アパパネ、7年ぶり史上3頭目の三冠牝馬へ飛翔=秋華賞展望

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武豊とアプリコットフィズ、春の分まで大暴れ!

夏の女王から秋の3歳女王へ、武豊アプリコットフィズにチャンス十分 【スポーツナビ】

 「夏の上がり馬」というには語弊はある。しかし、この夏一番の輝きを放った3歳牝馬として、アプリコットフィズの存在からは目を離せない。

 春先のGIIIクイーンCを圧巻のパフォーマンスでV。早々と桜花賞候補の本命に名乗り出たものの、肝心のクラシック戦線ではテンションの高さや馬体減に悩むなど、3歳牝馬特有の難しさで不完全燃焼に終わった。
 このまましぼんでしまうのかとも思われたが、夏を迎えて立て直しに成功。落馬負傷から復帰した武豊を鞍上に迎え、古馬の強豪相手に札幌のGIIIクイーンSを1馬身差で完勝してみせたのだ。

 やはりタダモノではない大器。伯父に3歳秋から本格化したマンハッタンカフェを持つ母系の血は、彼女にも秋の完全開花を促している。この3歳世代の牝馬の中で、春から最も上積みを感じさせる馬こそ、アプリコットフィズだろう。
 菊花賞を制したマンハッタンカフェと同様レース前に栗東に入厩し、環境の変化にも慣れさせるなど準備は万端。能力を100%全開させれば、アッサリがあっても驚けない。不本意に終わった春の分まで、アプリコットフィズと武豊が秋の京都で大暴れだ。

前哨戦Vのアニメイトバイオがもう一丁

再上昇のアニメイトバイオは前哨戦の再現を狙う 【スポーツナビ】

 ここまで挙げた3頭はすべて関東馬であるように、今年の3歳牝馬路線は東が優勢。最重要の前哨戦GIIローズSを勝ったのも、関東のアニメイトバイオだ。
 もともと2歳女王戦のGI阪神JFでアパパネから0秒1差の2着に好走した素質馬。桜花賞8着で株を下げていたが、オークス4着で失地回復。アパパネがもたつくレースなら、ローズSくらいの走りは見せて当然の実力馬だ。
 先行・差しと自在に展開することができ、ラストの脚もしっかり伸ばす堅実派。トリッキーな京都内回り2000メートルでこそ、この器用な脚が生きてくる。決して伏兵にとどめていい馬ではない。

 もう1つのトライアル戦、東の紫苑Sを勝ったディアアレトゥーサもにわかに無視できない1頭になってきた。
 というのも、同馬の半兄はGI凱旋門賞2着で世界を驚かせたナカヤマフェスタ(父ステイゴールド)だ。父はトーセンダンスに変わったものの、この母系の勢いは侮れず、競馬の世界において同じ母系ファミリーから次々と活躍馬が輩出されるのは珍しいことではない。その意味で、今ピンポイントで最も勢いのある“血”だとも言えよう。
 父トーセンダンスにしても、現役時代は1戦しかできなかったが、全姉にダンスパートナー、全兄にダンスインザダーク、全妹にダンスインザムードのGI馬が並ぶ「華麗なる一族」。種牡馬としての潜在能力は十分に秘めている。

関西馬が意地を見せる、波乱のヒロインはここに

関西の刺客ワイルドラズベリーが波乱のヒロインとなるか 【スポーツナビ】

 劣勢の関西馬だが、だからといって「ノーチャンス」というわけではない。前身のエリザベス女王杯時代から、3歳トリプルティアラ最後の舞台は波乱の歴史。その観点から言えば、むしろ今年の“主役”も関西馬になる可能性は十分あるだろう。

 その中でも上昇度で一番と思えるのが、GIIローズS2着のワイルドラズベリーだ。気性難から春の桜花賞、GIIIチューリップ賞は力を出し切れず惨敗に終わったが、5月の白百合Sで牡馬相手に快勝。夏の休養を挟んで挑んだ前走のローズSは、メンバー最速の上がり脚で2着に突っ込み、勝ったアニメイトバイオ以上のインパクトを残してみせた。
 心身ともに成長著しく、今の出来ならトップ級相手に再びの好走も期待大。一発気配をプンプン漂わせている。

 そのワイルドラズベリーを相手に春競馬で完勝しているのが、オークス3着のアグネスワルツだ。重賞実績でもこちらの方が格上。前走が案外の7着だったため評価を落としているが、今回は上積み十分の2走目。ガラリ一変が見越せる。
 また、やはりこの馬はハナに行ってこそ最も強い競馬を展開できるのだろう。得意の先行力で小回りコースを快走してみせるか。
■第15回GI秋華賞
10月17日(日)京都競馬場 2000メートル芝・右
サラ系3歳 オープン(国際)牝(指定)馬齢 発走15:40

1(1)レディアルバローザ 55 幸
1(2)ベストクルーズ   55 三浦
2(3)ショウリュウムーン 55 四位
2(4)アプリコットフィズ 55 武豊
3(5)サンテミリオン   55 藤岡佑
3(6)コスモネモシン   55 和田
4(7)レインボーダリア  55 秋山
4(8)オウケンサクラ   55 内田博
5(9)アグネスワルツ   55 柴田善
5(10)アニメイトバイオ  55 後藤
6(11)エーシンリターンズ 55 福永
6(12)アンティフリーズ  55 松岡
7(13)ディアアレトゥーサ 55 安藤勝
7(14)タガノエリザベート 55 小牧太
7(15)アパパネ      55 蛯名
8(16)クラックシード   55 吉田豊
8(17)ワイルドラズベリー 55 池添
8(18)プリンセスメモリー 55 浜中

※左から枠番、馬番、馬名、斤量、騎手
※結果、成績などのデータは、必ず主催者であるJRA発行のものと照合し確認してください。
※レース格付けは従来のもので表記しています。

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