与田氏が斎藤佑樹を分析 「7、8勝はできる」

論スポ

先発ローテーション入りをほぼ確実にしている斎藤佑樹。今季はどのような成績を残すだろうか 【写真は共同】

 中日、阪神などでプレーした元豪腕ストッパーで現評論家の与田剛と話をした。
 NHKのサンデースポーツのMCが終了。あらゆるジャンルのトップアスリートに、元アスリートの視線でインタビューするコーナーが秀逸だった。その最終回は、目がうるうるしていたので冷やかしたが、彼は断固として、こう言った。
「こんなときだからこそ、涙は見せたくない。被災した人たちに勇気や元気を与えなければならない立場の僕が泣いていたら、その人たちはどう思うんですか」

 自身が被災した。彼の住居のある地域は、関東の被災地域で、停電や断水に悩まされ、「いろんな人の力を借りて、なんとか生活できたけれど、そんな気持ちが、分かるだけに一緒に被災者の人々と頑張りたいという気持ちが強い」という。
 さて、そんな与田剛に、論スポの企画で、斎藤佑樹を徹底分析してもらった。

「守備のいいチームは投手が育ちます」

――最初に結論から聞かせて欲しい。佑ちゃんは、勝てるのか勝てないのか。
「ズバリ言って使えると思いますよ。7、8勝はできると思う」

――その心は?
「勝ち星には、いろんな条件が影響してきます。リリーフ、打線、守備などチーム力との関連が非常に深い。外野はもちろんですが、田中賢介と小谷野栄一の守備力は評価できます。小谷野は、ライン際に強いですし、金子誠、田中の二遊間の併殺力も含めた処理能力は12球団でトップクラスでしょう。斎藤は、ゴロを打たせるタイプですから、こういう守備力でヒットゾーンを締めてもらえる意味は大きいんです。『やられた』と思った打球がアウトになる心理的影響は、計り知れないですよ。私も新人時代、立浪和義の守備にどれだけ助けてもらったか。守備のいいチームは投手が育ちます」

――先発ローテーションの座は勝ち取ったようです。
「1年間の起用法には、首脳陣は気を使う必要があるでしょうね。負けが続いたときや、下半身に疲れが顕著に見えた状態のときは、ローテーションを一度外すなどの工夫がいるでしょう。コンディションをうまく調整しながら起用すれば勝ち星は増えていきますよ」

長所は制球力とマウンド度胸「面白い存在だと思っています」

現役時代は豪腕ストッパーとして活躍した与田剛氏が斎藤を語った 【黒田史夫】

――斎藤の長所は、どこになりますか。
「上半身の使い方と、インサイドワークですね。ボールをリリースすることには天性と思えるものがあります。ボール一個の出し入れのできる制球力があります。加えて、相手の狙いを読むことのできるピッチャーですね。バッティングカウントの1ストライク2ボールからふっとスライダーで誘ったり、逆に打ち気を感じない場面では、大胆にポンと、ど真ん中でストライクを取る。1球1球にあたふたはしませんね。メンタルが強いんでしょう。打者から見れば、手投げで、ボールも大したことがないと感じるのに打ち取られるということが続けば、ストレスが溜まりますよ。ますます斎藤有利の心理状態になりますね」

――キャッチャーとのコンビネーションも大切になりそうですね。
「そこが大事だと思います。おそらく、斎藤はルーキーでも平気で首を振るタイプでしょう。ゲームの中で、使えるボールと使えないボールをすぐに見極めていける。そして、悪いときの修正能力の高さが、彼の持ち味ですからね」

――逆に短所は?
「股関節の硬さですね。スムーズな体重移動ができずに左膝の開きが早いんです。だから左肩も早く開き、ボールに力が伝わらない。それでも、無理に速いボールを投げようとするから左足が突っ張った状態となり上体だけのピッチングになる。ボールがおじぎするんです。また、このフォームでは、疲労も早く出ます。このウイークポイントをプロのトレーニングの中で解決できないと、低めの変化球も見極められ、簡単に対処されるでしょう。1シーズンを乗り切ることは、しんどくなると思いますよ」

――つまり条件付きながら大成功の可能性もあると?
「おそらく先発しても、5イニング、6イニングでしょうが、そこでゲームをつくる能力はあります。僕は面白い存在だと思っています」

(写真=黒田史夫 聞き手=本郷陽一)

<了>

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