山梨学院大附、悔しさ味わった2トップのリベンジ=<2回戦 山梨学院大附(山梨) 3−1 国見(長崎)>

鈴木智之

試合前、後輩が先輩に声を掛ける

前回優勝の山梨学院大附は国見から3点を奪取。2トップが期待通りの働きを見せ、勝利の立役者となった 【岩本勝暁】

 前回優勝校・山梨学院大附が国見から3点を奪い、連覇に向けて順調なスタートを切った。快勝の立役者となったのが、加部未蘭と白崎凌兵の2トップだ。前半のうちに2人のコンビネーションでチャンスを量産し、3点を奪取。試合を決定づけた。

 2人とも、中学時代はFC東京U−15むさしでプレー。クラブユース仕込みの高いテクニックと労をいとわないプレーで、国見に脅威を与え続けた。指導者のS級ライセンスを所持する山梨学院大附の吉永一明監督も「2人に求めるのはゴール。その意味では結果を残してくれた」と及第点を与える出来だった。

 前回王者、しかも相手は国見――。
 いやが応でも注目の集まる試合前、白崎は加部に声を掛けた。
「1点目が大事になる。自分の欲を優先させるのではなく、チームのために、ゴールになる可能性の高いプレーをしよう」
 白崎は2年生、加部は1年先輩だが、ピッチの中で遠慮はない。加部への声掛けは、同時に「自分でやりたがる部分があるので」(白崎)と、自らへの戒めの意味もあった。

 先制ゴールは21分。加部のパスを受けた白崎が右足で狙い、最初の歓喜を呼び込むと、30分には加部がヘディングで追加点。直後の32分には白崎が敵陣深い位置でボールを奪い、加部にパス。相棒からのおぜん立てを受け、左足でシュートをねじ込んだ。

 2ゴールの加部は「白崎は常に周りが見えていて、自分を生かしてくれる。天才です。一緒にプレーできて楽しい」と賛辞を惜しまない。白崎も「未蘭君は背が高い(186センチ)ので、一度ボールを当てて、こぼれ球を拾うのがチームの形。プレーの面でも支えてもらっています」と、はにかみながら答えた。

前回の優勝は喜びの一方で悔しさも

昨年度の優勝を味わった加部だが、悔しさも忘れていない。「自分が引っ張って優勝したい」と意気込む 【岩本勝暁】

 強豪・国見を相手に3ゴールを挙げての快勝。だが、浮かれるそぶりは微塵(みじん)もない。加部は断言する。
「一試合一試合、勝っていくことが大事。僕たちは発展途上のチーム。もっと強くなる」
 前回大会を経験している加部は、トーナメントを勝ち上がるごとにまとまり、チームが強くなる過程を経験している。そして、その積み重ねの先に優勝があることも。

 Jクラブのスカウトが熱い視線を向ける白崎も、「目標は連覇ですが、上ばかり見ていると足をすくわれるので、一戦一戦、集中して戦いたい。チームが勝てば自分も評価される。チームのために走って、チームのために点を取りたい」と落ち着いた表情を見せる。

 加部は昨年度、主力として活躍が期待されたが、けがの影響もあり本来のプレーができなかった。本人も「去年は3年生に優勝させてもらった感じです。今年は自分が引っ張って、優勝したい」と大会に懸ける思いを明かす。

 一方の白崎は、最後の最後で登録メンバーから漏れた。「去年は悔しかった。自分はまだ来年もありますが、3年生は最後ですし、サッカーをはじめいろんな面で良くしてくれているので、絶対に勝って終わりたい」と熱い思いを吐露する。

 昨年、山梨学院大附は優勝を果たした。2人は喜びを感じる一方、一抹の悔しさも味わった。満を持して臨む今大会、リベンジを期す2トップが、最高の相棒を携え、全国の舞台で大暴れする。

<了>
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著者プロフィール

スポーツライター。『サッカークリニック』『コーチユナイテッド』『サカイク』などに選手育成・指導法の記事を寄稿。著書に『サッカー少年がみる みる育つ』『C・ロナウドはなぜ5歩さがるのか』『青春サッカー小説 蹴夢』がある。TwitterID:suzukikaku

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