再契約できれば、やはりバーゲンプライスということになるかもしれない。
さて、今年も例年通りの数字であれば、契約交渉がもっとすんなりいったであろうとは予想できるが、チームとしては契約を延長する方向で固まっている。
オフの間に交渉が順調に進めば、マリナーズが日本で開幕戦を行う場合、その場で契約発表が行われるかもしれない。
<了>