青森山田・黒田剛監督「柴崎には日本を代表するような選手になってほしい」=高校サッカー決勝

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10分、15分くらいはふわふわしているような状態だった

青森山田の黒田監督は、柴崎(右)への期待を口にした 【たかすつとむ】

 今日の試合は選手には開始10分、15分集中していこうと、立ち上がりガッくるのは分かっていたので、そこをしっかりとまずは守備をして落ち着いていこうということで入りました。ですが、いざ始まってみるとディフェンス陣に堅さがあり、ボールの失い方が悪かったりと、伸び伸びとやってきた山梨学院に比べてすごく堅さの目立つ、対照的な入り方をしてしまいました。ああいう舞台ですから、なかなかペースをつかむことができずに、そんな中での失点でした。失点をさかいにちょっと目が覚めて本来の青森山田サッカーが少しずつ出てくるようになったんですけど、ゴールがちょっと遠かったかなという感じです。後半はいい場面があってチャンスも多く作れたと思うんですけど、相手のディフェンス陣が身体を張って守ってゴールを割らせてくれなかった。そういったところも含めて試合巧者の山梨学院の方、このゲームに関しては最初の10分、15分の入り方を間違えなかった方がそういう結果をもたらしたと思います。

――立ち上がりを想定して、あらかじめて用意していたことは?

 メンタルだけなので、国立のピッチに入ったときにあの観衆がいて、歓声が上がっている中で平常心でいられるかどうかというところが一番心配だったんですけど。準決勝も今日もそうですけど、10分、15分くらいは本当にふわふわしているような状態だったかなと。ミーティングルームのボードにも立ち上がりだと書いたし、相手が立ち上がり本当に集中してくるぞ、と。そこの入り方で準決勝のようになるなよ、ということで話はしてたんですけど、いざピッチに入って独特の雰囲気の中でやったときにちょっと頭が真っ白になっちゃったんじゃないかなという感じは受けました。

――後半、FKの場面で中島選手に指示を出したとき、その後に輪ができたが、何を指示したのか?

 ゴール前でのFKが前後半でそれぞれ2つくらいあって、ちょっと距離があったんですが、トレーニングでやってきたトリックをやった方がいいと。ちょっと距離があったので、どうかなというのはあったんですが、次はやれよと。結局、後半もちょっと距離があったんですが、相手がアバウトなポジションをとっていたこともあって、あとは柴崎と椎名の方で判断しろと言っていたので。あそこは彼らが直接シュートを打つことを選択したんだと思います。

柴崎には日本を代表するような選手になってほしい

――黒田監督にとって柴崎選手は諸刃の剣か? 彼にはいいところもありますが、悪いところもあります

 柴崎と椎名にはお互いにないものがあって、柴崎にはわたしは最終的に日の丸を背負って日本を代表するような選手になってほしいという期待はあります。本人にも言っていますけど、こういったゲームだったり、彼が経験している中で、わたしがああやれこうやれと、こうやった方がいい、というよりも自分で改善点を見つけて自分で克服していく能力がなければ、当然国を代表して日の丸を背負って海外でプレーすることは絶対にできないと思います。
 基本的に勝負するためのレールはわたしが敷きますが、全部お前が考えて自己発見と自己改善能力、これがプロで長生きしながら日本を背負っていくプレーヤーだと。日本代表はそういった選手が多いと思います。世界でもそういった自分に責任を持ち、すべてのことにひたむきに努力して、それも全部教えられたもんじゃなくて自分で判断して、自分で克服していくものだと。彼に対してはそういう細かいことじゃなくて、自分が気づかなければ、自分が克服できなければ、落ちていくだけだぞというような育て方をしました。

――連戦の疲れはあったか? また試合後、選手たちにどんな声を掛けたか?

 疲れというよりも、準決勝のときに出たけがが最終的に厳しかったかなと。FWの成田も大きいねんざをして今日は注射を打って出場しました。あと右サイドの遠藤も注射を打っていました。少なくとも4、5名が注射を打ちながらと、準決勝での疲労度と起きたけがが大きかったようで。そういったコンディションでも悔いが残らないように、絶対やりますとベストのスタメンを組んだんですけど。そういったこともあって、出足が遅かったり、ターンがきかなかったりというのが試合の中で随時見られたんですが、それはしょうがない。目をつぶってやらなければという感じでいました。でも、けがをしている中でもよくやってくれたと思います。

 選手にどんな声を掛けたかについては、青森山田は5年連続ベスト16、その後は2回初戦で負け、すごく長いトンネルに入り込んでしまいまして、9年ぶりに国立のピッチにわたしを導いてくれたことを選手に対しても感謝したいと思います。3位(2000年度)、準優勝ときたので、まだわたしも若いので、次のチャンスに優勝を目指して、まだまだお前には早かったということなんだと思います。ただ、準優勝ということで大いに胸を張って帰れと。素晴らしい敗者になってほしい。そこから学ぶことの方が大きいぞ、と子供たちには話しました。

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