連覇懸かるスペイン、チーム力高いアルゼンチンなど=世界バスケ注目国紹介

宮地陽子
 8月28日にトルコで開幕した男子バスケットボールの世界選手権。本命なき争いとも言われる今大会は、北京五輪のメンバーが全員入れ替わった米国以外でも、中心選手を欠くチームが多い。以下、米国以外に優勝争いに絡んできそうな4カ国をあげてみた。

見て楽しいバスケが魅力のスペイン

スペインの期待の星である19歳のルビオ。世界選手権連覇には、彼の力は不可欠 【Getty Images】

 06年に日本で行われた前回大会の優勝チームで、2年前の北京五輪でも、米国と金メダルを競り合った強豪。今回はエースのパウ・ガソル(ロサンゼルス・レイカーズ)と先発ポイントガード(PG)のホゼ・カルデロン(トロント・ラプターズ)を欠いているが、それでも国際大会の経験豊かな選手がそろい、チームとしても熟成しているだけに、優勝候補の筆頭と言っていいだろう。強いだけでなく、見て楽しいバスケットボールを、選手たち自身が楽しんでやっているのが魅力のチームでもある。

【注目選手】リッキー・ルビオ
 スペインの「楽しいバスケットボール」を体現しているのが19歳のリッキー・ルビオ(FCバルセロナ)。カルデロンの欠場によって先発PGとして起用されることになった。チームを支えるのは、兄ガソルの代わりにインサイドの柱となるマーク・ガソル(メンフィス・グリズリーズ)や、勝負強いシューターのフアン・カルロス・ナバロ(FCバルセロナ)らのベテラン選手たちだが、バスケ嗅覚に優れ、スティールやパスなどで試合の流れを変える能力を持っているルビオの力も優勝のためには不可欠。

芸術的な連携プレーを持つアルゼンチン

 10年近く世界のトップクラスを保ってきたアルゼンチンの黄金世代も、そろそろ世代交代の時期に差し掛かっている。しかも、今大会はマヌ・ジノビリ(サンアントニオ・スパーズ)、アンドレ・ノシオニ(フィラデルフィア・セブンティシクサーズ)が欠場しており、その穴は大きい。それでも世界での戦い方を知る経験豊かなチームだけに侮れない。全体に運動能力がずば抜けているわけでもなく、身長はむしろ他国に比べて低いほうなのだが、ポジションやタイミングを生かし、チームメート同士息のあった連携プレーはまさに芸術。

【注目選手】ルイス・スコラ
 ジノビリが欠場する分、カルロス・デルフィノ(ミルウォーキー・バックス)とともにチームの得点を担うことになるのがルイス・スコラ(ヒューストン・ロケッツ)。去年の米国大陸選手権MVPに選ばれるなど、実績は十分。決して派手なプレーをするわけではないが、ゴールまわりではステップやフェイクを生かして多彩なムーブから得点をあげる。選手としてもリーダーとしても、チームメートから信頼を集めている。

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著者プロフィール

東京都出身。国際基督教大学教養学部卒。出版社勤務後にアメリカに居を移し、バスケットボール・ライターとしての活動を始める。NBAや国際大会(2002年・2006年の世界選手権、1996年のオリンピックなど)を取材するほか、アメリカで活動する日本人選手の取材も続けている。『Number』『HOOP』『月刊バスケットボール』に連載を持ち、雑誌を中心に執筆活動中。著書に『The Man 〜 マイケル・ジョーダン・ストーリー完結編』(日本文化出版)、編書に田臥勇太著『Never Too Late 今からでも遅くない』(日本文化出版)がある。現在、ロサンゼルス近郊在住。

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