古き良きアルゼンチンを取り戻す=アルゼンチン代表セルヒオ・バティスタ監督インタビュー
ブラジル戦を控えたアルゼンチン代表のトレーニング。バティスタ監督には笑顔も見える 【写真:ロイター/アフロ】
バティスタ監督が狙うのは「原点回帰」。ポゼッションを高め、最終ラインからパスをつなぐ、美しいサッカーで勝利を目指す。スペイン代表やバルセロナを引き合いに出しながら、指揮官は臆面もなくこう言ってのける。「昔のアルゼンチンのサッカーを取り戻さなければならない」。当面の目標は、来年自国で開催されるコパ・アメリカ(南米選手権)での優勝だ。タイトルから見放されたアルゼンチンに歓喜をもたらすこと。これが正式監督に課される最初の使命となる。
スペインにお株を奪われたポゼッションサッカーを取り戻す
わたしは楽観的だからね。常々、ユースカテゴリーを率いていた時から北京五輪での金メダル獲得に至るまでの仕事ぶりが評価されるべきだと言ってきた。自分がいい仕事をしてきたことは分かっていたから、監督が決まるまでの間も落ち着いていた。だからこそ、W杯後に3つの親善試合を暫定監督として率いることも引き受けた。この仕事を続けるための可能性をより高めるチャンスだと思ったからだ。
――南アフリカでドイツ相手に惨敗した後、選手たちはどのように映った
アルゼンチンの選手たちは勝者だ。彼らの顔にはリベンジへの意欲やより良いポジションへの欲求が感じられたし、新しいサイクルにすべてのエネルギーを費やそうとしていた。それに、彼らには十分に競争力があり、誰ひとりとして自らのポジションを失いたくないと思っていた。幸いにも皆が戦う準備ができていたから、あとは選手をそのまま招集するだけだった。
――アルゼンチン代表の目指すサッカーは? 国内では意見が2つに分かれている。セサル・メノッティに近い攻撃的な美しいサッカーを志向するスタイルと、カルロス・ビラルドに代表される結果を求めるサッカーと。あなたはどちらに近い
これまでのアルゼンチンは、戦ってはいたもののプレーをしていなかった。よく走り、ファイトしているものの、あまりプレーをしていなかったのだ。ボールポゼッションもさほど多くなかった。昔のアルゼンチンのサッカーを取り戻さなければならない。称賛を浴びているスペイン代表になれるわけではないが、今後はボールタッチが多く、ポゼッション率の高いサッカーを実践していく。スペインにお株を奪われたポゼッションサッカーを取り戻すのだ。わたしがチームを率いてからしきりに言っているように、「よりボールを触れば負担が減る」ということだ。
――そうしたポゼッションサッカーの概念を、どのように戦術に落とし込んでいくのか
わたしはアルゼンチンの古典的なサッカーに回帰させたいと思っている。美しく、忍耐強く、落ち着きがあり、ボールポゼッションの高いサッカー。そのためには、最後尾から攻撃を組み立てなければならない。だからこそ、わたしはサイドバックにスペシャリストを配することから着手したかったのだ。(前監督のマラドーナ時代のように)センターバックをサイドに置くのではなく。それから中盤を厚くし、ボール扱いのうまい選手を起用したい。成功を収めているスペイン代表やバルセロナがやっているようにね。