ピッチングを覚えた法大のエース・二神が完封=第58回

矢島彩

ネット裏に集結した日米プロ球団のスカウト

【法大 3−0 白鴎大】

 法大(東京六大学)が14年ぶりの優勝を目指して好発進――。前日、完ぺきな勝ち方で勢いに乗る白鴎大を3対0で下した。今春のリーグ戦で4勝を挙げて初のベストナインを獲得したエース・二神一人投手(4年=高知高)が無四球完封という貫録のピッチングを見せた。
「リーグ戦で序盤に捕まる悪いくせがあった。だから、最初の1巡目はいつも以上に気をつけた」
 初回。2人の走者を背負い、4番・塚田正義内野手(2年=古河一高)に5球連続ファウルで粘られた。積極的に振ってくる白鴎大の粘りは想像以上だった。
「でも、勝たなければ、次はない」
 負けたら終わりのトーナメント。その怖さが、逆に自らを奮い立たせた。最速148キロをマークし、最後まで丁寧に投げた。カウント3ボールになったのは9回の1度だけ。ネット裏に集結した日米プロ球団のスカウトもかたずをのんで見守っていた。

エースとして日本一へフル回転誓う

 無四球完封は今シーズン4度目。「自分のピッチングができている証拠」と笑った。女房役の石川修平主将(4年=小山西高)も、二神投手の成長を喜んだ。
「ことしは去年よりもピンチになったとき、ムキにならなくなった。(真っ直ぐで)力勝負をしたいと言っていたが、チームのことを考えるようになった。ピッチングを覚えてくれてうれしい」

 法大は同大会、最多優勝回数(7回)を誇る。
「もちろん知っています。僕も連投が続くというのが頭にあります。目指しているところはもっと上です」(二神)
 リーグ戦2勝の加賀美希昇投手(3年=桐蔭学園高)と150キロ右腕・武内久士投手(4年=徳島城東高)が今大会はベンチを外れた。二神投手は「今いる戦力で戦うしかない。自分は任された役割を果たすだけ」と、きっぱり。エースのフル回転が日本一を呼び込む。

<この項は矢島彩>
◇ ◇

■桐蔭横浜大、創部4年目の8強進出ならず(08.06.10)

 創部4年目で8強進出の快挙はならなかった。10日、東京ドームで近大(関西学生)と2回戦を戦った桐蔭横浜大(神奈川大学)は、1対2で惜敗。1点差ビハインドで迎えた最終回も走者を三塁まで進めるなど、昨年ベスト4の伝統校を追い詰めたがあと一歩届かなかった。

 臆する気持ちはまったくなかった。相手を上回る8安打を放った(近大は5安打)。主将の森田祐基(4年=桐蔭学園高)は、「強いチームとやっても、差は感じなかった」と印象を語る。それだけに、「相手は関係なかった。自分たちに負けた感じです」と近大の変則左腕・中後悠平(2年=近代新宮高)を崩しきれなかったことを悔やんだ。齊藤博久監督も「うまくいけば勝てるかな、と思ったんですが……。決定打が出ないのはリーグ戦から。課題を解消できなかった」と唇をかんだ。

 そんな中、気を吐いたのが3番の津久井夏生(2年=関東一高)だ。「デッドボールになってもいいと腹をくくって、ボールをつぶすつもりで打ちに行った」と気合の打撃で2安打をマークした。1回戦の大教大戦に続く2安打に「調子が良くなかったけど、開き直ったのがかえって良かった」と笑顔を見せた。
 打撃面を今後の課題に挙げた齊藤監督は、その中心になる選手の1人に津久井を指名。津久井も「もっとこれから振り込んで、(勝負の)際をものにできるようにしたい」と成長を誓った。

 初めての全国大会は、2試合とも東京ドームだった。「神宮でやりたかった。その気持ちは全員が持っていると思う。創部4年目、もっと桐蔭横浜の名前を知っもらうためにも、全国に帰って来たい」と森田が言えば、津久井も「秋こそ神宮でやりたい」と新たな闘志を燃やしていた。

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著者プロフィール

 1984年、神奈川県出身。『アマチュア野球』、『輝け甲子園の星』『カレッジベースヒーローズ』(以上、日刊スポーツ出版社)や『ホームラン』(廣済堂出版)などで雑誌編集や取材に携わる。また、日刊スポーツコム内でアマチュア野球のブログを配信中

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