トラブル続きも戦い続けた63周 最後のインディジャパンにかけた佐藤琢磨の想い

吉田知弘

2度目のインディジャパンとなった佐藤琢磨 【撮影:吉田成信】

 米国最高峰のモータースポーツ、インディカー・シリーズの第15戦「インディジャパン」が16日から18日まで栃木・ツインリンクもてぎのロードコースで行われ、ポールポジションからスタートしたスコット・ディクソン(チップ・ガナッシ・レーシング)が優勝した。今年で参戦2年目となる佐藤琢磨(KVレーシング・テクノロジー)は10位、昨年までインディカー・シリーズで戦い、今回スポット参戦した武藤英紀(AFS/サム・シュミット モータースポーツ)は18位だった。

 1998年から開催されてきた同レースだが、今年をもって日本での開催に一区切り。サーキットには、3日間で73000人もの観客が訪れた。

結果を残して戻ってきたインディジャパン

 2010年にKVレーシング・テクノロジーからフル参戦を果たした琢磨。しかし、今まで走ってきたF1とは全く特徴の異なるマシンやオーバルコースでのレースに悪戦苦闘。トラブルやクラッシュでリタイヤするレースが多く、ランキング21位と下位に低迷する不本意なシーズンとなった。

 しかし、KVレーシング・テクノロジーに残留して迎えた2年目のシーズン。環境に慣れた琢磨は、徐々に元F1ドライバーの実力を発揮し始める。開幕戦で自己最高の5位を獲得すると、第8戦アイオワでは日本人史上初のポールポジションを獲得。第10戦エドモントンでもポールポジションを獲得するなど、昨年残せなかった“結果”を出して、今回のインディジャパンに乗り込んできた。

マシンセッティングに苦しむ

 ファンとの交流がメインとなる金曜フレンドシップデイでは、早朝から熱心なファンがサーキットに訪れ、全ドライバーが出席して行われるサイン会でも1000人以上が並ぶほど大人気だった琢磨。しかし、肝心の走りでは、マシンのセッティングが決まらず、苦しむこととなった。土曜の午前中に行われた練習走行では26位と、まさかの最下位。さすがに、応援に訪れたファンの表情も曇りがちだった。

 午後から開始された公式予選(※)では、第1セッションこそ辛くも突破。だが、当初目標としていたファスト・シックス(第3セッション)進出はならず、11位で予選を終えた。「第3セッション進出を目標にしていただけに悔しい。決勝では追い上げます」と悔しさをにじませていた。

※予選方式=3回のセッションが行われる。第1セッションは参加全ドライバーを2グループに分けてタイムアタック。第2セッションは、第1セッションの2つのグループの上位6台、合計12台が同時にアタック。第3セッションは、第2セッションの上位6台が同時にタイムアタックし、計測されたラップタイム順にポジションを決定する。

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著者プロフィール

1984年生まれ。幼少の頃から父の影響でF1に興味を持ち、モータースポーツの魅力を1人でも多くの人に伝えるべく、大学卒業後から本格的に取材・執筆を開始。現在では国内のSUPER GT、スーパーフォーミュラを中心に年間20戦以上を現地で取材し、主にWebメディアにニュース記事やインタビュー記事、コラム等を掲載。日本モータースポーツ記者会会員

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