大宮、新戦力のDNAで生まれ変わった姿へ=激化するポジション争いとともに迎える新シーズン
例年にない大型補強 ポジション争いは激化
新加入選手は10名。大宮は大胆な補強を行い、チーム登録選手の約3分の1が入れ替わることになった 【写真提供:大宮アルディージャ】
昨シーズン終了時点でのメンバーから10名の選手がクラブを去り、新たに10名の選手が加わった。チーム登録選手の約3分の1が入れ替わることになるが、特にボランチやDF、GKといった守備型の選手が多い。今季からチーム強化、育成両部門のトップとなった結城治男・強化育成本部長は、「サイド攻撃でもっとアグレッシブに戦いたいので、アップダウンできるサイドバックを補強した。そのためには真ん中でしっかりと守備ができないといけない。守備陣を固めることによって、より攻撃的なサッカーができる」と補強のポイントを説明する。06年シーズンに匹敵する大胆な血の入れ替えを断行した。
ポイントとなるサイドバックは3名の新戦力を獲得した。川崎フロンターレから移籍の村上和弘、ヴァンフォーレ甲府から獲得した杉山新は、いずれも豊富な運動量、激しい上下動が持ち味のサイドバックだ。また、ヴィッセル神戸から期限付き移籍の坪内秀介(前所属は大分トリニータ)は、サイドバックだけでなくセンターバックやボランチを務めた経験を持ち、守備のユーティリティープレーヤーとして期待が大きい。
中心線の守備の要には、大分トリニータから深谷友基と、韓国Kリーグ水原三星から安英学を獲得。対人能力の強さを誇る深谷、かつてJリーグでもプレーした現役北朝鮮代表の安と、安定感を期待できる戦力だ。
最後方のGKには新たに2名の新戦力を加えた。アルビレックス新潟から移籍の北野貴之は、昨季フル出場したJ1クラブのGKの中で、90分当たり0.91失点(鹿島アントラーズの曽ヶ端準の0.88失点に続いて2位)という堅守を誇る。過去セレッソ大阪や愛媛FCで活躍した多田大介も「クロスへの対応と左右両足で蹴れるフィード」(多田)を持ち味に試合出場機会を狙っている。
補強は守備陣だけではない。中盤のアタッカーには大卒ルーキーを2名獲得。流通経済大学の攻撃の中心として活躍した金久保順は「相手の嫌がるプレーをできると思う。自信を持って攻撃したい」と腕を撫す。阪南大学から加入の木原正和は、50メートル5秒7で駆け抜ける俊足を武器にピッチを駆け回る。
新加入選手だけで1チーム作れそうな大型補強。だが、ユース所属のままトップチーム登録されたMF宮崎泰右を加えた29名のうち、先発で試合に出場できるのは11名のみ。チームメートとともにはつらつと体を動かす選手たちの心のうちには、「生き残るのはおれだ――」、そんな思いが秘められていた。