1センチ差大接戦! 春秋連覇だローレルゲレイロ=スプリンターズS

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ローレルゲレイロが1センチ差の激戦を制し、春秋スプリントGI連覇を達成 【スポーツナビ】

 その差1センチ! 激戦の春秋連覇だ――JRAの秋競馬GIシリーズ開幕戦となる最速王決定戦、第43回GIスプリンターズSが4日に中山競馬場で行われ、6番人気に支持を落としていた藤田伸二騎乗の春のGI高松宮記念馬ローレルゲレイロ(牡5=昆厩舎)が、安藤勝己騎乗の2番人気ビービーガルダン(牡5=領家厩舎)との大激戦を制し優勝。その差はわずか1センチだった。
 同馬は1996年フラワーパーク、2001年トロットスター以来となる史上3頭目の春秋スプリントGI制覇。良馬場の勝ちタイムは1分7秒5だった。

 2着ビービーガルダンから1馬身1/4差の3着には、小牧太が騎乗した8番人気の夏の短距離女王カノヤザクラ(牝5=橋口厩舎)が入線。一方、1番人気に支持された前哨戦GIIセントウルSの勝ち馬アルティマトゥーレ(牝5=奥平厩舎)は5着、国際レーティングのスプリント部門で世界トップタイの豪州馬シーニックブラスト(セン5=D・モートン厩舎)は4コーナー手前でつまずいたのが響き最下位に敗れた。

藤田「正直、負けてると思った」

ローレルゲレイロ(左・桃帽)、ビービーガルダン(右から2頭目・黄帽)が並んでゴール 【スポーツナビ】

 中山の電撃6ハロン戦に、また1つ名勝負が誕生した。その差、なんと1センチ。歴史的名勝負と名高い昨年のGI天皇賞・秋(1着ウオッカvs.2着ダイワスカーレット)の2センチよりさらに小さい、そして、1996年スプリンターズS(1着フラワーパークvs.2着エイシンワシントン)に並ぶ、最小着差での決着となった。

 「正直、負けてると思いました。体勢が不利だなと思いましたし、内外が離れていたんで、本当、分からなかったですね」
 ゴールした瞬間の気持ちを、藤田がこう語った。直線最後の坂で、いったんは後ろから迫るビービーガルダンに並ばれ万事休す。並みの馬ならこのままズルズルと後退し、5着掲示板もなかっただろう。だが、ローレルゲレイロのGI馬としての意地が、それを許さなかった。
 「前走が不本意な結果でしたからね。僕自身も馬を信用していない部分があった。GIホースにしては負けすぎでしたから。でも、終わってみたらこの結果ですからね、馬に対して申し訳ない気持ちです」

夏負けから劇的復活、藤田の“闘魂注入”が効いた!

その差1センチ! 藤田はファンの声援に応えガッツポーズ 【スポーツナビ】

 スプリンターズSへつながる最重要ステップレース、9月13日のGIIセントウルS。ローレルゲレイロは3カ月ぶり休み明け、斤量59キロと不利な材料があったとはいえ、15頭立て14着の大敗だった。

 原因は夏負け――。同馬を管理する昆貢調教師がこの夏場の苦闘を振り返った。
 「3歳の時、ダービーの後に夏負けをしてしまって、その後の3〜4走が悪かったんです。その時に近い状態でしたね。今回も馬の状態は良くなかった」
 スリープレスナイトを退け、春の頂上戦を制した高松宮記念時には遠く及ばない出来。昆調教師は「馬の力を信じて祈るしかなかった」という。

 それでも、わずかながらの光明も見えていた。それは9月30日、栗東坂路での最終追い切り。藤田が闘魂注入とばかりにビシッと追ったことだった。
 「あれが今日につながったと思いますね。気持ちで走る馬だから、藤田君がビッシリ追ってくれたあの追い切りで馬が変わってきましたし、気持ちが入ったんだと思います」

 藤田が眠れる相棒の目を覚まさせ、そして、1度は並ばれながらももう一度盛り返した今回の1センチ。女王スリープレスナイトを完封した春の中京1200メートル戦と同様、これぞローレルゲレイロの真骨頂とも言うべき粘りに粘っての、大勝利だった。

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