K−1煽り映像への情熱を語る(1)――佐々木敦規氏 「こんなに素敵な選手たちを、みんなに伝えたいと思いました」
プロレスファンの目線で番組作り
『SRS』で藤原紀香さんやハセキョーを育てたのも“巨匠”だ!(半分ホント) 【(C)FEG Inc.】
当時、リアルファイトは、閉鎖されている印象が強くて、あまり興味が持てなかったんですよね。第1回大会は観ましたけど、ホーストとシカティックって、誰だこれ!? みたいな感じでしたから。ですから、あくまでも仕事として受けたんです。それで初めて担当したのは、95年の12月に行われた『K−1 HERCULES』。この大会は、武蔵(当時=ムサシ)とスタン・ザ・マンの試合が組まれていて、これはとても重要な試合だったんです。日本人エースとして、武蔵を盛り上げて行きたい。武蔵をツールとしてK−1を日本人に広めたいという、大きな目的がありました。
――なるほど
そして95年12月に、『プロ野球ニュース』で初めてK−1を扱うことになったんです。武蔵を題材にしてK−1という競技があることを、全国放送に乗せたいと。それを『SRS』のパイロット(案内役)にしたいということで、僕が携わることになったんです。
――プロレスファンの佐々木さんに、なぜ頼むことになったのでしょうか?
他にもディレクターはいましたが、おそらくマニア目線ではなく、俯瞰で格闘技の番組を作れると思ったのではないですかね。『プロ野球ニュース』の中で、10分間の武蔵特集、12月の『K−1 HERCULES』のバックヤードの中継を担当したのが初めてです。
ファイターの個性に目が行きます
“豪腕”マイク・ベルナルドの興味深い思い出話も飛び出した! 【(C)FEG Inc.】
海外の強い選手に、日本人が立ち向かっていくということを見せながらブームアップするという目線が、できていきました。そして96年の『SRS』につながっていきます。
――やり甲斐がありますね
大変ですよ。格闘技を知らない人たちに教えるわけじゃないですか。で、その僕もまだ知らないという状況で、選手のこと、技のことを一緒に勉強しましたよ。コアにいっていた格闘技を、いかにマスに向けていけるかが勝負で。大事な時期でした。
――深く入っていきながら、マスを意識するのは難しいことです
自分が知らないから、それを掘り下げて見せればいいだけというのもありましたよね。このハイキックは、なぜ相手に見えないのとか。この選手はどういう人間なのかとか、素人の目線をテーマにしていました。
――のめり込んでいくと、どうしてもコアな目線になっていきますが
元々、僕がプロレスファンだからなのか、気持ち良く3カウントで終わるとか、K−1ならばKOで決まるとか、派手な結末じゃないと面白みを感じないんですよね。技の攻防とか、そういうことには、あまり興味が沸かなくて、いかにファイターの個性が面白いかってところに目が行ってしまうんですよ。それは、いかに人に興味を持てるかなんですよね。
――そこが原点のようですね
なにを背負って、なんでこんなに痛い思いをしているのか。これまで、僕がすれ違っていない人たちばかりですからね(苦笑)。それが面白くて、面白くて。逆に、そこに興味を持って作るようにしていました。技術的なものは、他のディレクターに任せて(笑)、僕は人にフォーカスすることが多かったです。
――人間にハマっていった、と
こんなに魅力的な選手がたくさんいて、これをみんなに伝えてあげたいなと思うようになりましたよね。
――報道の基本は、そこですね
僕がラッキーだったのは、そうしたみんなに知らせるツールが、テレビだったことです。今でこそ、ツイッターやブログとかありますけど、僕にはテレビがありました。ただ、あまりコアには行かないようにしていましたね。僕には得意じゃないと思っていたので。
ベルナルドの人物像に迫る
一番、最初に親しくなったのは、マイク・ベルナルドなんですね。当時の彼は、ピーター・アーツを二回も倒して、トップ戦線に躍り出てきて、怖い顔でリングで暴れ回り、ワンパンチで倒すという強烈な試合をしていました。でも、リングを下りれば、陽気な笑顔を見せるんですよ。しかも敬虔なクリスチャンで、トレーナーが黒人でしたからね。ご存知のように南アフリカは、歴史を紐解けば、アパルトヘイト(人種隔離政策)で問題になったこともあった国。その南アフリカの白人のベルナルドが、なぜ黒人のトレーナーと仲良くしているのか。それだけでもテーマになりました。
――そうでした
リングの上と下で、まったく違う顔を持ちながら、背負う環境、社会性、そういうものがすべて揃っていたんです。これは、行くしかないなと思い、南アフリカまで飛びましたね。彼はケープタウンに住んでいたんですけど、あそこはヨハネスブルグと比べると、比較的、安全というか裕福な人たちが多く集まる場所だったんです。だから、人種差別なんてあまり関係なくて、トレーナーと一緒にご飯を食べているし、肩を組んでいる。その姿が、逆にとても新鮮でした。本人は、もちろんアパルトヘイトのことは知っていましたけど、“だから!?”って感じでしたね。それを流すだけでも、一つの目線が作れるわけです。
※第2弾「アンディ・フグが亡くなる直前、僕は悲しい仕事をしていました」へ続く。
【PROFILE】
佐々木敦規(ささき・あつのり)
1967年4月8日生。バラエティ、アイドル、お料理、格闘技、プロレス番組などなど、幅広い分野で活躍しているTVディレクター、演出家。フジテレビの伝説的格闘技番組『SRS』ではディレクターを務め、多くのファイターたちを世間にひろめ、格闘技の知名度アップに大いに貢献した。現在はFEGオフィシャル映像チーム代表として、K−1海外中継、スカパー!PPV、K−1プロモーションビデオの制作指揮をとっている。FILM Design Works主宰、一児のパパ。
■ツイッター http://twitter.com/Atsunorisasaki/
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