セリーナ「言ったことを後悔している訳ではない」=コメントで振り返る全米オープンテニス・女子編
全米テニス女子シングルス決勝で主審に抗議するセリーナ・ウィリアムズ 【Getty Images】
本来なら、この日には男子決勝が行われるはずだったが、度重なる悪天候の影響でスケジュールがずれ込んだため、9月10日に行われるはずの女子決勝が、翌日の日曜日に開催されたのだ。
その記念すべき決勝の舞台に立ったのは、米国のセリーナ・ウィリアムズと、オーストラリアのサマンサ・ストーサー。10年前、同時多発テロが起きるわずか3日前にも同じ舞台で戦っていたセリーナ・ウィリアムズが、メモリアルな日に再び世界の頂点をかけニューヨークで戦うというシナリオは、天の配剤のようにすら感じられた。
テロから10年、それぞれの9.11
準決勝でウォズニアッキを破った瞬間、セリーナはまるで優勝したかのように、体を反らせて高々と飛び上がると、全身で喜びを表現した。
「ワシントンDCに居たの。早朝の便で着いた時、誰も空港に居なくて奇妙に思ったことを覚えているわ。それから1週間は飛行機が飛ばなくてDCに足止めされたわ」セリーナ・ウィリアムズ
2001年9月11日には、セリーナは姉(ビーナスではない)を訪ねて、ワシントンDCに居たという。
「その日は大会のために、日本に居たわ。私たちは5人のグループで一緒に行動していて、その内の一人が『テレビを見た!? 凄いことが起きてるのよ』と部屋に電話をしてきたの。でも当時17歳の私たちにとり、何が起きているのか正しく理解するのは難しかった。特に日本だから、あまり英語の情報が得られなかったし。でもとてもショックを受けたし、いろいろと情報を集めて、可能な限り何が起きているのかを理解しようとしたわ」ストーサー
9.11が起きた時、当時17歳のストーサーは、日本で開催中のITFトーナメント(WTAツアーの下部レベルに相当する大会)を連戦している最中だった。この時、ストーサーは4連続で行われた大会のうち3つで優勝し、グランドスラムチャンピオンに向けて、小さな一歩を踏み出したばかりだった。
セリーナは素直にストーサーを称賛
全米オープン女子シングルス決勝でセリーナ・ウィリアムズをストレートで破り、初優勝を飾ったストーサー 【Getty Images】
不幸だったのは、第2セットの序盤に起きた一つのアクシデントが、この上質のプレー以上に大きく、メディアに取り上げられてしまったことだろうか。
フォアの強打を放ったセリーナは、その直後に「カモン!」と叫んだが、これがプレー妨害とみなされ、相手のポイントになってしまったのだ。納得いかないセリーナは、主審に抗議する際に暴言を吐き、これにより2000ドル(約15万円)の罰金を課されたのである。
「あれは、ウィナーになると思ったのよ。でも彼女(ストーサー)はラケットを伸ばして、ちゃんとボールに触ったのよね。凄いわ。
コート上に居る時はとても興奮しているから、主審に何を言ったか良く覚えて無いの。でも、言ったことを後悔している訳ではない。私が残念に思うのは、負けてしまったこと。でも今日は、私にできることは何も無かったわ。サム(サマンサ・ストーサー)は、本当に本当に、いいプレーをしたもの」セリーナ・ウィリアムズ
試合後の記者会見。件の出来事に質問が集まる中、セリーナは素直に相手のプレーを称賛した。
「10年前の私は、グランドスラムで優勝する日を夢見てはいたけれど、1万ドルの大会と夢のあいだには、ものすごく遠い隔たりがあった。その距離を少しでも縮めるため、今日に至るまで少しずつ小さなステップを積み重ねてきたのよ」ストーサー
10年前に日本に居た頃、グランドスラムで優勝する日が来ると思っていたかと聞かれ。ダブルスの名手としてまずは名を馳せ、20代後半にてキャリアのピークを迎える、遅咲きのチャンピオンらしいコメントである。
<了>
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