川田が田中に勝利、ZERO1の至宝を奪取 “相棒タッグ”が大逆転でタッグ2冠王

高木裕美

川田が田中を渾身の蹴りで下し、世界ヘビー級王座を戴冠! 【前島康人】

 24日のZERO1「WRESTLER’S 6〜Never Gonna Stop!〜」東京・後楽園ホール大会では、2大タイトルマッチが行われた。
 メーンイベントでは川田利明が田中将斗をランニング顔面蹴りで破り、世界ヘビー級王座を初戴冠。05年2月に三冠ヘビー級王座を失って以来、約4年8カ月ぶりにシングル王座を獲得した。
 両者は01年に全日本プロレス12.2昭島大会にて一度シングルで対戦しており、この時は11分6秒、パワーボムで川田が勝利している。
 今年6月13日、プロレス人生において最も大きな存在であった“先輩”を失って以来、「迷いがあった」と吹っ切れない状態が続いていた川田だったが、この日はかつての“デンジャラスK”が復活。開始早々から激しい打撃戦を展開した。

 川田のチョップを皮切りに、互いにチョップ、エルボーを打ち合うと、田中が場外にテーブルを持ち出すが、川田はこれを逆に利用してテーブルへのアトミックドロップ。さらに川田は顔面ステップキック、浴びせ蹴り、ストレッチプラム、バックドロップなどで攻め立てるが、田中も得意のエルボーやラリアット、スーパーフライ、さらには必殺技のスライディングDを延髄&正面に炸裂。カウント2まで追い込んでみせる。
 しかし川田は田中がワンツーエルボーから狙ったローリングエルボーをハイキックで阻止して勝利の芽を摘むと、垂直落下式ブレーンバスター、パワーボム、ワンツーエルボーからのランニング顔面蹴りという怒涛の猛攻でZERO1のエースをマットに沈めた。

 試合後、リングに駆け寄ってきたZERO1勢を前に「オファーがあって、ちょっと頑張ってみようかなと思ったら、ZERO1の一番大事なベルトを獲っちゃったよ」とあえて挑発してみせた川田は、「今度オレが来る時までに挑戦者を決めてくれよ」と言い残して退場。バックステージでは「もうベルトには縁がないかと思ってたよ」と改めてベルトを腰に巻き直し、「リングに上がるからには迷いがあってはいけない」と、チャンピオンとして、プロレスラーとして、改めてリングの上で戦うという意味を噛み締めた。
 一方、川田に言いたい放題言われ、選手たちとともにリングに乗り込みながらも、とりあえずは去っていくその背中を見送ったZERO1社長の大谷晋二郎は「必ず取り返す」と会社として総力を挙げて至宝を奪回することをファンに誓った。

日高が相方に続き相棒ともタッグ2冠王へ

日高(左)、澤の相棒タッグがヘビー&ジュニアのタッグ二冠王に 【前島康人】

 セミファイナルでは日高郁人、澤宗紀(バトラーツ)の“相棒タッグ”が、NWAインターコンチネンタルタッグ王者組の佐藤耕平、KAMIKAZE組に崖っぷちからの大逆転勝利。自分たちが保持するNWAインターナショナルライトタッグ王座とともに、タッグ2冠王に輝いた。
 日高組は8.29後楽園でライトタッグ前王者である藤田ミノル&菅原拓也の“義兄弟コンビ”の挑戦を退け6度目の防衛に成功すると、「次はヘビー級」とインターコンチネンタルタッグ王座挑戦を表明した。

 圧倒的なパワーを誇るヘビー級の王者組に対し、ジュニアヘビー級の挑戦者組はその体格差に加え、頚椎ヘルニアによってしばらく欠場をしていた澤にとっては、いきなり今回がタイトルマッチにして復帰戦。同じ2対2でありながら事実上のハンディ戦を強いられる状況となった。
 しかし、挑戦者組は試合前に「負けたらライトタッグを返上」と宣言。澤が集中攻撃を浴びる展開となりながらも、日高がショーンキャプチャー、ミスティフリップなどを要所要所で繰り出して王者組の動きを止め、首の皮一枚残して踏みとどまる。

 20分過ぎには澤が佐藤の投げっぱなしジャーマンによって場外でダウン。もはや絶体絶命と思われたが、リング上に残された日高が神風のグラウンドコブラを切り返して3カウントを奪取。野球でいうところの9回裏2アウトからの逆転劇に、観客も大歓声で祝福した。
 かつての藤田との“相方タッグ”に続き、“相棒”とも2本のベルトを同時に手に入れた日高は金色に輝くインターコンチネンタルタッグ王座を「金メダル」と称して勝利を喜ぶと、「プロレスに昭和も平成も関係ない」と、“昭和の匂い”が漂う王者組から古典的な切り返し技でベルトを奪い取ったことに胸を張ってみせた。

期待の新人・柿沼が黒星デビュー

柿沼(右)はデビュー戦で関本の強烈なジャーマンに敗れた 【前島康人】

 期待の新人・柿沼謙太がホロ苦デビューを飾った。田中に憧れてZERO1に入門したという柿沼は86年12月生まれ、埼玉県出身の22歳。今年3月に日本大学文理学部を卒業し、4月に入門した。
 デビュー前に公開練習を行うなど、これまでの新人にはない特別待遇を受けていた柿沼は、デビュー戦でいきなり大谷晋二郎と組んで、崔領二、関本大介(大日本プロレス)組と対戦。大谷からは「勝て」という指令を受けており、柿沼はその言葉に全身全霊で取り組んでみせた。

