因縁のマリナーズとエンゼルス、それぞれの誤算

丹羽政善

開幕前は期待の好カードも…

エンゼルスの松井秀が18号2ランを放つなど日本人選手の活躍が光った3連戦だが… 【共同】

 20545人、18737人、17515人。それが、3連戦の観客数だった。
 3階席は、連日のように人がまばら。ライトの3階席など、3日とも数えられるほどのファンしかいなかった。

 2戦目の前に昼食を共にした『LAタイムズ』紙のマイク・ディジィオバンナ記者は、「入っている方じゃないか」と話したが、確かに、両チームともプレーオフを逃すことが確実な消化試合で、1戦目に2万人を超えたことは“まずまず”と言えなくもない。

 ただ、シーズン前に日程を見たとき、このシリーズと来週末にアナハイムで予定されているシリーズは、アメリカンリーグ西地区の行方を左右するだろう、との見方もあった。
 おそらく、そう読んでシーズン前にチケットを確保したファンがいたからこそ、1戦目は2万人を超えたのかもしれないが、現実は予想したものとはかけ離れていた。3試合目には松井秀喜が決勝弾を放つなど、日本のファンには楽しめる試合となったが、シーズンの行方とは無縁の空虚な戦いがフィールドで繰り広げられていた。

打撃不振が響くマリナーズ

 マリナーズのシーズンがこんなふうになってしまったのは複数の要素があるが、やはりそれは、オフェンスという言葉に行き着くのだろう。

 前出のディジオバンナ記者は、「開幕戦の3番をケイシー・コッチマンが打った時点で、厳しいと思った」と振り返ったが、エンゼルス時代からコッチマンを知る彼にしてみれば、やはりマリナーズの駒不足がそこにうかがえたよう。

 マリナーズの得点は、エンゼルスとのシリーズを終えて、両リーグ通じて最下位の431点。133試合で431点なので、1試合平均は3.24点。これは、“打てない、打てない”と言われた昨年の1試合平均「3.95」点さえ大きく下回る。

 おそらく最終的には、多く見積もって550点。ということは、現時点で、総得点の上位22チームが今後の試合で1点も取れなくても、マリナーズは彼らを上回れない計算だ。

エンゼルスも主力の打線が沈黙

 一方、エンゼルスの問題も打線だった。ディジィオバンナ記者は、「これまでの通算成績を上回ったのは、トリー・ハンターだけ。あとは、そろって全員が期待された数字を下回った」と話したが、それは松井も例外ではなく、ざっと主力の打率を拾ってみると、こうなった(現地時間9月1日試合終了時点)。

トリー・ハンター
通算:2割7分5厘 今季:2割9分1厘

ハワード・ケンドリック
通算:2割9分5厘 今季:2割7分8厘

エリック・アイバー
通算:2割7分9厘 今季:2割6分5厘

松井秀喜
通算:2割8分8厘 今季:今季2割6分2厘

ボビー・アブレイユ
通算:2割9分6厘 今季:2割5分4厘

マイク・ナポリ
通算:2割5分4厘 今季:2割4分8厘

フアン・リベラ
通算:2割8分 今季:2割4分7厘

 打率はあくまでもオフェンスの一つの目安にしか過ぎないが、ハンター以外は、見事にダウン。となれば、影響は決して小さくない。

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著者プロフィール

1967年、愛知県生まれ。立教大学経済学部卒業。出版社に勤務の後、95年秋に渡米。インディアナ州立大学スポーツマーケティング学部卒業。シアトルに居を構え、MLB、NBAなど現地のスポーツを精力的に取材し、コラムや記事の配信を行う。

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