【週刊グランドスラム279】来季の飛躍を目指す若手が集まるジャパン・ウインター・リーグ

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ジャパン・ウインター・リーグでは、冬場でも温暖な沖縄で若手がスキルアップを目指している。 【写真=横尾弘一】

 アジア・ウインター・ベースボールに出場しているJABA選抜は、11月24日の第1戦でNPB REDに15対5で圧勝すると、TAIWAN SEASを7対0、TAIWAN MOUNTAINSを11対1、NPB WHITEを3対1で下して一巡目の対戦に4連勝。28日にもTAIWAN SEASを5対1で下し、最高の滑り出しを見せている。特に、5試合とも谷脇弘起(日本生命)、後藤凌寿(トヨタ自動車)、遠藤慎也(日本新薬)、松田賢大(バイタルネット)、笠井建吾(三菱自動車岡崎)と先発投手が白星を手にしており、投打の歯車がガッチリと噛み合っている。
 このリーグには社会人日本代表候補が招集されているが、沖縄市のコザしんきんスタジアムではジャパン・ウインター・リーグ(JWL)が実施されており、こちらにはチームで来季の飛躍を期待されている若手が派遣されている。
 JWLを簡単に紹介しよう。独立リーグを含めたプロを目指すアマチュア選手、プロ・アマを問わず実戦経験を求めている選手を世界中から集め、試合を配信してスカウトにも観てもらおうと2022年に設立され、参加選手を増やしながら3年目を迎えている新たなリーグだ。
 昨年から所属チームを求めるトライアウト、スキルアップを目指すアドバンスと目的ごとにチームを編成。今年は埼玉西武、東北楽天、横浜DeNAに加えて台湾、韓国のプロ選手も参加しており、220名超の若手が11月24日から約1か月にわたって切磋琢磨している。社会人では、Honda、トヨタ自動車、Honda鈴鹿、パナソニック、沖縄電力が選手を派遣。クラブチームに所属する選手も個人参加し、普段とは違うJWLのユニフォームに着替えてプレーしている。

シーズンオフの時期に実戦経験を積めるのは大きなメリット

 今季から本拠地を東京都に移し、日本選手権で準優勝したHondaでは3名の外野手が抜擢された。上ノ山倫太朗は、投手として入社したものの2年目の今季は外野手へ転向。「生半可な気持ちでは認められないぞ」という多幡雄一監督の指摘に応え、日本選手権では初安打をマークした。金城飛龍は巨人コーチの龍彦さんを父に持ち、東海大相模高、東海大では大舞台も経験。社会人でも東京スポニチ大会で新人賞と首尾よくスタートを切ったが、打力アップが課題とされている。そして、右田稜真は右打ちのスラッガーで、日本選手権一回戦ではスタメン出場。定位置確保に向けて、経験値を高めようとしている。

今季、投手から外野手に転向したHondaの上ノ山倫太朗(左)。捕手はパナソニックの宮崎恭輔。 【写真=横尾弘一】

 さらに、西銘生悟コーチも同行している。
「選手だけでなく、コーチ研修もあると聞きましたので。それと、試合だけでは足りないので、西銘の下で3人には練習もみっちりやってもらおうと考えました」
 予定をやり繰りして現地視察に足を運んだ多幡監督も、成長途上にある選手に実戦を経験させられる意義を強く感じていた。今季のHondaのように、都市対抗予選で敗れ、反対に日本選手権は東京スポニチ大会優勝で出場権を得ているために予選が免除になると、どうしてもレギュラーでない選手の出場機会は限られる。それを補完する意味でも、JWLへの参加は大きな意味を持つ。
 さらに、プロ選手が参加したことでリーグ全体のレベルも上がり、海外の選手とプレーし、チームメイトとしてコミュニケーションを取ることで感性も養われる。12月17日までプレーした選手たちが、2025年シーズンにどんな成長ぶりを見せてくれるか楽しみだ。
 なお、JWLは今年からスポーツ専門のビデオ・オン・デマンド・サービスのDAZNと業務提携し、全試合を無料でライブ配信している。
【取材・文=横尾弘一】

【電子版はオールカラーになります】

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著者プロフィール

1949年に設立した社会人野球を統轄する(公財)日本野球連盟の公式アカウントです。全国の企業、クラブチームが所属し、中学硬式や女子野球の団体も加盟しています。1993年から刊行している社会人野球オフィシャル・ガイド『グランドスラム』の編集部と連携し、都市対抗野球大会をはじめ、社会人野球の魅力や様々な情報を、毎週金曜日に更新する『週刊グランドスラム』などでお届けします。

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