“常勝軍団”東芝、真っ向勝負で3連覇へ=ラグビー

村上晃一

湯原「キンさんは、やる時にはやる」

来年のワールドカップへ向けて意気込みを語った2人 【Photo:長岡洋幸】

――来年はワールドカップです。

湯原 キンさん(大野選手)は絶対に選ばれるけど、自分はまず東芝でレギュラーとして出続けて、ジョン・カーワンさん(日本代表ヘッドコーチ)に見てもらいたい。東芝で頑張らないと、先は見えません。セットプレーの安定、ラインアウトのスローイング、フィールドプレーを頑張らないと。それで選ばれるかどうか。

――間違いないと言う大野選手は何がすごいのですか?

湯原 けっこう歳じゃないですか(笑)。なのに、東芝でも仕事量が一番多い。数字にも出ています。日本代表で、コンタクトフィットネスの練習で若手がちょっと気合いが入っていなかったことがありました。そのとき、カーワンヘッドコーチがキレた。「一番歳上の大野が一番頑張っているじゃないか」って。
 ほんと、キンさんは、やる時にはやる。日本代表からチームに戻るとき、「オフ明けにフィットネステストがあるよ」なんて言われると、僕なんかドキドキして休まずに練習してしまうんですよ。でも、キンさんは、しっかり休んで、なおかつフィットネステストの数値もクリアする。「気持ちの問題だよ」なんてキンさんは言うけど、気持ちだけでクリアできないですよ〜。

大野 そこまで持ち上げてくれると思わなかった(笑)。

2019年W杯に向けてラグビー熱を盛り上げたい

――では2011年ワールドカップへの意気込みを。

大野 前回のワールドカップでも“2勝”が目標でした。でも、実際には初めての大会で雰囲気も分からず、『勝ちたい』という気持ちだけで、どうしていいか選手としての明確なビジョンはなかった。でも、JK(ジョン・カーワン)が4年かけてチームを作ってくれて、今はどうやって勝つかのビジョンも見えている。勝つことが現実的になりました。そういう意味でも楽しみです。

――対戦を楽しみにしているチームはありますか?

大野 オールブラックス(ニュージーランド代表の愛称)戦は出たいです。世界一のチームだし、ジュニアオールブラックスのときに対戦したことがある選手もいるので。

湯原 出られたとしたら、オールブラックスとスクラムを組んでみたい。ニュージーランドのワイカト代表とは組んだことがあるのですが、その国のトップ選手が集まったスクラムはどんなものなのか。

――われわれ観戦者の勝手な思いとしては初戦のフランスに勝ってほしいですね。

大野 セバスチャン・シャバル(フランス代表FW)と戦ってみたいですね。

湯原 キンさんも髪とか髭をもじゃもじゃにして、“日本のシャバル”でやってみたら(笑)。

大野 このヒゲじゃあ、しょぼいって言われるよ(笑)。

――来年のワールドカップは、日本ラグビーの未来のために背負うものも大きいですね。

大野 2019年日本開催の時は、僕はもう現役ではないと思いますけど、いま現役でラグビーをやっている者として、2019年に向けて少しでも日本のラグビー熱を盛り上げられる試合ができればいいなと思います。

湯原 僕の9年後ですか? ベテランでスクラム組んでいられればいいですね。小さな頃から日本代表になることが夢でしたから、このまま代表に定着して、少しでも長く、たくさんの人に自分がラグビーをしている姿を見せられればいいですね。

<了>

■選手プロフィール
大野均 / Hitohsi Ono

1978年5月6日、福島県生まれ。192cm、105kg。ポジションLO。清陵情報高、日大を経て東芝ブレイブルーパス入り。ラグビーを始めたのは大学時代からという異色の経歴を持つが、今や日本を代表するLOに成長。日本代表キャップ45。

湯原祐希 / Hiroki Yuhara
1984年1月21日、千葉県生まれ。173cm、105kg。ポジションHO。流経大柏高、流経大を経て東芝ブレイブルーパス入り。HOながらパススキルにも長け、抜群のラグビーセンスで活躍。念願の代表キャップ獲得。日本代表キャップ5。

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著者プロフィール

1965年、京都府生まれ。京都府立鴨沂高校、大阪体育大学卒。大学時代は、FBとして活躍。85年、同志社大学の関西大学リーグの連勝記録を71でストップさせた試合に出場。翌年、東西学生対抗の西軍FBに選出される。卒業後、ベースボールマガジン社に入社。90年から97年まで「ラグビーマガジン」編集長。現在はフリーのラグビージャーナリストとして、多くの雑誌に執筆。「JSPORTS」のあらゆるカテゴリーの解説をこなしている。編集者としても、ジャンルにこだわらずに単行本を手がける。著書に、大学時代の恩師であり、元日本代表名ウイング坂田好弘氏の伝説を追った「空飛ぶウイング」などがある。

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