開幕3戦で見えた勢力図と新ルールの光と影 3つの大変革がもたらしたもの=F1

田口朋典

開幕から圧巻の速さで2連勝を果たしたベッテル 【Getty Images】

 2011年F1世界選手権第3戦中国GP(4月15〜17日)が終わった。開幕戦からレッドブルのセバスチャン・ベッテルが連勝をマークするも、上海ではルイス・ハミルトン(マクラーレン)が今季初優勝。いまだに表彰台のないフェラーリを尻目に、レッドブルvs.マクラーレンという明確な構図が見えてきた。また、KERS(運動エネルギー回生システム)、可変リアウイング、そしてピレリタイヤという、今季F1にもたらされた大変革の効果も徐々に見え始めた。そういった意味で開幕3戦はファンにとっていいウォーミングアップとなったことだろう。

確かにオーバーテイクは増えたが…

 KERSと可変リアウイングは、マシンのパフォーマンスを向上させるという目的によって今季からF1に導入された。

 KERSの利点はパワー面にある。1周約6.6秒間、約80馬力ほど出力をアップさせる。一方、空力の面で効果を発揮するのが可変リアウイングだ。前車とのギャップが1秒以内であった場合、サーキットごとに設定された区間でリアウイングが可動し、ダウンフォースを低減してストレートスピードが伸びる。この新機構の採用によって、コース上のオーバーテイクシーンやバトルは、確かに多くなった印象を受ける。

 テレビ中継画面にはKERSと可変リアウイングの使用状況が表示。ファンにとっても、オーバーテイクシーンの生まれる可能性を予感、期待させるという点で、一定以上の演出効果を発揮しているように思う。中国GPでの可変リアウイングを駆使して仕掛けるフェルナンド・アロンソ(フェラーリ)と、それを阻止せんと巧妙なライン取りを見せるミハエル・シューマッハ(メルセデスGP)の攻防は、新機構を絡めたチャンピオン経験者ふたりの見応えある戦いだった。

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著者プロフィール

1966年生まれ。大学卒業後、趣味で始めたレーシングカートにハマり、気がつけば「レーシングオン」誌を発行していたニューズ出版に転職。隔週刊時代のレーシングオン誌編集部時代にF1、ル・マン、各種ツーリングカーやフォーミュラレースを精力的に取材。2002年からはフリーとなり、国内外の4輪モータースポーツを眺めつつ、現在はレーシングオン誌、オートスポーツ誌、CG誌等に執筆中。自身のブログ“From the Paddock”(スポーツナビ+ブログで)では、モータースポーツ界の裏話などを披露している

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