金澤慎、大宮の頼もしき若大将=インタビュー
ベテランと若手の間に入ってコミュニケーションを
第9節のFC東京戦では初めてキャプテンマークを巻き、チームを率いた 【写真提供:大宮アルディージャ】
監督に言われました。「何でおれだったんだろうな」とは思いましたけど、でも、やるからには副キャプテンらしくちゃんとできればいいな、とは思っています。
――指名された際に、張監督から何か言葉はありましたか?
主税さんとトミ(冨田大介)さんはどちらかというとベテラン。自分は中堅と言われるぐらいの年齢で、ベテランと若手の間に入ってうまくコミュニケーションを取れるようにしてあげてくれ、と。どちらかというと、年上の人たちよりも下の年代、若手に対して、少しまとめられるようなことをしてほしい、ということは言われましたね。
――今までのサッカー人生でキャプテンや副キャプテンの経験は?
ないんですよ、実は。一度もない(笑)。
――チーム状態も決して良くない中、自分のことだけではなく全体も見なくてはならない重責を担うことになりましたが
大宮というチームは、負けて調子が悪くなってもみんながバラバラになるわけでもない。変に自分がまとめようとしなくても、ある程度まとまりがいいチームなので、「まとめよう、まとめよう」という感じは今のところはそんなに心配はしていないですね。ただ、これが本当に悪くなって、もっとチームがバラバラになるようだったら、もっと考えないといけないな、とは思っています。
キャプテンはプレーを見るだけでみんなを頑張らせてくれる
キャプテンマークを腕に巻いて一番先頭を歩いてピッチに入るなんて、サッカーを続けていてもなかなか味わえないことですよね。ましてやJリーグ、J1のチームのキャプテンを試合で任せられたというのは、このキャプテンマークにはすごい重みがあるんだな、と自分でも感じていました。FC東京戦では、その重みにつぶされてしまった、というのもありましたけど(笑)。
ただ、下部組織での育成の時から人間的にいろいろと教えられて、それでキャプテンになるのだったら、下部組織の年代にはすごく意味があることかもしれない。おれはそうではないので、今おれがキャプテンや副キャプテンになることは、あんまり意味はないかな、と思っていますよ(笑)。
――そんなに肩ひじを張っているわけではない、ということですか?
そうですね。あまりないですね。
――金澤選手が抱くキャプテンというものに対するイメージは何でしょうか?
プレーでも声でも、見ているだけでみんなを頑張らせるパワーを感じさせてくれる人がキャプテンになったら、すごくいいんじゃないかな、と思いますね。
――それに照らして、現在の自分はどうですか?
どうなんですかね。みんなにどう映っているのか分からないです。主税さんは声も出してくれるし、プレーでもすごく頑張っているし、自分たちが「もっとやらないと」と感じさせてくれる人だと思う。主税さんみたいに経験のある人があれだけ泥臭く頑張ってくれたら、若手も、自分自身も感じる部分がたくさんあるので、そういうキャプテンが僕はいいな、と思っています。
「プレーを見るだけでみんなを頑張らせてくれる」――金澤は藤本を例えとして挙げたが、今では金澤自身がそんなプレーヤーであることは、試合を見ている者なら誰でも感じていることだ。金澤自身が「頼もしい」と振り返った先代のミスターアルディージャ、奥野誠一郎に続く系譜は、間もなくこの若者に受け継がれようとしている。
<了>
■金澤慎/Kanazawa Shin
1983年9月9日生まれ。埼玉県大宮市(現さいたま市)出身。地元・大宮の下部組織で育ち、2002年にトップチーム昇格。攻撃的な中盤の選手として活躍し、04年のJ1昇格に大きく貢献した。06年に東京Vに期限付き移籍。2シーズンを経て08年に大宮に復帰すると、チームの中心選手へと成長を遂げ、現在はボランチとして中盤を支える。