ユライアが水垣に快勝、UFC王座挑戦を視野に=WEC52
ユライアが水垣を下しバンタム級転向初戦を勝利、再起に成功した 【ZUFFA】
WECを過去3年に渡って支えてきたユライア・フェイバーが、バンタム級転向を果たし、日本の水垣偉弥と対戦したメインイベントは、序盤からユライアの打撃をかわしていった水垣が、ヒザ蹴りを有効に使いつつ、打ち合いにも果敢に応じ、上々の立ち上がりをみせた。
しかし、ユライアのテイクダウン狙いを防いだまではよかったが、水垣は、続くギロチンの仕掛けを嫌がりヒザを付いたところでバックを奪われ、バックマウントからチョークを許してしまう。
ユライアの腕が水垣の喉に食い込むと、顔が見えない状態でレフェリーがストップに躊躇する場面もあったが、2度、3度と体に触れたレフェリーが水垣の失神を確認。1R終了10秒前に試合をストップした。
WECラストマッチを一本勝ちで終えたユライアは、バンタム級で再起に成功。試合後は「日本人のファイティングスピリットは凄い。WECの素晴らしい働きのおかげで夢だったUFCのベルトに挑戦できるようになった」とWECラストマッチの印象を語っている。
また、セミファイナルでは、来年1月1日(土・同)のUFC125でUFC世界フェザー級王者ジョゼ・アルドと挑戦者ジョシュ・グリスピの世界戦が決定している同階級のコンテンダー争い=ハビエル・バスケス×チャド・メンデスの一戦が行われた。
試合は、メンデスが終始優勢となり、バスケスは卓越したグラップリング技術を発揮できず、判定負け。その他の試合では、ジョセフ・ベナビデスが黒帯柔術家のヴァグネイ・ファビアーノからギロチンで一本を奪い、エリック・コクはフランシスコ・リベイラからハイキックで鮮やかなTKO勝利を挙げた。
水垣無念、ユライアのチョークに散る
序盤はヒザを有効に使い、互角以上の展開に持ち込んだかに見えた水垣(右)だったが…… 【ZUFFA】
ユライア・フェイバー(米国)
Def.1R4分50秒/リアネイキドチョーク
水垣偉弥(日本)
いきなり前に出て左を放つユライアだが、水垣はこれを冷静にかわす。その後も遠い距離からパンチを放つユライアの動きが、水垣にはしっかりと見えている。ローからパンチを出すユライアに対し、組みついた水垣はケージに押し込んでいく。
態勢を入れ替えたユライアは、バックへ回りエルボーを繰り出すが、水垣はこれもかわしていく。組まれた状態で、左ヒザを突き上げた水垣。両者の間に距離ができると、間髪入れず拳が交錯するが、頭も同時にぶつかってしまう。組みのなかで有効にヒザをみせる水垣は、距離を取ったユライアと果敢に打ち合う。
ショートの右を受けた水垣は、ユライアのダブルレッグを受けても、ケージを背にしてテイクダウンを許さず、逆にユライアを金網へ押し込む。と、ここでユライアの仕掛けたギロチンを嫌がりヒザをついた水垣は、バックを許してしまう。ユライアは、立ち上がった水垣の背中に飛び乗り、バックマウントへ。
グラウンドへ試合が移行すると、水垣の背中が伸び、ユライアがリアネイキドチョークへ。残り20秒となるが、がっちりとユライアの右腕が水垣の喉元に食い込んでいる。頭をキャンバスにつけた水垣に、ユライアは力を緩めない。
水垣の顔が見えない状態で、レフェリーがストップを躊躇するが、水垣が落ちているのは明らかだ。2度、3度と水垣の体に触れたレフェリーが、1R終了10秒前に試合をストップ。ユライアが向きをかえると、意識を失った水垣の体は硬直しているままだった。
「日本人のファイティングスピリットは凄い。WECの素晴らしい働きのおかげで夢だったUFCのベルトに挑戦できるようになった」と、ユライアはWECラストマッチの印象を語った。
バスケス、卓越した技術を発揮できず完敗
メンデス(右)が終始優勢に試合を運び、判定ながら完勝を収めた 【ZUFFA】
チャド・メンデス(米国)
Def.3R終了/判定
ハビエル・バスケス(米国)
年齢差9歳、34歳のバスケスはサウスポーの構えから右ジャブを繰り出す。右ハイで応えたメンデスは、いきなり前進してラッシュを掛ける。引き込むようにガードを取ったバスケスに付き合わないメンデス。バスケスはスタンドに戻り、ローを繰り出す。直後にメンデスがダブルレッグでテイクダウンを奪うが、バスケスはグラウンド戦を望み、自らこの展開を受け入れたように映った。
ラバーガードからエルボーを頭部に落とすバスケスをメンデスが持ち上げてスラムへ。右のパウンドを落とすメンデスは、細かいエルボーも見せる。再びラバーからエルボーを繰り出したバスケスが、ハイガードの状態になるが、すぐに態勢を戻し、オモプラッタを狙う。
距離ができたことで、勢いのあるパウンドを落とことができるようになったメンデスだが、直後にバスケスはラバーから再びオモプラッタへ。これをかわしたメンデスが中腰になると、バスケスはクローズドガードをとったが、メンデスは構わず左右のエルボーを落とす。ガードから然したる攻撃を見せることができなかったバスケスは、初回を落した。
2R、勢いのある右ローを見せたメンデス。テイクダウン狙いのバスケスにジャンピングニーを見せる。組みついてすぐに引き込んだバスケスは、初回同様ラバーの態勢に入るが、メンデスは腰をコントロールし、ここでもスラムを見せる。右のエルボーを放ったメンデスに対し、バスケスはガードを受けながら掌底を打った。
耳の回りに掌底という、まさにグレイシー柔術的な動きを見せたバスケスだが、クローズドの状態でパウンドを受け、クラッチがとけるとメンデスに立ち上がることを許してしまう。前方回転を見せたメンデスに対し、バスケスはこの機にトップへ。バックを許しながら立ち上がったメンデスは、ここでも前方回転しトップを奪い返す。クローズドを続けるバスケスに対し、レフェリーがブレイクを命じ、メンデス優勢のまま試合は最終ラウンドへ。
前に出てアッパーを繰り出すメンデスに、バスケスは左ローを放つが、簡単に倒される。立ち上がったメンデスを蹴り上げたバスケスだが、勝利を手にするには極めにいく仕掛けが欲しい。スタンドに戻ったバスケスは、直後のテイクダウン狙いに素直に背中を付けるが、倒れながらもギロチンぐらいの仕掛けは欲しいところだ。
再びブレイクを命じられ、試合がスタンドに戻ると、メンデスの左フックがバスケスを捉える。後方に下がり、引き込んだバスケス。メンデスはこのままトップキープでも敗北はない。鼻血を滴らせ、クローズドガードを取り続けるバスケスは、オモプラッタからハイガードも首を抜かれて万事休す。動きの落ちないメンデスにボディを殴られながら、バスケスは試合終了のホーンを聞いた。
当然、ジャッジはフルマークでメンデスを支持、バスケスはその卓越したグラップリング技術をMMAで発揮できないまま大切な一戦を落した。ある意味、義弟にあたるヒーロン&ヘナーが、グレイシー・アカデミーのメルマガ=グレイシー・インサイダーで、この試合の改良点をどのように解説するかが楽しみになってしまうバスケスの完敗劇だった。