好調のパナソニック、満身創痍で挑む日立=JBLプレーオフ出場チーム紹介・後編

松原貴実
 3月28日、JBL(日本バスケットボールリーグ)は2009−2010レギュラーシーズンの全試合を終え、1位アイシン(31勝11敗)、2位リンク栃木(27勝15敗)、3位パナソニック(25勝17敗)、4位日立(23勝19敗)とプレーオフ出場4チームの順位が確定した。4月3日に迫った、プレーオフ・セミファイナル。今回はともに2年連続2回目のプレーオフ進出を決めたパナソニックと日立に注目してみたい。

ファイナル進出を目指す、好調のパナソニック

ポイントガード・木下博之はパナソニックにおいて、不可欠な存在。好調をキープし、プレーオフに挑む 【Photo:アフロ】

 プレーオフ進出一番乗りを果たしながら、後半失速して3位に後退した昨シーズンとは逆に、シーズン終盤8勝2敗と徐々に調子を上げて3位を勝ち取った今季のパナソニック。その中でもフル出場した11試合を含め、ほとんどの試合で30分以上コートに立ったポイントガード木下博之の活躍が光る。インサイドの青野文彦、アウトサイドの永山誠、スピードが持ち味の広瀬健太へと、木下が繰り出す的確なパスはパナソニックの利点である『内外のバランスの良さ』を色濃く引き出した。さらに自分が攻める場面では躊躇(ちゅうちょ)なくシュートを放つ。得点3位(平均16.75)、アシスト1位(平均4.08)、スリーポイント成功率3位(42.02パーセント)、フリースロー成功率2位(86.03パーセント)と、部門別ランキングの上位に並んだ木下の名前は、今季の充実ぶりを証明している。
「(木下は)今のチームになくてはならない存在」と清水良規HC(ヘッドコーチ)が多大な信頼を寄せるのも無理からぬことだろう。
 
 また、同じく清水HCが、チームに不可欠な存在として名を挙げるのはセンターの青野だ。「アイシンのアドバンテージが桜木ジェイアールならば、うちのアドバンテージは青野」(清水HC)という言葉どおり、桜木、竹内公輔、ジョシュ・グロスと強力なインサイド陣がそろうアイシンに対し、ゴール下を死守する210センチの青野の高さは最大の武器となる。アイシンのインサイドを1対1で守れる唯一のチームとして、パナソニックの活躍に期待するファンも少なくないはずだ。

 そのパナソニックが、プレーオフ最初の舞台でまず倒さなくてはならないのは、レギュラーシーズン2位で初のプレーオフ進出を決めた、リンク栃木である。シーズン開幕前から『要注意チーム』としてリンク栃木の名を挙げていた清水HCだが、レギュラーシーズンは2勝4敗と負け越している。とはいえ、最終対決となった3月13日、14日の2連戦で86−80(1勝)、83−84(1敗)と僅差(きんさ)で星を分けていることからもわかる通り、力は互角。創部3年目でプレーオフ進出を果たしたリンク栃木の勢いに対し、2度目の舞台となるパナソニックは、その経験を武器にしたいところだ。いずれにせよ、短期決戦のセミファイナルは予断を許さぬ総力戦が展開されるはず。青野がベンチに下がった時の大西崇範の踏ん張り、流れを呼び込む根東裕隆のアグレッシブなプレーなど、ベンチスタートの選手がいかに活躍するかが大きなカギとなりそうだ。

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著者プロフィール

大学時代からライターの仕事を始め、月刊バスケットボールでは創刊時よりレギュラーページを持つ。シーズン中は毎週必ずどこかの試合会場に出没。バスケット以外の分野での執筆も多く、94『赤ちゃんの歌』作詞コンクールでは内閣総理大臣賞受賞。

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