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日韓100勝を達成した門倉 「さらに上を目指す」
ライバル、家族、仙台への思い

昨季は韓国で14勝をマークし、優勝に貢献

今季からプレーしているサムスンで日韓通算100勝を達成した門倉
今季からプレーしているサムスンで日韓通算100勝を達成した門倉【ストライク・ゾーン】

 韓国で3年目のシーズンを迎えた門倉健(サムスン/37歳)が、18日のネクセン戦で今季2勝目を韓国での初完封で飾った。この白星は門倉にとって日韓通算100勝目。プロ16年、日本で76勝、韓国で24勝を重ねた節目の記録だ。


 門倉は1995年、東北福祉大からドラフト2位で中日に入団。1年目の96年、7月28日のヤクルト戦にリリーフで登板しプロ初勝利を挙げる。初先発は8月2日の巨人戦。この試合で門倉は初完封勝利を飾った。

「今中(慎二)さんが先発予定だったのが、前日になって急に僕が投げることになったんです。完封勝ちして『プロでやっていける』そう思った試合でした」。


 門倉は以後、近鉄、横浜でプレーし、2005年には初のタイトルとなる最多奪三振を獲得する。07年には、FAで巨人に移籍。しかし、08年オフに自由契約となり、海外での生活が始まった。まず、アメリカに渡りカブスのキャンプに参加するも、シーズン前に解雇の憂き目にあう。そこで渡米前からラブコールを受けていた韓国・SKに開幕後に入団。先発投手として役割を果たし、2年目の昨季は自己最多の14勝をマーク。防御率リーグ3位の好成績でチームの優勝に貢献した。そして今季は新天地・サムスンでプレーしている。

小笠原、イチロー、三浦大輔らの存在が刺激に

「この年まで野球ができるのは、『あいつらが頑張っているなら』というのがあります」。1973年生まれの門倉を刺激しているのは同級生の存在だ。

「あの冷静な小笠原(道大/巨人)が2000本安打を達成したとき、『よしっ』って言っていましたよね。彼でもプレッシャーを感じることがあるんだと、考えさせられました。イチロー(マリナーズ)にはかなわないけど、彼の活躍は励みになります」。


 そして、門倉にとってかけがえのない存在が三浦大輔(横浜)だ。「何でも言い合える、相談相手であり手本。負けた時でもそれをお互い指摘できて、次は勝ってやるって競争ができる良きライバルです。今、あいつは2軍にいるんでケツをたたいてやりたいです」。門倉は盟友の低迷に語気を強める。

「まだ伸びしろがある」今季からカーブを持ち球に

「今年38歳になりますけど、自分にはまだ伸びしろがあると思っています」。今シーズンから、持ち球にカーブを加えた。「ストレートも昔ほどではなくなっているし、カウントを稼ぐために前から投げたいボールでした」。門倉は数年前にもカーブ習得を試みたが挫折している。横浜在籍当時、投手コーチを務めていた阿波野秀幸氏に、門倉がカーブを投げていると伝えると、驚きの表情を見せた。「緩いボールを使えた方が投球の幅が広がるので、カーブ、チェンジアップを練習させましたが、(門倉)健は投げられなかったんです。そうですか、ようやく自分のものにしましたか」。


 現役にこだわる門倉にとって家族の支えは大きい。「まだまだ野球をしている姿を見せたいし、かっこいいパパでいたい。今は離れて暮らしているけど、最後は家族のそばでプレーしたいと思っています」。


 今年、門倉は特別な感情で日本を見つめている。「大学4年間を過ごした仙台があんなことになってしまって……。自分に何ができるだろうといつも考えています」。門倉は韓国で自ら募金箱を持ち義援金を募った。「日本でどれだけの人が自分のことを気にしてくれているか分からないけど、韓国から明るい話題を提供したいです」。


「100勝は通過点。さらに上を目指します」

 門倉は同級生、家族、そして仙台を思い、これからもマウンドに登り続ける。


<了>

室井昌也
室井昌也
1972年東京生まれ。韓国プロ野球の伝え手として、2004年から著書『韓国プロ野球観戦ガイド&選手名鑑』を毎年発行。韓国では2006年からスポーツ朝鮮のコラムニストとして韓国語でコラムを担当し、その他、取材成果や韓国球界とのつながりはメディアや日本の球団などでも反映されている。現在「室井昌也の韓国野球を観に行こう!」(ラジオ日本)に出演中。またWBCでは公式プログラムの執筆や中継局の情報提供を担当している。有限会社ストライク・ゾーン取締役社長。