メダル遠のくシンクロ、FC決勝も5位に終わる=水泳世界選手権 第6日

スポーツナビ

フリーコンビネーション決勝で5位に終わった日本チーム。ここまでの4種目でメダルゼロという結果となった 【写真は共同】

 水泳の世界選手権は現地時間の22日午前、シンクロナイズドスイミングのフリーコンビネーション(FC)決勝が行われ、日本は94.833点で5位に終わり、メダル獲得はならなかった。優勝はスペイン、2位は中国、3位にカナダが入った。
 非五輪種目のFCは2003年バルセロナ大会以降に世界選手権の正式種目となり、日本は過去3大会すべてでメダルを獲得してきた(金メダル1、銀メダル2)が、初めてメダルなしに終わった。

情熱的な演技を披露するも得点は伸びず

「情熱的にいこう!」
 前日に行われた予選の演技前、控え室で主将の小林千紗(井村シンクロ)は選手たちを大きく鼓舞した。ここまで3種目を終えた時点でメダルはゼロ。しかし、強豪ロシアがこの種目にエントリーしなかったため、「一番取りやすいメダルだった」(片山満津芳コーチ)。ここでメダルを取って、いい流れで後半戦へ臨みたい――。

 選手たちはテーマ曲「ル・レーブ」(夢)に合わせ、勢いのある情熱的な演技を見せた。そこに、3種目でメダルを逃してきた悲壮感はない。片山コーチは、「このチームは今までにない明るさがある。年齢的に幼いというのもあるが、怖いもの知らず。朝起きても元気だし、10時間練習しても元気。(メダルは取れていないが)救われる部分はある」と語る。
 しかし、非五輪種目のため練習時間は全体の10分の1ほどしか割けず、1曲を通しての完成度は低かった。結果は94.667点の5位で決勝進出。片山コーチは「95点はほしかった」と悔しがった。

<FC予選・結果>
TM(技術点):47.500
AI(芸術点):47.167
合計:94.667 

片山コーチ「基礎からやり直したい」

 水上のミュージカルとも呼ばれるFCは、演技時間が5分と長く、1つのプログラムにソロ、デュエット、トリオ、チームなどの各要素を自由に組み合わせて演技し、エンターテイメント性が最も高い種目とされる。
 決勝では「10人の気持ちが審判に伝わった」(木村真野)と言うように、表現力が評価され、予選より芸術点はアップ。だが一方で、これまで日本が得意としてきた技術点は予選より下回った。片山コーチは、「これが現実。この大会が終わって、基礎からやり直したい」と唇をかんだ。

<FC決勝・結果>
TM(技術点):47.333
AI(芸術点):47.500
合計:94.833 

 採点競技であるシンクロは印象度が得点に大きく左右し、いったん世界選手権などで序列が決まると、その後の五輪まで順位を逆転するのは難しいという特性がある。それだけに、北京五輪後、各国がメンバーを入れ替えた直後の今大会で、確実に結果を残す必要があった。だが、平均年齢20歳、五輪経験者ゼロの若手に切り替えた日本は、ここまでメダルを獲得できずにいる。

 片山コーチは、「日の丸がない表彰式を見せて、どう感じるか」と選手たちの奮起に期待しているが、メダル獲得は厳しい状況であることに変わりはない。主将の小林千は「先輩たちに申し訳ない。この悔しさを明日以降にぶつけたい」と声を振り絞った。

<了>
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