2戦連続の快走! 可夢偉、トップチーム移籍の可能性は!?=F1 

田口朋典

現在の評価は「おそらく7〜8番手」

劇的な優勝に歓喜するバトン。可夢偉が表彰台に立つ日は来るのか? 【Getty Images】

 しかし、開幕戦での失格はあったものの、ここまでほぼベストレースを繰り返し、6戦連続ポイント獲得を果たした可夢偉は、モナコやカナダのような“スーパー”なレースを展開し、今やパドックでは高い評価を得るに至った。“小林可夢偉トップチーム移籍待望論”が渦巻くのも当然だ。

 F1解説でおなじみのノバエンジニアリング・森脇基恭氏は、「現状の可夢偉のドライバーとしてのパドック内での評価は、おそらく7〜8番手」と語る。レッドブル、マクラーレン、フェラーリ、ルノー、メルセデスといった、コンストラクターズ選手権でザウバーより上位にいるチームのドライバーだけでも10人はいるのだから、可夢偉の評価が関係者の間でもわれわれの期待通りの位置にあることは、もはや間違いない。
 「タイヤの使い方に優れる可夢偉は、昨年後半から今季にかけてしぶとさを身につけ、ミスを犯さなくなった。なんとかトップチームで、と思わせる走りを続けている」と森脇氏。「ザウバーに勝てるマシンを作ってもらえればとも思うが、データロガー(各種データを計測・保存する計器)のシステムが進化した現代F1では技術的な取りこぼしが少なく、トップチームは毎年優れたマシンを開発する。逆に言えば、1990年のティレルなどのように、下位チームが突然速くなることは、残念ながら起こり難い」

 冷静に考えれば、トップチームの陣容は固まっており、シートが空く可能性は少ない。「もしも可能性があるとすれば、フェラーリだが……」と森脇氏は語る。
 なかなかF1への扉が開かれず、苦境に身を置いていた数年前の可夢偉は、自らの力で数少ないチャンスをモノにして、今のポジションへとはい上がって来た。そんな可夢偉をもってしても、上位チームへの移籍はこれまでの道のり以上に難しく、高いハードルかもしれない。そんなことは百も承知の上で、それでも期待せずにはいられない。

 昨年アロンソを抜き、一躍名を挙げたバレンシアで、可夢偉はどんな戦いを見せてくれるだろうか。

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著者プロフィール

1966年生まれ。大学卒業後、趣味で始めたレーシングカートにハマり、気がつけば「レーシングオン」誌を発行していたニューズ出版に転職。隔週刊時代のレーシングオン誌編集部時代にF1、ル・マン、各種ツーリングカーやフォーミュラレースを精力的に取材。2002年からはフリーとなり、国内外の4輪モータースポーツを眺めつつ、現在はレーシングオン誌、オートスポーツ誌、CG誌等に執筆中。自身のブログ“From the Paddock”(スポーツナビ+ブログで)では、モータースポーツ界の裏話などを披露している

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