 ゴングと同時に崔へエルボーを打ち込んでいった柿沼だが、崔の強烈なキックで開始早々にダウン。慌てて大谷がリングに飛び込み、倒れたままの柿沼を自軍のコーナーに引っ張って強引にタッチさせる。さらに開始5分で崔のキックで口の中を切って流血。しかし、口から血をあふれ出しながらも自力でロープへ逃げると、その後も負けん気ムキ出しで崔、関本に対しにエルボーやドロップキックを打ち込んでみせた。
 さらに大谷に「リングで生き様見せるんじゃ」とゲキを飛ばされると、何と大胆にも関本相手に掟破りの逆ジャーマンスープレックスを敢行。新人離れした度胸を見せ付けたものの、直後に関本の反撃を受け、強烈なジャーマンに敗れた。

 試合後、リング上から「僕はZERO1の柿沼謙太です。皆さんよろしくお願いします」と異例のマイクアピールを行った柿沼に対し、大谷は「それでいい。これから重いものを背負っていくという覚悟を感じた」と大きくうなずき、柿沼にさっそくプロレスラーとしての心構えをアドバイス。一方、初めてプロの洗礼を受けた柿沼は「ニセモノじゃない、ホンモノの高い壁を乗り越えたい」と、さらなる高みを目指していくことを誓った。

“橋本真也最後の弟子”浪口が引退

“橋本真也最後の弟子”浪口修が引退 【前島康人】

 新たな一歩を踏み出した者がいる一方で、同じ日、同じリングで“橋本真也最後の弟子”浪口修が引退。03年11月7日、この場所でデビュー戦の相手を務めた金村キンタローとラストマッチを行った。
 浪口は練習生時代の03年10月の冬木軍興行・後楽園大会のメーン終了後にセコンドとしてリングに上がったものの、1人だけ敵陣に取り残され、冬木軍チームのリンチを受けるハメに。ボコボコにされた浪口の姿を見た橋本さんが「ここまでされて黙ってられるか」と浪口をデビューさせることを決意。浪口は橋本さんの前で金村に土下座して対戦を直訴し、ついにデビュー戦が決定した。

 この日、西側バルコニーには橋本さんの写真やイラストが飾られており、浪口は師匠の見守る前であえて金村得意のハードコアマッチに挑戦。イスやハサミなどの凶器攻撃や、南側客席階段上からのテーブルクラッシュによって顔面から大流血を強いられ、全身真っ赤でズタボロになりがらも、ダイビングヘッドバット、雪崩式ブレーンバスター、フィッシャーマンズバスターで反撃。6年前のデビュー戦でフィニッシュとなった爆YAMAスペシャルを一度はカウント1で返してみせたものの、その後に2発続けて発射されるとついにダウン。レスラーとしての第一歩をしるした時と同じ技で、レスラー人生に幕を降ろした。

 最後の3カウントを聞いた浪口は、「デビュー戦も引退マッチも流血試合やったな」と言って引き揚げようとする金村を呼び止め、さらにZERO1の先輩たちもリングに呼び込んで、一緒にブリブラダンスを踊ると、その後も涙はなく、終始明るい笑顔で引退セレモニーを終えた。
 リング上の挨拶では「持ち前のどっこい魂で不屈の闘志を見せ、これからの人生を頑張っていく」と第二の人生を歩み始める覚悟を見せた浪口だが、今後の進路は「まだ何も決まってない。オファー待ってます」と見事にノープランであることから、「師匠の橋本さんも小川さんとの抗争で一度は引退を決意して戻ってきたし……」と引退直後にして早くもカムバック発言まで飛び出す始末。とはいえ、「始まりがあれば終わりもある。ひと区切りつけないと先には進めない」と、キッパリとプロレスへの未練を断ち切った。

■ZERO1「WRESTLER’S 6〜Never Gonna Stop!〜」
10月24日(土)東京・後楽園ホール

<第6試合 世界ヘビー級選手権試合 60分1本勝負>
[王者]●田中将斗
(14分20秒 ランニング顔面蹴り→体固め)
[挑戦者]○川田利明
※第5代王者が初防衛に失敗、川田が第6代王者

<第5試合 NWAインターコンチネンタルタッグ選手権 タッグマッチ 60分1本勝負>
[王者組]佐藤耕平、●KAMIKAZE
(23分0秒 グラウンドコブラを切り返す→エビ固め)
[挑戦者組]○日高郁人、澤 宗紀(バトラーツ)
※第22代王者組が3度目の防衛に失敗、日高組が第23代王者

<第4試合柿沼謙太デビュー戦 タッグマッチ 30分1本勝負>
大谷晋二郎、●柿沼謙太
(17分38秒 ジャーマンスープレックスホールド)
崔 領二、○関本大介(大日本プロレス)

<第3試合 天下一への道 タッグマッチ 30分1本勝負>
藤田ミノル、○菅原拓也
(15分25秒 十三不塔→片エビ固め)
●高西翔太、フジタ“Jr.”ハヤト(みちのく/九龍)

<第2試合 浪口修引退試合 シングルマッチ 30分1本勝負>
●浪口 修
(16分3秒 爆YAMAスペシャル→片エビ固め)
○金村キンタロー

<第1試合 シングルマッチ 30分1本勝負>
●植田使徒
(8分17秒 ラリアット→片エビ固め)
○不動力也
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著者プロフィール

静岡県沼津市出身。埼玉大学教養学部卒業後、新聞社に勤務し、プロレス&格闘技を担当。退社後、フリーライターとなる。スポーツナビではメジャーからインディー、デスマッチからお笑いまで幅広くプロレス団体を取材し、 年間で約100大会を観戦している 。最も深く影響を受けたのは、 1990年代の全日本プロレスの四天王プロレス。

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