連勝と連敗、明暗が分かれた開幕2連戦=JBL2009−2010 第1週

松原貴実

JBL開幕戦、リンク栃木は川村が33得点と爆発し、トヨタに快勝。第1節は各チームの明暗がくっきり分かれた 【写真は共同】

 今年もまたバスケットシーズンがやってきた。日本バスケットボールリーグ(JBL)2009〜2010シーズンは、10月3日に開幕。東京・代々木第二体育館をはじめ、川崎、刈谷、札幌の4会場にはこの日を待ちわびた多くのバスケットボールファンが駆けつけた。プレーオフ進出を懸けたレギュラーシーズンは全168試合。さらにその先にあるトップリーグの頂点を目指し、8チームがしのぎを削る半年間がスタートした。

開幕戦は田臥欠場のリンク栃木が圧勝

 開幕戦の注目カードは、超満員に膨れ上がった代々木で行われたトヨタアルバルクとリンク栃木の試合。2年連続でプレーオフに進出したが王者・アイシンの前に敗れたトヨタは、日立から移籍したスピードスター五十嵐圭をPGに据え、「走力をメインとしたフルコートのバスケットで勝負」(棟方公寿HC)というスタイルを打ち出した。
 リンク栃木は、田臥勇太がかかと故障のため欠場。田臥×五十嵐の2大スター対決はかなわなかったが、昨季プレーオフ最後のいすをかけて激突した両者だけに『死闘の再演』を期待するファンは少なくなかった。

 しかし、その期待は第1Q(クオーター)であっさり裏切られる。
 前から激しく当たるトヨタのディフェンスはスタート直後こそリンク栃木を戸惑わせたが、フロントコートにボールが運ばれるとその守りの形態が崩れ、そこから容易に攻め入られることとなる。
 レジー・オコーサ、スコット・メリット(ともに206センチ)の加入でインサイドを強化したリンク栃木は、その分余裕が生まれた伊藤俊亮とともにゴール下をがっちり支配。力強いリバウンドからの速い攻めは『走力で勝負する』はずのトヨタを上回り、昨季の得点王・川村卓也の33得点を筆頭に、2ポイントフィールドゴールのアベレージを71.43%とする猛攻で、終わってみれば120−88の圧勝。
 トヨタにとってはまさに『悪夢の開幕戦』となった。

1点を争う接戦も、トヨタが競り負け連敗

 だが、第2戦ではトヨタのアグレッシブさがよみがえる。激しいディフェンスでリンク栃木のターンオーバーを誘うと、岡田優介、渡邊拓馬が思いっきりのいい3ポイントシュートを放ち、第1Q5分で15−6とリード。リンク栃木もオコーサのゴール下、川村のミドルシュートで追いかけ、試合は前日と打って変わって1点を争う白熱戦となった。

 第4Q残り1分半、77−80のビハインドからトヨタはチャールズ・オバノンがフリースローとジャンプシュートを確実に沈め81−80と逆転に成功。しかし、残り15秒、リンク栃木はエース川村が厳しいディフェンスをかわして82点目のジャンプシュートを決める。
 最後のワンプレーに懸けるトヨタは五十嵐が果敢にゴール下に切り込み、そのままシュートに持ち込むかと思われた瞬間、苦しいパスアウト。結局これがパスミスとなり81−82のままタイムアップのブザーが鳴り響いた。

「エースガード田臥不在のチームでトヨタに2連勝したのは大きい」とリンク栃木のトーマス・ウィスマンHC。内外ともに各自がしっかり自分の仕事をこなすチーム力は優勝候補筆頭のアイシンを脅かすに十分と言える。
 一方のトヨタは敗れたとはいえ、自分たちの目指すバスケットを確認する貴重なゲームになった。チームの命題である『走力』のさらなる進化に期待したい。

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著者プロフィール

大学時代からライターの仕事を始め、月刊バスケットボールでは創刊時よりレギュラーページを持つ。シーズン中は毎週必ずどこかの試合会場に出没。バスケット以外の分野での執筆も多く、94『赤ちゃんの歌』作詞コンクールでは内閣総理大臣賞受賞。

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