MLBプレーオフ、ア・リーグ地区シリーズ展望=ヤンキースにすきはないのか?
エンゼルス対レッドソックス
チーム最多となる34本塁打を放ったエンゼルスのモラレス 【Getty Images】
マイク・ソーシア監督は自信をみなぎらせながら、次のように語る。
「先発投手陣は監督に就任してから10年で最も層が厚く、打撃陣も素晴らしい」
投打にバランスが取れ、機動力を使える完成度の高いチームだ。特に、攻撃面では選球眼が抜群で粘り強いボビー・アブレイユの加入で、チーム全体がしぶといバッティングをみせるようになり、ますます怖い打線になってきた。ホームランは決して多くないが、チーム打率ではヤンキースを抑えてリーグトップだ。1番の俊足ショーン・フィギンスが調子の波に乗れば、くせ者ぞろいの打線は一気に畳み掛ける攻撃ができる。また、34本塁打と大ブレークしたケンドリー・モラレスも注目だ。
投手陣は故障者続出し、出そろったのは7月のトレードで左腕スコット・カズミアーを獲得してからだった。初戦を任されたエースのジョン・ラッキー、ジェレッド・ウィーバー、そして左腕ジョー・ソーンダースと続く豪華先発陣。ソーシア監督が胸を張る気持ちもわかる。
問題はブルペンだ。信頼絶大のセットアップマンのスコット・シールズを故障で失い、例年に比べると弱体化している。クローザーのブライアン・フエンテスは力で抑え込むタイプではないので、リードを広げた形でバトンを渡したいところだ。しかし、選手層の厚さなどを考え合わせると、悲惨な過去は繰り返さないですみそうだ。
レッドソックスは大舞台に強いベケット(写真)と17勝を挙げたレスターと左右の両先発に期待 【Getty Images】
打撃陣も充実している。2年連続盗塁王のジャコビー・エルスブリーから始まるラインアップはスピード、パワー、堅実性とあらゆる要素を備えている。心強いのは開幕から2カ月スランプにあえいでいたデービッド・オルティーズが調子を上げ、最終的に28本塁打を放ったことだ。
不安は走られっぱなしで、盗塁阻止率1割にも満たないジェイソン・バリテック。おそらくビクター・マルティネスがマスクを被る機会が増えるだろうが、そうなると打撃への悪影響が考えられる。走ることでエンゼルスのリズムが生まれることになると、レッドソックスには苦しいシリーズになるだろう。
<了>