運命の再戦―ローズキングダムvs.ヴィクトワールピサ=皐月賞展望

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東の大将アリゼオ、2強崩しへ一気逃げ再び

GIIスプリングSでローズキングダムを完封したアリゼオ(左)、再びマイペース逃げが決まれば怖い 【スポーツナビ】

 この2強を崩すとしたら、関東期待のアリゼオか。GIIスプリングSでは淀みない流れを自ら作って逃げ切り快勝。ローズキングダムに初めて土をつけさせた。

 この勝利で一気に東の主役に名乗りを挙げたが、それもうなずける素質の持ち主。ただ、その一方で1番人気を裏切ったGIII共同通信杯のように、折り合いと気性面に課題を持っている。あの名手クリストフ・ルメールですら手を焼いた馬。そのマイナス面がまたいつ顔をのぞかせるか、不安も背中合わせにつきまとう。
 しかし、この燃える気性を「逃げ」という形でプラス方向に働かせたのが、今季絶好調のベテラン横山典弘だ。当然、トライアルと本番とではメンバーも頭数もレベルも違うが、前走同様に自らのペースに持ち込めば再度一気の押し切りがあっていい。

 2月共同通信杯でアリゼオを3着に負かしたのが、同じ関東馬のハンソデバンド。2着に下した相手も後のGIII毎日杯の勝ち馬ダノンシャンティで、今振り返ればかなり充実したレベルのメンバーでの重賞Vだった。
 それ以来2カ月半ぶりのレースとなるが、これは予定通りのローテーションで、乗り込み量は豊富。むしろ、この2カ月半ぶりが嫌われて人気を落とすようなら、オイシイ穴馬になる。
 同馬の持ち味は好位から立ち回れ、ラストでピリッとしたひと脚を使える器用さ。中山コースでは大きな武器になるだろう。ただ、この馬も気の良すぎる面があるので、初の2000メートルを克服する上での折り合いがポイントとなりそうだ。

エイシンアポロン、リルダヴァルら伏兵以上の実力馬多数

安定感なら抜群のエイシンアポロン、今回も上位争いに参戦だ 【スポーツナビ】

 ほか、今年の3歳牡馬は伏兵というには強力すぎる素質馬、実力馬が勢ぞろいしている。

 エイシンアポロンはGI朝日杯2着・GII弥生賞2着と安定感抜群。先行・差しと自在に勝負でき、最後もキッチリと伸びてくる展開不問の強さを持つ。最終追い切りは栗東坂路で4F49秒8の超抜時計をマーク。渾身の勝負仕上げを施してきた。この出来ならば今回も大崩れはないか、いや、流れひとつで頂点も見えてくる。

 西のトライアル・若葉Sでは2着に敗れたヒルノダムールだが、2走前の若駒Sが強烈。角居厩舎期待の良血馬ルーラーシップをものともせず突き放した33秒1の脚は圧巻だった。まだ荒削りな分、安定して力を発揮できる馬とは言えないが、それだけハマれば破壊力満点ということだ。

 素質なら“2強”に負けない存在が、最後のクラシックを迎える名門・池江泰郎厩舎のリルダヴァル。デビューから2連勝後、骨折に見舞われたが、そこから脅威の回復力で挽回。もとより、ディープインパクトの甥という血統背景は大きな魅力だろう。
 前走の毎日杯は骨折明け、半年ぶりのレースにも関わらず3着とさすがの能力を披露した。1度使ったことで体調はグンと良化されているはず。そして、フルゲート18頭中18番目で出走ラインに滑り込んだ強運も見逃せない。

2頭出し藤原英厩舎勢が波乱を呼ぶか

もう1頭のエイシン軍団・エイシンフラッシュにも一発の魅力 【スポーツナビ】

 GIII京成杯勝ち馬エイシンフラッシュ&GIIIきさらぎ賞勝ち馬ネオヴァンドーム。重賞2頭出しをかけてきた藤原英厩舎勢も怖い。
 鼻肺炎の兆候が見られ、予定していた若葉Sを回避するアクシデントがあったエイシンフラッシュだが、大事には至らず中間の動きは良好。鉄砲が利くタイプだけに、いきなりから力を出してきそうだ。皐月賞と同じ中山2000メートル芝で重賞勝ちの実績は心強い。
 一方のネオヴァンドームの成長ぶりは目を見張るものがある。まだまだ伸びシロは大きく、03年二冠馬の父ネオユニヴァースから受け継ぐ性能の高さは折り紙つき。ここで素質が開花すれば面白い1頭に。

 また、末の切れ味ならメンバー中1、2を争うレーヴドリアンの一撃、04年皐月賞馬ダイワメジャーの甥にあたるダイワファルコンの潜在能力も不気味。大駆けならこの2頭か。
■第70回GI皐月賞
4月18日(日)中山競馬場 2000メートル芝・右
サラ系3歳オープン(国際)牡・牝(指定)定量 発走15:40

1(1)リルダヴァル    57 福永
1(2)ハンソデバンド   57 蛯名
2(3)トーセンアレス   57 田中勝
2(4)ネオヴァンドーム  57 安藤勝
3(5)ローズキングダム  57 小牧太
3(6)ゲシュタルト    57 勝浦
4(7)レッドスパークル  57 秋山
4(8)バーディバーディ  57 松岡
5(9)サンディエゴシチー 57 浜中
5(10)シャイン      57 和田
6(11)エイシンフラッシュ 57 内田博
6(12)エイシンアポロン  57 池添
7(13)ヴィクトワールピサ 57 岩田
7(14)レーヴドリアン   57 藤岡佑
7(15)ダイワファルコン  57 北村宏
8(16)ヒルノダムール   57 藤田
8(17)ガルボ       57 後藤
8(18)アリゼオ      57 横山典

※出馬表などのデータは、必ず主催者であるJRA発行のものと照合し確認してください。
※レース格付けは従来のもので表記しています。

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