俺の部屋に大洋ホエールズ時代の『ライオン丸』ことジョン・シピンの白黒パネルがあるのだ。
　その写真は、まさしくライオン丸そのもので、懐かしい『Ｗ』のマークのヘルメット（そー言えば、シピンはセカンド守備の時もヘルメットだったなぁ……）からはみ出した長い髪は獅子のたてがみのごとく広がり、ひげはアゴまでボウボウと伸び放題、そのひげの上の白い歯はライオンの牙のごとく。写真であるにもかかわらず、今にも獲物を食いちぎろうとしているようにさえ見えるのである。
　最近、そのシピンのパネルを目にするたびに、巨人のドラフト１位ルーキー澤村拓一を思い浮かべてしまうのだ。

　そーです。オールドファンはもうすでにその理由がお分かりですね？　シピンは、大洋から巨人に移籍するや「巨人軍は紳士たれ」の少々理解に苦しむ球団内ルールの下に、長髪とひげをバッサリというイイ子ちゃん（？）に変身してしまったのだ。（案外男前だった）
　そー言えば、日本ハムから巨人に来た小笠原（道大）もひげをキレイにそってましたね……。

　さて、澤村ですが中大時代は、自分が好投しても打線が打たないと平気で打撃陣を攻撃するビッグマウス男だったそうである。
「ベンチがアホやから……」発言の江本孟紀氏のアマチュア版で、実にキャラクターがあるではないか!!　それが、巨人入りするや突然、口を真一文字に閉じて、マウンドでは常に表情を変えない耐える男というか、まじめな部分しか見せてくれないのだ。
　正直、俺は阪神ファンなので悔しいけど、久しぶりに気骨のあるボールを放る投手だと認めるのだ。それだけに、プロなのだから新人１年目とは言え、自らのキャラクターを出し切ってないのは惜しいと思うのだ。

　例えば、６月２６日の阪神戦、７回を９５球６安打０点でリリーフ陣にマウンドを譲ったが、「アホかァ!!　甲子園で完封してーよ!!　なんで交代なんだよ!!」と、ベンチを蹴るくらいの姿を見せてほしかったのだ。ホークスの杉内俊哉みたいに、拳でベンチを殴って骨折は行き過ぎだけど、あのくらいの気持ちってことよ!!
　ファンは記録だけでは見ないのだ。例えば、現巨人のコーチ斎藤雅樹は勝ち星的にも大投手である。一方、桑田真澄は好投手なれど勝ち星は斎藤の方がずーっと上なのです。しかし、ファンは桑田の方に常に目を向ける。それは桑田にドラマやキャラクターがあるからにほかならないのだ!!（当然、斎藤にも人間ドラマがあるが、多くのファンはそれを知らない。……斎藤さん、妙な例えに出してスミマセン）

　さあ、澤村は巨人の二代目悪太郎（初代は新人１３連勝でビッグマウスの堀内恒夫氏）に、この夏変身するのか!?　江本さんからも言っといてくださーい!!（どうやらエモさんは、これをチェックしているそーです）

＜了＞