開幕3戦で見えた勢力図と新ルールの光と影 3つの大変革がもたらしたもの=F1
開幕から圧巻の速さで2連勝を果たしたベッテル 【Getty Images】
確かにオーバーテイクは増えたが…
KERSの利点はパワー面にある。1周約6.6秒間、約80馬力ほど出力をアップさせる。一方、空力の面で効果を発揮するのが可変リアウイングだ。前車とのギャップが1秒以内であった場合、サーキットごとに設定された区間でリアウイングが可動し、ダウンフォースを低減してストレートスピードが伸びる。この新機構の採用によって、コース上のオーバーテイクシーンやバトルは、確かに多くなった印象を受ける。
テレビ中継画面にはKERSと可変リアウイングの使用状況が表示。ファンにとっても、オーバーテイクシーンの生まれる可能性を予感、期待させるという点で、一定以上の演出効果を発揮しているように思う。中国GPでの可変リアウイングを駆使して仕掛けるフェルナンド・アロンソ(フェラーリ)と、それを阻止せんと巧妙なライン取りを見せるミハエル・シューマッハ(メルセデスGP)の攻防は、新機構を絡めたチャンピオン経験者ふたりの見応えある戦いだった。