「三沢、ありがとう!」 お別れ会にファン2万5千人=ノア
「さようなら、ありがとう、三沢さん」 【t.SAKUMA】
6月13日に開催されたプロレスリング・ノア広島大会の試合中に倒れ、頚髄(けいずい)離断により46歳の若さで亡くなられた故三沢光晴さんを悼む「三沢光晴お別れ会〜DEPARTURE〜(献花式)」が4日、東京・ディファ有明で行われた。
この日、三沢さんに最後の別れを告げようと会場には午前中から長蛇の列ができ、お別れ会実行委員長の百田光雄も「1万人は超えるのでは」と驚きを隠さない。その言葉を裏付けるように、ファンの列は最寄り駅の有明テニスの森を越えて隣の隣の駅まで伸びるほど。最終的には2万5千人と発表された。供花の数も1000を超えるとのことで、誰からも慕われ愛された三沢さんの人柄がうかがえる。
開場前には日本移植支援協会から三沢さんに感謝状が贈呈され、選手会長の森嶋猛が代表して受け取っている。これは、故ジャンボ鶴田さんが肝臓移植の手術中に急死したことをきっかけに、三沢さんが臓器移植に関心を持って長年ボランティア活動をしてきたことが評価されてのもの。
最後のリングコール
献花を待つファンの列は2駅先にまで延びた 【t.SAKUMA】
そして追悼の10カウントゴングが鳴らされると、テーマ曲「スパルタンX」が流れ、「赤コーナー、250パウンド、三沢光晴ー!」と最後のリングコールが会場内に響き渡った。
リングに山のように手向けられた花
文字通り山のようにリングに手向けられた花 【t.SAKUMA】
献花を終えた32歳の男性は「三沢さんのあきらめない姿勢が好きでした。これからもノアを見続けたい」と語り、姉妹で献花に訪れた31歳の女性は「超世代軍のころから好きでした。三沢さんのプロレスを通じて、“曲げないこと”“正しいこと”を学んだ。まだ(亡くなったことを)受け止められません」と涙ながらに口にした。
献花を待つファンの列は一向に途絶える気配がなく会場外の歩道にまで及んだため、管轄する警察や消防隊員が出動するほど。一般受付は14時から18時までであったが、会場内での献花が終わったのは19時30分過ぎ。その後もファンが断続的に訪れており、主催者は急きょ入口付近に三沢さんの遺影と献花台を設置し、来てくれた方全員が最後の別れを言えるように配慮した。
声にならない叫び、すすり泣き、感謝の言葉……。ファイトスタイルと同じく、すべてを受け止めた7月4日。三沢光晴はスパルタンXの音色とともに、天国の新たなリングへと旅立った。献花台に手向けられた無数の花と、数多の激闘の記憶を残して――。