大宮、原点回帰へのリスタート=リーグ再開後の3連戦に懸ける
補強と復帰によりポジション争いは激化
戦線復帰した市川雅彦。リーグ序盤戦で見せた勢いを取り戻したい 【写真提供:大宮アルディージャ】
「みんな集中している。監督もそういうところを要求してるし、再開後はそれに応えられる選手を使うと思う。今まで試合に出ていた選手も安泰ではないでしょうね」(金澤慎)
JリーグデビューとなったFC東京戦の直後に負傷したドゥドゥは、このキャンプから全メニューに合流。格下相手ながら、8日の慶應義塾大学との練習試合では2得点1アシストと結果を出した。ソ・ヨンドクもユニバーシアード韓国代表での役目を終え、戦術理解を深めている。チームに加わって間もない彼らにとって、このキャンプはチームの真の戦力となるための格好の機会となった。
そして、序盤戦でのチームの勢いを象徴していた市川雅彦が、長きにわたったリハビリを経て戦線復帰した。
「もうゲームはできるんだぞ、というのを監督にアピールしたい。チームと一緒にやって、自分が得点に絡むところを見せたい」(市川)
体力テストの一環で、20メートルの距離を一定のインターバルで、徐々に速度を速めながら走る「ヨーヨーテスト」というものがある。決められた速度で走れなくなったらそこで終了するのだが、チームを2つに分けた2組目で最後まで残っていたのが市川。体力的には万全、というところを懸命にアピールしていたかのようだった。
「まだまだゲーム勘がね。それは仕方のないことですけどね。体が動くのと頭が動くのはまた違うから」(大橋ヘッドコーチ)
しかし、本人にのんびり構えているつもりは毛頭ない。
「リーグ戦が再開すると連戦なので、動ける選手が必要になってくると思う。そこで自分が試合に絡めることが目標です」(市川)
再開初戦の磐田戦で“あつい”戦いを
競争が激化しているのは攻撃陣だけではない。新潟戦での冨田大介、片岡洋介のセンターバックコンビは、日本人同士という強みで連係の良さを見せ、盤石の守備だった。マトを含めた三者のポジション争いも見ものだ。
層が薄いと思われていたサイドバックも、土岐田洸平が生きの良さを見せている。練習中も、サイドバックの大先輩である波戸康広や、同サイドで縦並びになることが多い藤本に、食いつくようにアドバイスを受けている。塚本泰史との同期対決にも注目したい。
チーム内でのサバイバルレースに勝てないものが、必死に立ち向かってくる相手チームに勝てるわけがない。こうした競争が激しくなることで、間違いなくチーム力は底上げされていくはずだ。
今シーズン、磐田にはアウエーで屈辱的な敗戦(1−3)を喫した。この試合で2ゴールを決めたイ・グノは、紆余曲折を経て再び磐田の一員となっている。同じ選手に再びやられることは許されない。まずは再開初戦に良い結果を残すことで、3連戦を乗り切りたい。
「このキャンプではいろいろ話し合いもしたし、チームは良い方向に行っていると思います」(橋本早十)
この3試合の結果が、ひいては今季の成績につながっていくように思えてくる。2年前、日本の気象観測史上最高気温を記録した熊谷で、それを記録した同じ日(8月16日)に磐田を迎える。最高に“あつい”戦いを期待したい。
<了>