レブロンに始まり、コービーに終わったシーズン=NBA2009−10シーズン総括

宮地陽子

開幕前の話題を集めたレブロン。今年、キャブスでの優勝はならなかったが、次シーズンはその動向にも注目される 【Getty Images】

 思い返せば、2009−10シーズンのNBAはレブロン・ジェームズとクリーブランド・キャバリアーズの話題で始まった。開幕の頃に一番話題だったのはキャバリアーズの大規模な補強。レブロンの脇を固めるため、そして勝てるチーム作りをする姿勢を見せて、シーズン後にフリーエージェントになるレブロンを引き止めるため、キャブスはシャキール・オニールをはじめとする大型補強で弱点を補い、注目されていた。

 そして、それから約8カ月、シーズンを締めくくったのは優勝したロサンゼルス・レーカーズであり、ファイナルMVPを取ったコービー・ブライアントだった。つまり、レブロンに始まり、コービーに終わったシーズンだったわけだ。そしてその間、つまりシーズン中も、レブロンとコービーが交互に話題をさらっていた。レブロンがトリプルダブルをあげたかと思うと、コービーがブザービーターを決めて話題になったり、レブロンがひじを痛めた、あるいはコービーがねんざした時には、まるで一大事のようにリーグにニュースが走った。
 それでは、2人にとってどんなシーズンだったのだろうか。トピックごとに、彼らの言葉で振り返ってみよう。

助っ人の活躍に差が出たキャブスとレーカーズ

「1970年代や80年代のグレートチームを見ると、どこも2人から3人の殿堂入りするような選手がいる。僕らも、シャック(シャキール・オニール)が入ったことで、そういうチームの仲間入りする可能性があると思う」
──レブロン・ジェームズ(09年10月、シーズン開幕前)

 シーズンが始まったとき、NBA中がシャキール・オニールとレブロン・ジェームズのダイナミックなコンビに興奮していた。開幕時で37歳のベテラン、オニールは全盛期ほどの支配力はないにしても、未だ存在感は大きかった。NBAの中でもさらに規格外のサイズと能力を持つ2人が同じチームにそろったのだから、期待は高まる。
 しかし結果的には、シャックはプレーオフの大事な場面で頼れる存在にはなりえず、レブロンがシーズン前に思い描いたような殿堂入りコンビにはほど遠いままシーズンが終わってしまった。故障のためにシーズン終盤に欠場したのも痛かった。シーズン途中でのアントワン・ジェイミソン獲得と合わせ、結果的にキャブスの付け焼刃的な補強を象徴する存在になっただけだった。
 レーカーズに新たに加わったロン・アーテストが、シーズン中にチームの足を引っ張ることもありながら、最後にディフェンスで、そして大事な場面でのシュートにと優勝に貢献したのとは対照的だった。

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著者プロフィール

東京都出身。国際基督教大学教養学部卒。出版社勤務後にアメリカに居を移し、バスケットボール・ライターとしての活動を始める。NBAや国際大会(2002年・2006年の世界選手権、1996年のオリンピックなど)を取材するほか、アメリカで活動する日本人選手の取材も続けている。『Number』『HOOP』『月刊バスケットボール』に連載を持ち、雑誌を中心に執筆活動中。著書に『The Man 〜 マイケル・ジョーダン・ストーリー完結編』(日本文化出版)、編書に田臥勇太著『Never Too Late 今からでも遅くない』(日本文化出版)がある。現在、ロサンゼルス近郊在住。

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