KIDが海外武者修行へ「自分を見つめ直したい」、大みそか復帰を目指す

長谷川亮

大みそか復帰を目指して海外武者修行を宣言したKID 【チナスキー】

 都内・KRAZY BEEで27日、山本“KID”徳郁の記者会見が行われ、同選手の「DREAM.10」(10月6日、神奈川・横浜アリーナ)および「DREAM.11」(10月25日、大阪城ホール)欠場、そして海外武者修行出発が発表となった。

KID「日本の格闘技界を背負えるようになって帰ってきたい」

会見には笹原圭一DREAMイベントプロデューサーとKID(左)が出席した 【チナスキー】

 会見には笹原圭一DREAMイベントプロデューサー(EP)とKIDが出席。
 笹原EPは会見の冒頭で「KID選手はDREAMの象徴であるのはもちろん、格闘技界の象徴。10月の大会にも出てもらいたかったが、“自分を見つめ直したい。ハングリーさを取り戻してDREAM、日本の格闘技界を背負えるようになって帰ってきたい”と申し出があり、DREAM.11はゴールデンタイムでの放送もあるので出場してほしかったが、ここは快く送り出すことに決めました」と、KIDの10月2大会欠場、そして海外修行出発への経緯を説明した。
 続いてKIDは「復帰して2つ試合が終わって、ちょっと今までの自分と違うなと思っていろいろ考えた。それで刺激じゃないけど、海外へ行って練習して自分を見つめ直して、10月のDRAMには出られないけど、照準を大みそかに合わせて前の自分を見せたい。いろいろやっていくんで12月は期待してて下さい」と、自身の言葉で海外修行を決意した理由を口にした。

 出発時期・修業先に関してはまだ決定していないが、KIDは「秋のうちには」「西海岸に行こうかな。でも、米国だけじゃなくタイにも行くかもしれない」とコメント。
 今回の修行に関しては、もちろん技術研さんの狙いはあるが、「魔裟斗戦(04年大みそか)の前も1カ月間タイにいて、日本とは違うハングリーさが見られてよかった。そういうものをもう一度取り戻したい」「(修行の目的は)精神面が一番です」と語っており、最近薄れたとも指摘される、自身の“野性味”を取り戻す狙いが大きいようだ。

KID「大みそかには“オレがいなきゃダメだ”と思えるように」

会見の席で「もう一度ハングリーさを取り戻したい」と語ったKID 【チナスキー】

 自分を見つめ、ハングリーさを戻すため、「ヒッチハイクはしないけど自分で地図を見て、旅みたいな感じで。なるべく人の手を借りずにやりたい。いろんなものを見て吸収して、試合に活かしたい」とKIDはいう。
 所属するDREAMは先ごろ米団体・ストライクフォースと全面提携を結んでおり、KIDもそれを意識してか「(海外で)試合があったら面白いですね」と色気を見せる。笹原EPも「いろんなネットワークがあるので試合の場合はフォローはしたい」と追随したが、この件に関しては大みそかの対戦相手に関して同様、今後DREAMと話し合いを持っていくという。

「大みそかには絶対(出場する)。そのことを考えての修行なんで。前の勘を取り戻して、大みそかにはまた“オレがいなきゃダメだ”と思えるようにしてきます」
 子ぼんのう・家族思いで知られるKIDだが、すでに家族も了承し32歳の再出発にバックアップを取りつけている。
“神の子”に宿った神通力を取り戻すため、KIDは旅立ち、そして大みそかに戻る。
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著者プロフィール

1977年、東京都出身。「ゴング格闘技」編集部を経て2005年よりフリーのライターに。格闘技を中心に取材を行い、同年よりスポーツナビにも執筆を開始。そのほか映画関連やコラムの執筆、ドキュメンタリー映画『琉球シネマパラダイス』(2017)『沖縄工芸パラダイス』(2019)の監督も。

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