名古屋、決勝の地・国立への扉をこじ開けろ=ACL準決勝第1戦プレビュー

スポーツナビ
 アジアのクラブ王者を決める大会、AFCチャンピオンズリーグ(ACL)準決勝の第1戦が21日に行われる。日本勢として大会3連覇を目指す名古屋グランパスは、サウジアラビアの雄、アルイテハドとアウエーで対戦。粘り強いサッカーとストイコビッチ監督の巧みなさい配で接戦を勝ち抜いた名古屋に対して、ここまで5勝4分けと無敗を誇るアジアの強豪アルイテハド。決勝の地、東京・国立競技場のピッチへ降り立つのはどちらのチームか。決戦を前に両者を徹底分析する。

離脱者の多い名古屋 アウエーで粘り強さを見せられるか

名古屋は準決勝第1戦で勝ち点を獲得できるか 【写真は共同】

 川崎フロンターレを準々決勝で下し、日本勢唯一の生き残りクラブとなった名古屋。Jリーグ勢代表としての意地と誇りを胸に、アウエーでの貴重な勝ち点を獲得したいところだが、決戦を前にチーム内に離脱者が続出。不安材料を抱えての戦いとなりそうだ。
 GK楢崎正剛の長期離脱に加え、不動のエースFW玉田圭司が日本代表の香港戦(8日)で左ろっ骨を骨折。当初の予定より早期復帰を果たし、中東遠征に帯同したものの、完治とは言えず、欠場する可能性が高い。必然と新たな得点源として本領を発揮しつつあるブルザノビッチへの期待はいつも以上に大きくなる。ACL2試合連続得点中のケネディとともに是が非でもアウエーゴールを奪いたい。
 守備面では、A型インフルエンザに感染したDF増川隆洋の欠場の穴をいかに埋めるかが重要となってくる。バヤリッツァを負傷で欠く中、代役候補に挙がっているのは17日のJ1リーグ、横浜F・マリノス戦でフル出場した竹内彬。クレバーさと激しさを兼ね備えた26歳のDFは、抜群の安定感を見せる吉田麻也とともに名古屋の厚き壁となる。

 中盤では小川佳純、マギヌンら名古屋の主軸をはじめ、新境地ボランチとして攻守に貢献する三都主アレサンドロにも注目。運動量と献身的な動きが持ち味の中村直志とのコンビで中盤の底からゲームを操る。
 新戦力と既存選手の融合により、ACLで躍進する名古屋。最終目的地は決勝の会場、国立競技場だ。悲願のアジア初制覇に向けて、まずは目の前の敵、アルイテハドを粉砕したい。

ACL過去2回優勝のアルイテハド 攻撃力はアジア随一

「中東のジェラード」ことモハメド・ヌール(写真)をはじめ、攻撃陣にタレントを擁するアルイテハド 【Getty Images】

 サウジアラビア最古のクラブの1つであるアルイテハド。アラビア語で「団結」を意味するアルイテハドが創設されたのは1927年と歴史は古い。99年にアジアカップウィナーズカップ(各国の主要カップ戦優勝チームが出場する大会。現在は消滅)でアジア初タイトルを獲得すると、2004年、05年にはACLを連覇。サウジアラビアのみならずアジアを代表する強豪クラブとして確固たる地位を築いた。
 昨季からはアルゼンチン人のガブリエル・カルデロン監督がチームを率いる。08−09シーズンで2年ぶりのリーグ優勝に輝き、今季のACL・グループリーグでは苦戦を強いられながらも同じくACL4強入りを果たしたウム・サラル(カタール)を抑えて首位通過。決勝トーナメントではアルシャバブ(サウジアラビア)、パフタコル(ウズベキスタン)を危なげなく下して準決勝へと駒を進めた。

 注目選手はアミーヌ・シェルミティ。07年にはエトワール・サヘル(チュニジア)の選手として、CAFチャンピオンズリーグ優勝およびFIFAクラブワールドカップ出場に導いたチュニジア代表のエースだ。テクニック、ドリブル、ポストプレーに優れた万能型FWでアルイテハドの攻撃陣をけん引する。また、中盤は「中東のジェラード」ことサウジアラビア代表MFのモハメド・ヌール、モロッコ代表のヒシャム・アブシェルアンら才能豊かな選手で構成され、攻撃サッカーを標ぼうする指揮官も絶大な信頼を寄せる。
 今季、いまだACL無敗を誇るアルイテハドだが、ウイークポイントを挙げるとすれば、守備がやや不安定な点か。前掛かりになったところで選手間に大きなスペースが生まれることが多い。

決勝の地、国立競技場を目指して

 07年の浦和レッズ、08年のガンバ大阪と、ACLでは日本のクラブが2年連続でアジア王者に輝いた。今季の決勝会場は東京・国立競技場。しかも、一発勝負。仮に名古屋が決勝に進めば、サポーターの声援が後押しとなり、大きなアドバンテージとなることは間違いない。日本国民の期待を一身に背負って、名古屋に課された使命――アジア頂点の座を目指す戦いが始まる。

<了>
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