MLBプレーオフ、ア・リーグ地区シリーズ展望=ヤンキースにすきはないのか?
プレーオフに向け、打撃練習する松井秀 【写真は共同】
ヤンキース対ツインズ
しかし、やってみなければわからない。2007年、ヤンキースはレギュラーシーズンで負けなしの6勝したインディアンスに地区シリーズで敗れているのだ。ましてや、今年はツインズの調子の上がらない5月までの対戦。それも、振り返ってみると、6試合中5試合までが2点差以下。特に、ヤンキースタジアムで行われた5月の3連戦は3試合続けてサヨナラで決めたもの。劇的な勝利ではあったが、ツインズがそれだけ善戦していたともいえる。しかも、ツインズは1試合プレーオフで進出してきた勢いというものがある。
それだけに熱戦が期待されるが、今年のヤンキースは強い。初戦先発の左腕CC・サバシアはレギュラーシーズン最終登板で打たれはしたが、安定した投球に不安は見当たらない。ポストシーズンでは2勝3敗、防御率7.92と成績を残していないが、今シーズンは酷使されていないので心配はないだろう。ベテランの左腕アンディー・ペティットも円熟味を出して不安はないが、A・J・バーネットのばらつきのある投球には問題がある。だが、今年のブルペンは磐石だ。課題の守護神マリアーノ・リベラまでつなぐ投手はセットアップマンのフィル・ヒューズの他にもアルフレド・アセベスら人材豊富で、このシリーズにはジャバ・チェンバレンも加わる予定だ。
球団新記録の244ホーマーをマークした打線の破壊力は凄まじい。1番を打つ主将のデレック・ジーターを筆頭に9番まで全く息が抜けない。パンチ力のあるスイッチヒッターが4人もいて、しかも走れる選手もいる。多彩な攻撃ができるのだ。そのうえ、チャンスに力みが目立っていたA・ロッドにも大きな変化が表れて、確実に走者をかえせるようになってきた。そんな中で、松井秀喜はヒザ痛と戦いながら持ち味を発揮した。上位打線と下位打線をつなぐジョイントの役割がしっかりはまっている。ポストシーズンは通算3割2厘、6本塁打、26打点と強く、大きな期待が持てる。どこからみても、やっぱりヤンキースは図抜けた強さを持つチームだ。
最大の強みは47セーブのジョー・ネイサンという絶対的守護神を抱えていることだ。絶好調のスコット・ベイカーを中心とした先発陣がしっかり試合を作れば勝機は生まれる。
同じようなことは打撃陣にもいえる。3度目の首位打者に輝いた天才ジョー・マウアーの前に、いかにして走者を出すか。敬遠された場合に、32本塁打のマイケル・カドヤーと、28本塁打のジェイソン・キューベルが期待に応えられるか。
ツインズはマイナー組織から基本に忠実な野球をたたき込み、スモールボールを得意とするチーム。持ち味を発揮できれば、ヤンキースの一方的な展開にはならないだろう。