武豊ヴィクトワールピサ4連勝! 皐月賞へ主役交代だ=弥生賞

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武豊騎乗のヴィクトワールピサ(白帽)が4連勝で皐月賞へ! 【スポーツナビ】

 JRA3歳牡馬三冠レース第1弾・GI皐月賞(4月18日、中山2000メートル芝)への優先出走権をかけたトライアルレース、第47回GII弥生賞が7日に本番と同じ中山競馬場2000メートル芝で行われ、武豊騎乗の断然1番人気ヴィクトワールピサ(牡3=角居厩舎)が優勝した。重馬場の勝ちタイムは2分6秒1。

 同馬は4連勝で通算5戦4勝、JRA重賞は昨年12月のGIIIラジオNIKKEI杯2歳Sに続き通算2勝目。レースは最内ピッタリ追走の道中から、最後の直線で前がふさがりながらもわずかな間隙を突くと、残り100メートルで余力十分の差し切り勝ち。2着の2番人気エイシンアポロン(牡3=岡田厩舎)とは半馬身差ながらも、内容はそれ以上の完勝であり、一冠制覇へ視界良好の勝利となった。

 なお、2着エイシンアポロン、さらに1馬身3/4差の3着に入った7番人気ダイワファルコン(牡3=上原厩舎)までに皐月賞への優先出走権が与えられる。

最内、道悪、長距離輸送といずれも課題をクリア

着差以上の強さ、内容を見せた相棒に武豊もニッコリの笑顔 【スポーツナビ】

 皐月賞の主役へ、そして宿命のライバル打倒へ名乗りを挙げた。

 「弥生賞からは過去にもたくさんのクラシックホースが出ていますからね。その意味では本番へ堂々と臨めます」
 主戦の武豊がニッコリと笑みを浮かべた。単勝オッズは断然の170円。当然のことながら、勝利の2文字が大きく期待された一戦。それでも、武豊はあえて馬に課題を与えつつ、本番と同じコース条件のレースに臨んだ。

 「本番は今日よりも頭数が多くなるし、メンバーも強くなるから、いろんなことに対応できないといけない。今日は1枠ということもあって、いいトライアルになりましたね。道悪も、内枠も、長距離輸送もクリアしてくれました」

 決して楽なレースだったわけではない。道中は内ラチぴったりに、前から5〜6番手を追走。「折り合いはついていました」と息はピッタリだったが、勝負どころの3〜4コーナーでは、後続勢が外から雪崩のように押し上げていく一方で、前が壁になっているヴィクトワールピサはいっしょに上がっていくことができず、後方に取り残されかけた。

前がふさがるピンチもなんの! 着差以上の完勝だ

ゴール手前、視界が開けたとたんにあっという間の差し切り 【スポーツナビ】

 万事休すのこのシーンだが、鞍上は冷静。むやみに外へ持ち出そうとせず、「前が必ず抜け出してくれるだろう」と、“壁”となっていたエイシンアポロンの真後ろにピタリついていくと、その通りエイシンアポロンが最後の直線、勢い良く先頭へ駆け上げっていく。ヴィクトワールピサもこれに連れて射程圏の位置まで上がっていくが、まだピンチは脱出できない。依然として前方はふさがったままだ。
 「スペースを探していました。狭かったんですけど、できたスペースに入れましたし、その時の反応、脚はすごく良かったですね」
 武豊ヴィクトワールの視界がクリアになったのは、わずか残り100メートルを切ってから。それでも抜群の瞬発力を発揮すると、むしろ余力十分にエイシンアポロンをかわし、悠々と先頭でゴールしてみせた。

 着差は半馬身。しかし、内容はそれ以上の完勝。「1戦1戦、テーマをもって乗ってきたつもりですし、いい形で馬がそれに答えてくれます」と、重賞連勝を含む4連勝での皐月賞進出に、武豊も納得の表情を浮かべた。

 そしてこの勝利で、胸を張って“あの馬”に再び挑戦状を叩きつけることもできる。
 「ローズキングダムは2歳チャンピオンにもなりましたし、ナンバーワンの馬だと思います。実際、こちらは1度負けていますが、その後ずっと勝ち続けてまた再戦できるのはいいことですね」
 ヴィクトワールピサが走ったこれまでの5戦、唯一敗れているのはデビュー戦の昨年10月25日・京都1800メートル芝。先着を許した相手こそ、後の2歳王者ローズキングダムだった。その2歳王者は2週後の21日、ここ中山の1800メートル芝で行われるGIIスプリングSから皐月賞に向かう。

ウオッカの後継馬へ――角居調教師「ファンを呼べる馬に」

新馬の借りは皐月賞で――ローズキングダム打倒へ大きくアピール 【スポーツナビ】

 まずは弥生賞を完勝の形で制し、強烈なパフォーマンスで再戦をアピールして見せた武豊とヴィクトワールピサ。
 「今年初戦をいい形で勝つことができた。この後の調整は厩舎スタッフの方が進めてくれると思うので、あとは僕がしっかり乗るだけですね」

 一方の角居調教師も、厩舎の絶対エース・ウオッカが無念の引退となったものの、「ウオッカの思いをつなげてくれる馬が出てきてくれました。今後、お客さんを呼べるような馬に仕上げていきたいですね」と、同日の阪神9Rアルメリア賞を勝ったルーラーシップとともに、直後の後継馬の誕生に喜びもいっぱいだ。

 1度敗れた借りは大舞台で返してこそ。主役交代へ、そして王座交代へ――ヴィクトワールピサが大きく前進した。
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