青森山田・黒田剛監督「柴崎には日本を代表するような選手になってほしい」=高校サッカー決勝

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雪をハンディと感じているようでは絶対向上しない

黒田監督は、立ち上がりの硬さ、椎名(左)らけが人の多さを敗因に挙げた 【たかすつとむ】

――前半を1点差で乗り切って、後半どんなところに勝機を見いだそうとしたか? また、点が取れなかった誤算はどこにあったか?

 堅さというところで、本来の青森山田のサッカーは準々決勝の神村学園、初戦の神戸科学技術あたり、おそらく今日(の相手)と比べても個(の力)があるチームだと思うんですけど。そのときにやったプレッシングがすごくよくて、それを今日も当然やりたかったんですけど、なぜか足が思うように動かないというか、プレッシングというところまでいかないで、躊躇(ちゅうちょ)してしまっている。出足が一歩、二歩遅れているという立ち上がりでした。それが失点したことで、こんなの青森山田のサッカーじゃないぞと。もっとハードなプレッシングを掛けて、高いところでボールを奪って攻撃につなげようと。それが1点を取られたことで目を覚まして、そこからは徐々にいいプレスができて流れをつかんできたと思うんですけど。やっぱり最後のフィニッシュのところが、なかなか決定力というか精度が欠けてしまったという感じです。選手たちは精いっぱいやってくれたと思います。

――精度を欠いたのは、連戦の疲れやけががあったからか?

 そうですね。ちょっと無理がきかないところがあったと思いますが、運よく入る時は入るわけですし、サッカーというスポーツはそういうものだと思うので。後半も間近から野間が振り向きざまにゴールエリア付近から打ったのも、運がよければ相手の股を抜いて入るようなものが、相手の体にブロックされるということもあるわけです。運に頼らず、きちっとした形でゴールを奪えるような力をトレーニングの中で身につけていかなければと思いますし、まだまだそういうことからすると、甘かったと言わざるを得ないのかと思います。

――昨日の練習後、椎名選手が中盤が鍵になると言っていたが、何か指示をしたのか?

 相手の7番の碓井君が攻撃の起点になることは分かっていたので、あまり椎名に無理をさせずに、彼もけがをしているので、守備をまずきちっとして(相手の)攻撃の芽を取れるように我慢をしなさいと。その前のスペースで柴崎がどんどん攻撃に絡んでいけという形で前後のバランスを意識させました。

――青森では雪や練習相手がいないという、さまざまなハンディがある中で、ここまで来られたことについてはどう思うか?

 雪国でサッカーをやるということは誰も変えられない事実です。わたしも札幌出身で雪国で育っていますので、雪とどうやってうまく付き合ってサッカーをやっていくかということから入っていかなければ、これをストレスに感じたりハンディと感じているようでは絶対に向上しないと思います。

 ただ雪というのは砂浜よりも、もっともっと重い負荷の中でトレーニングできるので、雪をうまく利用しながらですね。いつでもチームを作れるという地域に比べれば、つらいときもありますけど、今は何をする時期だということを選手たちにしっかり明確に伝えながら、1年間通じてのコンセプトをたたき込みながら、雪が溶けてから一気にチームを作ろうと毎年やっています。チームの出来はこの時期がピークを迎え、仕上がりは遅かったりしますけど、そういったものも、もう振り返らなくてもいいくらい体力をアップさせたり、足腰を鍛えたりといったことを雪を利用してうまくやっていけば、雪国でもサッカーは勝てるんだと言えると思います。かつての室蘭大谷も準優勝していますし、そういったことを励みにしながら、ハンディと感じないようにパワーに変えると、わたしの中で考えながらやってきました。

<了>

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