佛教大・大野が2安打完封「すべてを見せたかった」=全日本大学野球選手権リポート

松倉雄太

直球対策の東北福祉大打線を欺く快投

 第59回全日本大学野球選手権大会が8日、神宮球場、東京ドームで開幕した。東京ドームの第2試合では佛教大のエース・大野雄大(4年・京都外大西高)が東北福祉大を2安打に抑え完封。昨年に続く2回戦進出を決めた。

「大野雄大のすべてを見せたかった」。2安打完封で優勝候補を圧倒した左腕の言葉は力強かった。
 立ち上がりこそ硬さが見られ、無死満塁とピンチを招いたが、4番、5番、6番を冷静に料理して切り抜けた。2回からは、スライダー、チェンジアップなどの変化球も多投。特に2ナッシングからフォーク気味のツーシームで三振を奪う場面が3度あった。
「予想以上に変化球が多く、対応できなかった」と話したのは、東北福祉大の阿部俊人主将(4年・花咲徳栄高)。
 大野の直球対策をしてきた東北福祉大打線を完全に欺く内容。これにはリーグ戦から視察を続けてきたNPB各球団の関西地区担当スカウトたちも驚きの表情を隠せない。
「今までの大野だったら直球にこだわっていた。あれだけ変化球を交えられて、打者はどの球に絞ったらいいか分からなくなったんじゃないかな」と広島・宮本洋二郎スカウト部付部長は大野の心憎いばかりの投球内容に目を細めていた。

「球が遅い」のひと言に燃えた大野

 大野にとって、もう一つ燃えるものがあった。
「リーグ戦最後の京都学園大戦を東北福祉大が偵察に来ていたみたいで『大野の球は遅い』と言っていたらしいんです」
 この日は初回に自己最速タイとなる151キロを計測。140キロ台後半も連発した。変化球も交えたことで直球の効果が増したのも事実だ。
 試合後には多くのテレビカメラが大野を囲んだ。東北福祉大を圧倒し、全日本選手権でさらに注目度が高まっている。
「本当に気持ちが強くて、頼もしい限りです」
 大野からウイニングボールを受けとった菊野義朗監督は感無量の表情が印象的だった。
 明日の2回戦は八戸大との対戦。登板があれば今シーズン初めて2日連投になる。だが今の大野なら、さらなる期待を抱かせてくれるだろう。

<了>
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著者プロフィール

 1980年12月5日生まれ。小学校時代はリトルリーグでプレーしていたが、中学時代からは野球観戦に没頭。極端な言い方をすれば、野球を観戦するためならば、どこへでも行ってしまう。2004年からスポーツライターとなり、野球雑誌『ホームラン』などに寄稿している。また、2005年からはABCテレビ『速報甲子園への道』のリサーチャーとしても活動中。

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