運命の再戦―ローズキングダムvs.ヴィクトワールピサ=皐月賞展望

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牡馬クラシック第一冠・皐月賞を制すのはローズキングダム(左)かヴィクトワールピサか 【スポーツナビ】

 JRA3歳牡馬クラシック第一冠、第70回GI皐月賞が18日に中山競馬場2000メートル芝で開催される(発走は15時40分)。

 「最も速い馬が勝つ」と言われ、完成度も問われる三冠の第一関門。近年では中山コースのトリッキーさ、さらにその中での18頭多頭数でマギレが生じやすいことなどから、三冠レースで最も勝つことが難しいレースとさえ言われるようになってきた。
 事実、過去10年で1番人気は3勝2着2回の5連対ながも、05年にディープインパクトが1番人気で勝って以降、1番人気は06年から4年連続で勝利はおろか2着も確保できていない。3連単は平均59万2560円と、大荒れ傾向。昨年も無敗の1番人気馬ロジユニヴァースがまさかの14着に沈んでいる。

 波乱要素も十分に漂う中山2000メートル決戦に、今年も18頭がエントリー。注目は“2強”。2歳王者ローズキングダムと、5戦4勝ヴィクトワールピサだ。
 両雄はくしくも昨年10月25日、同じ京都第5レース(1800メートル芝)でデビュー。この初戦はローズキングダムが鮮やかに勝利し、この勢いのままGI朝日杯フューチュリティステークスを無敗で制覇した。
 一方のヴィクトワールピサも敗戦後すぐに未勝利戦を勝ち、西の出世レースであるGIIIラジオNIKKEI杯2歳S、明けて3月のトライアルGII弥生賞を含め4連勝。現3歳世代の“2強”を形成していくこととなった。

 ただ、トライアルでは弥生賞を強烈なパフォーマンスで快勝したヴィクトワールピサとは対照的に、ローズキングダムはGIIスプリングSで物足りない内容の3着。この結果を踏まえ、下馬評では本番を待たずして立場が逆転しつつある。
 成長を見せているヴィクトワールピサが3歳新王者に就くのか、それともローズキングダムが底力を見せるのか。運命の再戦にして、三冠戦線いきなりのクライマックスが早くもやってきた。

ヴィクトワールピサ万全! 世代最強は目の前だ

目下の勢い、ローテーションともに文句なし! ヴィクトワールピサがここで『1強』となるか 【スポーツナビ】

 土をつけられた新馬戦の借りを返す時が来た。4連勝で挑む本番・皐月の舞台。前走で同コース・同距離を完勝し、ローテーションも叩き2走目の中5週と理想的。態勢としては文句なしだろう。
 GII弥生賞を勝利後、主戦の武豊は「いいトライアルでした。これで堂々と本番にいけますね」と笑顔で語った。それくらい、内容が詰まったレースだった。
 初の関東への長距離輸送、馬群に終始包まれる最内1枠、そして雨の重馬場……これら不安要素を一度の競馬で克服。ましてレースは、ラスト100メートルまで前が壁になる苦しい展開だった。これすらも涼しい顔で跳ね除け、まるで同世代の他馬を子ども扱い。着差は半馬身でも、ただ、ただ「強い!」とうならせられるレースだった。

 ヴィクトワールピサはあのナリタブライアン、ディープインパクトのように派手な着差をつけるレースは見せていない。それでも一戦ごとの成長が目に見えて分かる。角居調教師もこの右肩上がりの進化に触れ、「ウオッカの思いをつなげてくれる馬が出てきてくれました」と頬をゆるめた。
 この中間も栗東坂路とCWコースで入念に乗り込み、最終追い切りはCWコース3頭併せで豪快に最先着。さらなる成長と上昇度をアピールしている。

 デビュー戦から全5戦手綱を握り、同馬のすべてを手の内に入れていた武豊が落馬負傷により戦線離脱したことは確かに痛い。だが、後任の岩田康誠も東西随一の名手で、昨年の皐月賞ジョッキーだ。
 持てる能力を出し切れば、結果は自ずとついてくるだろう。第一冠目でアッサリとライバル対決に終止符を打ち、世代最強の称号とともに日本ダービーへ王手をかけるか。

王国復権へ、ローズキングダム態勢は整った

巻き返しへ態勢は整った! ローズキングダムが王者の意地を見せる 【スポーツナビ】

 わずか1度の敗北で立場が逆転。2歳王者にとっては屈辱だったに違いない。しかし、だからこそ競馬は厳しく、王座は尊い。この敗戦を糧に真の強者となるか、それともこのまま落ちぶれてしまうかは、その馬次第だ。
 もちろん、ローズキングダムは前者と信じたい。ショックの大きい敗戦後まもなく、小牧太はキッと視線を鋭くし、こう語気を強めた。
 「本番ではリベンジしますよ」

 3カ月ぶりのスプリングSは馬体重マイナス2キロ。数字的にも見た目にもよく仕上がっていたと思われたが、レースでは伸び脚を欠いた。これは久々の影響だろう。
 この時期の3歳馬にしては馬体増がなかったことから、成長度に「?」につける向きもある。しかし、もともとこの母系の一族は体が華奢で、大ぶりな馬は出てこない。ローザネイを祖とする「バラ一族」出身馬は古馬になってからも活躍するタイプが多く、ローズキングダムを早熟と断じるには早計すぎる。

 本来は好位にスッと取り付ける自在さがあり、仕掛けてからの反応・瞬発力は抜群。それでいて、馬体を並べての叩き合いも制する持続性+根性と、オールマイティな非凡さを持った馬だ。
 2歳時の3戦と見比べれば、前走スプリングSは決して彼本来の走りではなかったことは明らか。久々を1回叩いたことで、本当のローズキングダムが甦れば再びヴィクトワールピサをねじ伏せての王座防衛は、難しいことではない。

 14日の最終追い切りは、栗東坂路で4F4F51秒6−1F12秒6の自己ベストをマーク。もともと攻めで目立つタイプではないだけに、一杯に追われた1週前のポリトラックコースも含め、これだけやれれば十分だ。反撃態勢は整ったと見ていい。あとは、晴れの良馬場を願うだけだろう。

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