大宮、新戦力のDNAで生まれ変わった姿へ=激化するポジション争いとともに迎える新シーズン

土地将靖

例年にない大型補強 ポジション争いは激化

新加入選手は10名。大宮は大胆な補強を行い、チーム登録選手の約3分の1が入れ替わることになった 【写真提供:大宮アルディージャ】

 気温こそ真冬のそれだが、青く澄んだ冬晴れの空の下、風も幾分穏やかである。まるで新チームのスタートを優しく見守るかのような好天。だが、ピッチの様相はそんな生易しいものではない。新アルディージャ誕生への過程には、例年に増して激化したポジション争いがある。グアム、宮崎でのキャンプを含めた開幕までの準備期間はさながらサバイバルレース。1月18日、志木グラウンドにてその号砲が鳴らされた。

 昨シーズン終了時点でのメンバーから10名の選手がクラブを去り、新たに10名の選手が加わった。チーム登録選手の約3分の1が入れ替わることになるが、特にボランチやDF、GKといった守備型の選手が多い。今季からチーム強化、育成両部門のトップとなった結城治男・強化育成本部長は、「サイド攻撃でもっとアグレッシブに戦いたいので、アップダウンできるサイドバックを補強した。そのためには真ん中でしっかりと守備ができないといけない。守備陣を固めることによって、より攻撃的なサッカーができる」と補強のポイントを説明する。06年シーズンに匹敵する大胆な血の入れ替えを断行した。

 ポイントとなるサイドバックは3名の新戦力を獲得した。川崎フロンターレから移籍の村上和弘、ヴァンフォーレ甲府から獲得した杉山新は、いずれも豊富な運動量、激しい上下動が持ち味のサイドバックだ。また、ヴィッセル神戸から期限付き移籍の坪内秀介(前所属は大分トリニータ)は、サイドバックだけでなくセンターバックやボランチを務めた経験を持ち、守備のユーティリティープレーヤーとして期待が大きい。
 中心線の守備の要には、大分トリニータから深谷友基と、韓国Kリーグ水原三星から安英学を獲得。対人能力の強さを誇る深谷、かつてJリーグでもプレーした現役北朝鮮代表の安と、安定感を期待できる戦力だ。
 最後方のGKには新たに2名の新戦力を加えた。アルビレックス新潟から移籍の北野貴之は、昨季フル出場したJ1クラブのGKの中で、90分当たり0.91失点(鹿島アントラーズの曽ヶ端準の0.88失点に続いて2位)という堅守を誇る。過去セレッソ大阪や愛媛FCで活躍した多田大介も「クロスへの対応と左右両足で蹴れるフィード」(多田)を持ち味に試合出場機会を狙っている。

 補強は守備陣だけではない。中盤のアタッカーには大卒ルーキーを2名獲得。流通経済大学の攻撃の中心として活躍した金久保順は「相手の嫌がるプレーをできると思う。自信を持って攻撃したい」と腕を撫す。阪南大学から加入の木原正和は、50メートル5秒7で駆け抜ける俊足を武器にピッチを駆け回る。
 新加入選手だけで1チーム作れそうな大型補強。だが、ユース所属のままトップチーム登録されたMF宮崎泰右を加えた29名のうち、先発で試合に出場できるのは11名のみ。チームメートとともにはつらつと体を動かす選手たちの心のうちには、「生き残るのはおれだ――」、そんな思いが秘められていた。

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著者プロフィール

1967年1月28日、埼玉県生まれ。93年、現在のWEB版「J's GOAL」の前身である試合速報テレホンサービス「J's GOAL」にて、試合リポーター兼ライターとして業界入り。2001年よりフリーランスとなりライターとして本格活動を開始、大宮アルディージャに密着し週刊サッカーマガジン(ベースボール・マガジン社)ほか専門誌等に寄稿している。

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