4.30審判の日直前、坂田“ハッスル”亘インタビュー

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団体再興へ――坂田(左)と山口代表が決めの“ハッスル”ポーズで意欲をアピール 【スポーツナビ】

 09年10月10日の「ハッスル・ジハード」(東京・両国国技館)を最後に、資金難などによる経営危機から、イベント開催を休止しているハッスル。同12月にはTAJIRIら主要選手が大量離脱し、新団体「スマッシュ」を旗揚げすることが発表された。

 団体の消滅もうわさされるなか、再興を信じ、ひとりハッスルに残ったのがハッスル軍のエース・坂田亘だ。今年2月、4カ月間の沈黙を破り、「ハッスル復活」を高らかに宣言。リングネームを坂田“ハッスル”亘と改名し、身も心もハッスルに捧げる決意を表明した。

「坂田“ハッスル”亘〜審判の日〜」(4月30日、東京・後楽園ホール)と銘打たれた大会名は、文字通り坂田が同団体を背負っていけるかどうかをジャッジする意図が込められている。運命の日を直前に控えた坂田は現在どのような日々を過ごしているのか?

 インタビューには黒の中村カントクの陰謀によりメーンイベントで「罰ッスル(ばっする)軍」との対戦が決まってしまった山口日昇ハッスルエンターテイメント代表(本人はあくまで試合を拒否)も同席。2人に昨年のイベント中止から今大会開催に至るまでの経緯、試合に向けての意気込みなどを聞いた。

坂田「プロレスや格闘技を知らない人に何かを伝えたい」

ZERO1靖国大会でイベントに向けてあいさつ、「試合で早くリングに上がりたくなった」と心境を語った 【前島康人】

――大会が迫ってきていますが今の率直な気持ちをお聞かせください

坂田 ZERO1の靖国大会(4月11日)でリング上からあいさつさせてもらって、すごくドキドキワクワクしたんですね。あいさつだけじゃなくて、試合で早くリングにあがりたくなりましたし、不安もありますけど、「もうやるしかないだろ!!」って感じです。

――実際にファンの反応を見てどうでした?

坂田 正直言うと、ファンの反応を感じている余裕はなかったです。それよりも自分がリングに上がれたことに対する感動のほうが大きかったですね。
 前から言っているんですけど、僕らには言葉ではなく伝えなければならないテーマがあって、それはファンから何を言われても左右されることはないんですけど、例え文句であっても何も言われないよりは、いろいろ言われている方が面白いし、やる気になりますよね。

――その大きなテーマというのは?

坂田 プロレスや格闘技を知らない人にも何かを伝えたいってことですね。以前のハッスルは明るく楽しいものだということを前面に出していて、みんなに元気や勇気を与えたいと思っていました。だけど今はこんな不況であり、元気のない時代。ハッスルもその煽りを少なからず受けて全部崩れ落ちかけたんですけど、「俺たちはまだ終わらねぇよ」ってことを見せたいですね。いい部分も悪い部分もすべてさらけ出して、これからはい上がっていこうとする姿をファンにジャッジしてもらいたいです。

――ハッスル再開を最初に言い出したのは坂田選手ですか?

坂田 いや、誰かっていうんじゃなくて現時点で残っているメンバー全員の共通認識ですね。

山口 昨年の10月から、いろんな角度から再興に向けて動いていたんですけど、もろもろ処理や整理をしないといけない問題が山のようにあったので、本格的に動き出すのが直前になってしまったんです。

――ハッスルが休止してから半年が経ちますけど坂田選手は具体的には何をしていたんですか?

坂田 (大爆笑)それはどういう次元で?

――いや(笑)、坂田選手がハッスルではなくて個人で動いていたのかとか、他団体から誘いがあったのかなどですね

坂田 あぁ、そういうことね。サーフィンしていたとか大酒かっくらっていたとかじゃなくてね(笑)。まあ、僕らみたいな状況で「じゃあやるぞ!」ってなっても個人の一存じゃなかなか決められないじゃないですか。もちろん一歩踏み出す気持ちや勇気はあるんですけど、踏み出したとき「こんなこと言って大丈夫か」とかいろいろ考えて、最終的に発表がこの時期になってしまったんですね。
 僕はハッスルをこのまま終わりにしたくなかったですし、会社が最悪の状況だからって違うところでやるという考えはなかったです。

