優勝候補は興南!? 東海大相模にも注目=第92回夏の甲子園見どころ
中京大中京と南陽工が初戦屈指の好カード
春の選抜大会を制した興南高(沖縄)は大会4日目の第4試合で鳴門高(徳島)と対戦する。エースの島袋洋奨は本調子ではなかったものの、31イニングで44奪三振と貫録を見せて沖縄代表の座を勝ち取った。打線の中心である我如古盛次・主将はチームトップの11打点、打率も5割9分1厘とチームをけん引した。7月18日の決勝から間が空いているのが気がかりだが、春夏連覇へ向けて、戦力は充実している。
この興南のブロックに入った開星高(島根)と仙台育英高(宮城)が1回戦で激突する。開星高は島根大会で背番号『20』をつけていた2年生の白根尚貴が、本大会では『1』を取り返した。36イニングでわずか1失点と安定したピッチングで春夏連続の甲子園を勝ち取った。一方の仙台育英高も1年夏に甲子園のマウンドを経験した木村謙吾がエースとして成長。右のエースである田中一也が熱中症で投げられない中、マウンドを守り抜いた。
昨夏の覇者・中京大中京高(愛知)は3日目第1試合で南陽工高(山口)と対戦。エースの森本隼平がケガで苦しむ中、2年生左腕の浅野文哉が逞しく成長した。南陽工高の岩本輝も大会屈指の好右腕。初戦から厳しい組み合わせとなった。このブロックには4年ぶり出場の早稲田実高(西東京)も入っている。
選抜で初戦敗退に終わった東海大相模高(神奈川)は夏、33年ぶりの出場。サイドハンドにフォームチェンジした一二三慎太は試合を重ねるごとに安定。チーム打率3割7分1厘、盗塁11、犠打19、四死球32とすきのない攻撃陣がエースを盛りたてる。同じ関東から初出場の水城高(茨城)が初戦の相手となる。
聖光学院高(福島)、広陵高(広島)、履正社高(大阪)、天理高(奈良)と並んだブロックが最激戦区になりそう。選抜4強の広陵高はエースの有原航平が広島大会決勝で4安打無四球完封と復活した姿を見せた。聖光学院高は福島県内の公式戦で51連勝。夏の甲子園も4年連続と、そろそろ上位進出を意識している。履正社高と天理高はともに春の近畿大会に出場しているが、対戦は実現しなかった。打線に自信を持っているチーム同士、初戦で顔を合わせるのはもったいないカードだ。
好投手の成田・中川vs.強打・智弁和歌山
この成田高、智弁和歌山高と同ブロックに入った前橋商高(群馬)がダークホース的存在。163センチの小さなエース・野口亮太は39回3分の2を投げて失点2。スライダーを主体にした抜群の制球力が持ち味で、四死球も少ない。打線の中心である3番・後藤駿太は、打率4割3分5厘。10本のヒット中、3本が三塁打と、足も速い。6番を打つ勝山大輝も打率5割で7打点と活躍した。
選抜8強の北照高(南北海道)は3日目第3試合で長崎日大高(長崎)と対戦。エースで4番の又野知弥は予選6試合すべてに登板し、3試合で完封するなど安定したピッチングが際立った。打の方でも4本塁打、11打点とチームをけん引。右手親指を負傷し、悔しい思いをした春の雪辱を誓う。北照高と同ブロックに入った報徳学園高(兵庫)は、際立った選手こそいないものの、春の近畿大会を制した勢いそのままに、総合力で激戦の兵庫大会を勝ち上がった。エースの大西一成は、1年生右腕・田村伊知郎の影に隠れた形だったが、決勝で市川を完封。25回3分の2で与えた四死球が1つと、コントロールも抜群だった。
さて、優勝の行方を占う視点となると今大会は難しい。地方大会の戦いぶり、戦力面では興南高がややリードした感がある。33年の呪縛から解き放たれた東海大相模高、春の近畿チャンピオン・報徳学園高といったあたりが上位進出へ組み合わせにも恵まれた印象だ。ただ、夏の大会は本番に入ってから急激に力をつけるチームが多々ある。15日間の熱戦が終わった時、どのような答えが出ているだろうか。
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