水垣がUFCデビュー戦で貴重な白星=UFC LIVEリポート
WECを主戦場としていた水垣は注目のUFC参戦初戦で貴重な白星を挙げた 【ZUFFA】
ディエゴ・サンチェスとマーティン・カンプマンによるウェルター級戦をメインイベントに、マーク・ムニョス×CB・ダラウェーのミドル級サバイバルマッチ、元WECバンタム級王者ブライアン・ボーウェルズの参戦。さらには、日本の水垣偉弥がルーベン・デュランを相手にUFCデビュー戦を迎えるなど、同大会は見所に溢れるマッチメイクが並んだ。
TUF1ウィナーとして人気を博すも、ライト級転向後に王座挑戦失敗、ウェルター級にカムバックをした初戦もジョン・ハザウェイに不覚を取ったディエゴと、ポール・デイリー、ジェイク・シールズといった実力者達のUFCデビューの相手を務めるなど、門番の役割を果たすカンプマン。
試合は、ディエゴのテイクダウン狙いを潰し、ヒザ、パンチを叩き込んだカンプマンのペースでスタートすると、2Rには目まぐるしい攻防やスタンドでの打ち合いを繰り広げた両者。3Rには鮮血を見せながらも、ディエゴがテイクダウンに成功すると、休むことなく前に出続け、戦局を盛り返して勝負は判定へ。
その結果、大きなカットを3箇所作りながらも、ディエゴがジャッジ3者とも29−28をつけるスコアで逆転判定勝ち。一方のカンプマンは「僕は勝ったと思った。ディエゴの顔を見なよ。僕の方がクリーンショットを入れていた」と語り、悔しさを滲ませた。
また、セミファイナルではムニョスがダラウェーの左に右のカウンターを合わせると、ショートの右アッパーから左フック。ダラウェーからダウンを奪うと、パウンドを叩き込み快勝。ボーウェルズはダマッシオ・ペイジからダウンを奪い、最後はギロチンで仕留めた。さらに、デュランとフルラウンドを戦い抜いた水垣は、スプリットの判定ながら、UFCデビュー戦で貴重な白星を得ることに成功した。
ディエゴが逆転勝利、2Rの攻防明暗分ける
○ディエゴ・サンチェス(米国)
(判定3−0)
●マーティン・カンプマン(デンマーク)
軽いフックで、まずは感触を確かめるカンプマン。ディエゴは距離を詰めて首相撲からニー、距離が離れるとフルパワーで右を放っていく。
前に出て右を見せたカンプマンに、組みついてドライブを見せるディエゴ。カンプマンは態勢を入れかえ、ヒザ蹴りを狙う。距離を取ったディエゴが、前に出ようとしたところでカンプマンは右ストレートをヒットさせ、ダウンを奪う。足に組みつき、ダメージをごまかしたディエゴが距離を取り、左から右を伸ばすが、体が開き、ガードががら空きになるきらいは拭えない。
首相撲を取ろうとしたディエゴのボディにヒザを突き上げるカンプマン。右を伸ばし、さらに左右のフック、テイクダウン狙いにもスプロールをみせるカンプマンのペースで試合は進む。左から右のボディを見せたディエゴだが、その顔面は鼻血で赤く染まっており、スタミナにも問題が出てきそうだ。
カンプマンの左に組みつき、ケージ際まで運んだディエゴだが、カンプマンはここでも首相撲からヒザを見せる。「足を使ってギアを上げろ。シングルからダブルを繰り替えろ」と指示を受けたディエゴ。2R開始直後にシングルを狙い、これを切られると、ダブルレッグでカンプマンをケージに押し込む。
距離を取った両者、するとカンプマンの左がディエゴの前進を阻む。左、左と回り、ディエゴのアウトサイドから左を入れるカンプマンは、右ストレートを見せるも、カンプマンの左フックに組みついたディエゴは、態勢を入れかえられそうになるとシングルを見せる。
そこにギロチンを合わせようとするなど、見事な攻防を見せる両者。ディエゴは距離をとって組みつくが、セコンドの「シングルレッグ」という声を無視して、仕掛けはダブルが多くなる。しかし、距離を詰めたディエゴはケージ際で足を止めて打ち合いを挑むと、カンプマンも右目の下をカット、打ち勝ったディエゴは、以降も乱打戦に持ち込みたいところだ。
ラスト30秒で再び、足を止めての打ち合いを挑んだディエゴだが、ここでは右を受ける。それでもダブルレッグから、カンプマンをケージに押し込み、フックの連打でラウンドを締めた。
無酸素運動で試合をイーブンに取り戻したディエゴ。インターバル中はじっくり腹式呼吸で息を整える。一方、打ち合いには打ち合いを応じる姿勢を見せたカンプマンは、テイクダウンだけは許さず、ディエゴにペースを握らせない。
左の空振りにも構わず、連打で右を打ち込むディエゴ。テイクダウン狙いを潰されなお、動きを落すことはない。前に出るのはディエゴ、そしてテイクダウンを仕掛けるのもディエゴ。ジャッジの印象がディエゴよりになると思われた残り2分、ついにディエゴがテイクダウンに成功する。
すぐに立ち上がったカンプマンは、後がないとばかり前に出たいが、ラッシングファイトはディエゴの十八番だ。左アッパーから右フックを振るうディエゴに、右をヒットさせるカンプマンだが、その前進を止めることはままならない。
再びケージ際で足を止めて打ち合いを挑んだディエゴ。残り30秒になっても顔面を染めたディエゴの前進は止まらない。残り10秒、とにかく前進を続けるディエゴ。ダメージこそ受けないが、受け切れず後退を余儀無くされるカンプマン。
恐るべしというか、彼らしいというか、左目をどす黒く腫らし、その上下と右目の下と大きなカットを3箇所を作りながらも、前に出て拳を振るい続けたディエゴが、ジャッジ3者とも29−28をつけるスコアで逆転判定勝ちを手にした。
「僕はカットしたけど、テイクダウンを狙い、プレッシャーを与え続けた」とディエゴ。対するカンプマンは、「僕は勝ったと思った。ディエゴの顔を見なよ。僕の方がクリーンショットを入れていた。ディエゴはもちろん、タフなファイトだ。拳を壊した、思い切り殴ることができなくなった」と悔しさをその顔いっぱいに滲ませていた。
1Rは間違いなくカンプマン、3Rはディエゴ。2Rの攻防が明暗を分けるメインイベントととなった。