女子ビーチバレー、五輪への厳しい現状
ツアー初優勝を飾った尾崎(左)・金田組。女子ビーチ界は、戦国時代に突入した 【坂本清】
「このままでは厳しい」ロンドン五輪
7月18日現在の世界ランキング、日本女子のトップは、浅尾美和・草野歩組(エスワン)の46位。ロンドン五輪の出場権を、ワールドツアーの成績が関係する世界ランキングで得るためには、ランク16位までに入らなければならない。しかし、今シーズンのワールドツアー7戦を終わった段階で本戦に進めたのは、浅尾・草野組の一度のみ。他のペアを含め、日本勢は予選を突破できない状態が続いている。
今季、日本のトップチームがすべて、パートナーを変更し「ロンドンを狙う」と公言している。しかし国内外ともシーズン開幕から3カ月を過ぎ、発言に内容が伴っているとは言い難い。
国内トップ、各ペアの現在
国内では世界ランクトップの浅尾(写真)・草野組。しかし、国内ツアーで結果を残せていない 【坂本清】
日本のトップランカーでありながら、浅尾・草野組は第1戦の3位が最高。残り試合は準決勝にも進めてはいない。草野は「海外の試合では、挑戦する気持ちでガツガツできるけど、国内の試合では負けちゃいけないとプレッシャーがかかる。でも、結果的に言えば、技術力がないから負けるんだと思う」と敗因を分析する。
今大会、優勝した尾崎・金田組は、他のチームと異なり、軸足を国内に置いている。「国内でナンバーワンでなければ、海外に出て行く意味はない」と話す尾崎は、現状を的確に表現した。「飛び抜けたチームがいないというのは、レベルが高くないということ。アマチュアチームが決勝に残ってしまうのは問題だと思う」と語る。
第2戦で史上最年少の19歳で優勝した溝江(中央)とベテラン田中(右)のペアだが、今大会は5位に終わった 【坂本清】
群雄割拠の情勢を見て、楠原は、「世界で勝つために取り組んでいることが明確で、それを試して日本で負けるのは仕方ないと思うけど、実際、勝てていない。ワールドツアーでは最低限、コンスタントに本戦に出場していかなければならない。半年から1年以内に結果を出していかないと……」と真剣なまなざしで現状を見つめる。
2年後の夏。ロンドン五輪に出場できるのは、世界で24チームのみ。その霞(かす)みがちな遠きゴールに、日本チームはたどり着けるのか。ビーチバレーが正式種目となった1996年アトランタ五輪以降、4大会連続出場を果たしてきた女子ビーチバレー。その灯を絶やさないためにも、今後の日本チームの奮起に期待したい。
<了>
(取材・文/小崎仁久)
ビーチバレースタイル7月号 『水着SHOW〜2010SUMMER〜』
『ビーチバレースタイル』7月号表紙 【写真/ビーチバレースタイル】
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