松坂、川上らに訪れる本当の危機=2010年日本人メジャーリーガー回顧・投手編
今年も精彩欠いた松坂&川上
9月2日のオリオールズ戦で9勝目を挙げたものの、その後は勝ちに恵まれず、2年ぶりの2ケタ勝利はならなかった。9回あたりの与四球はチームの先発陣でワーストの4.33と制球難は解消されず、6回以上投げて自責点3以下に抑えた「クオリティー・スタート(QS)」は先発25試合中10試合にとどまった。レッドソックスとの契約は12年まで残っているものの、来季はまさに正念場のシーズンとなりそうだ。
悪夢のようなシーズンとなったのは川上だ。投げども投げども勝ちがつかず、なんと開幕9連敗。6月26日のタイガース戦でようやく白星を手にしたものの、直後にブルペンへ配転となり、8月にはマイナー降格を告げられた。9月には再びメジャーへ昇格したが、1勝10敗、防御率5.15という不本意な成績でシーズンを終え、プレーオフの登録メンバー入りもならなかった。総額2300万ドル(約20億5000万円)の3年契約最終年を迎える来季は、なんとか本領を発揮してもらいたいところだ。
誕生! 7年ぶりの「2ケタ勝利コンビ」
メジャー1年目で10勝を挙げたメッツの高橋尚成の場合は「サプライズ」といってもいいだろう。マイナー契約でのスタートながら、オープン戦で好投を続けて開幕メジャーの座をつかみ、先発にリリーフに53試合登板。12試合の先発では半数の6試合でQSを記録し、41試合の救援では防御率2.04と安定感を示した。終盤は抑えを任され、8回のセーブ機会をすべて成功させるなど、その活躍はまさにオールマイティー。黒田と合わせ、2人の日本人投手がメジャーで10勝以上を記録するのは、野茂が16勝、大家友和(当時エクスポズ、現横浜)も10勝した03年以来のことだった。
抑えに活路見いだした上原
メジャー5年目のシーズンを新天地のブレーブスで迎えた斎藤隆は、中継ぎとしてチームのプレーオフ進出に貢献。来年で41歳になるが、まだまだ老け込む様子は見られない。レッドソックスの岡島秀樹は初の故障者リスト入りを経験するなど、メジャー4年目で最少の登板56試合、防御率も自己ワーストの4.50に終わった。これで日本時代から11年連続40試合以上登板、メジャーでは4年間で254試合と投げまくってきた“勤続疲労”が懸念される。2年総額300万ドル(約2億7000万円)でメッツ入りした五十嵐亮太は、開幕直後に故障者リスト入りすると、夏場には2度もマイナーへ降格されるなど、ほろ苦いメジャー1年目となった。2年目の来季は真価が問われる。
昨季はプロ1年目でいきなりメジャーデビューしたレッドソックスの田沢純一は、今季は右ひじ手術後のリハビリに専念。07年に入札額2600万ドル(約30億円)、5年総額2000万ドル(約23億5000万円)の契約でヤンキース入りした井川慶は、昨年に続きメジャーでの登板はなし。再びメジャーのマウンドに上がる日を、首を長くして待っているファンは多いはずだが、契約最終年も「我慢の年」になってしまうのだろうか……。
<了>
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