坂田「リアルにハッスルして、見ている人たちを楽しませる」

復帰第1戦ではナットーマン(右)に変身する。「とにかく面白いことをやる」と意気込んだ 【t.SAKUMA】

――以前のハッスルは「ファイティング・オペラ」を掲げていましたけど、ファンが気になるのは坂田選手のハッスルはどういう方向性を目指していくのかということだと思います

坂田 とにかく面白いことをやります! ファンが気にしているのは表面的なことなのか内面的なことなのかはわかりませんけど、UWFのようなスタイルだとかデスマッチだとか、試合スタイルがどうということじゃない。現時点で言えることはリアルにハッスルして、見ている人たちを楽しませる、ということですね。ファンとの真剣勝負。そして、それに打ち勝って一緒にハッスルしてもらいたい。

――復帰第1戦がナットーマンでの出場ということで自らハードルをあげたと思うんですけど、その決意は?

坂田 決意って言ってもなぁ(苦笑)。まぁ、でも黒の中村カントクが敵対してくれたことには、ある意味感謝していますよ。僕たちだって人間だから、どこかに自分を擁護しちゃうところがあるじゃないですか。ただ、ああいう敵が出てくると「やったるわ」っていう気になるし。

――納豆は食べられるようになりました?

坂田 いいじゃん、そんなことは(笑)。本当は食べたいんですよ。嫁さん(タレントの小池栄子さん)とか食べているのを見ると腹が立つんですから(笑)。

――対戦相手がロボットマンということでナットーマンもかなりの警戒が必要だと思いますが

山口 すべては、黒の中村カントクの陰謀ですよ。プロレスファンの資質を考えると、ロボットマンのほうがおいしいところを持っていくような気がするんですよ。そういう意味ではすごく怖いですね。ナットーマンが観客の支持を得られなかったら、僕がリングに上がらないといけなくなるわけですよね。だから一生分の念を送り込むんで頑張ってほしいですね(笑)

山口代表「僕がボロボロになる姿をファンが見たいのはわかります」

黒のナカムラ監督の陰謀により、メーンイベントで「罰ッスル(ばっする)軍」と対戦することが決まってしまった山口代表。本人は完全拒否していたが果たしてリングに上がることはあるのか 【スポーツナビ】

――山口社長のなかでは新しいハッスルをどのようにとらえているんですか?

山口 厳密に言うと、今回はハッスル再興への第一歩のイベントなんですよね。だから今回は、坂田亘がどん底からはい上がっていけるかどうかのリアルな姿を、エンターテイメントに昇華させたいなと思っています。リアルな部分をエンターテイメントにしていくというのは、よっぽどハッスルしなければなりませんし、高度な作業ですけど、その高度なことに挑戦していきたいですね。

――ファンの目は相当厳しいと思いますが

山口 そうでしょうね。覚悟しています。

――そういった意味では山口社長にリングに上がっていただくしかないと(笑)

山口 いやいや、上がっていただくしかないって(苦笑)

坂田 やっぱりみんなそう思いますよね(笑)?

――はい(笑)。やっぱりハッスルの熱烈なファンほど裏切られたという気持ちもあると思うんで、山口社長がリングに上がって戦う姿を見てカタルシスを得るんじゃないかと

山口 つまり僕がボロボロになる姿を見たいってわけですよね(苦笑)。それはわかりますよ。僕はさらし者になっても、ボロボロになった姿をさらす覚悟はあっても、プロレスはできないですから。試合をやっても10秒で終わっちゃう。ただ歩いているだけでケツの筋肉がつる人間ですから。

――大谷選手も山口社長の「素人はリングにあげない」という言葉に笑っていましたけど、そもそも素人をリングにあげていたのはハッスルじゃないですか(笑)

坂田 ハハハ(大爆笑)

山口 確かに、おっしゃる通りです(笑)。ただインリン(オブ・ジョイトイ、タレント)さんにしても(ウォーレン)クロマティ(元プロ野球巨人軍)さん、カイヤ(俳優・川崎麻世夫人)さん、泰葉さん(歌手)、海川ひとみ(タレント)さんにしても猛特訓を事前にしているわけですよ。それに皆さん、もともとは舞台に上がっている人間。僕は表舞台に立てる人間じゃないですから。

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