ウオッカ六冠V! 異次元豪脚に8万人が酔った=安田記念

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末脚爆発! 一瞬にしてディープスカイを差し切る

ウオッカの強さばかりが際立つレースだった 【スポーツナビ】

 「もちろん、ヒヤヒヤしました。牝馬は1頭だけだったので、オジサンだらけの満員電車の中で出たくても出れないみたいな(笑)。今回はイジメられましたね」

 ユタカらしいジョークで最後の攻防を振り返ったが、実際のレースは残り1ハロンとなっても依然包まれたまま。そこから巧みなハンドリングで縫うように馬群をすり抜けると、残り100メートルを切って、ようやく前を行くディープスカイに襲い掛かる。
 と、次の瞬間にはすでにかわしていた。叩き合いにもならない、一瞬の出来事。絶体絶命だったとは思えない4分の3馬身差の完勝だ。終わってみれば、すべてウオッカの強さを引き立たせるための演出だったのかと思わずにはいられない。そんなレースだった。

 「僕の騎乗は決して褒められたものではないですし、苦しいレースでした。それでも勝てる彼女の強さというものを再認識しましたね」

宝塚記念へ前向き「色んなことに挑戦したい」

宝塚記念へも前向き――ルドルフ、ディープらに並ぶ“七冠”目指し、初夏の仁川参戦となるか 【スポーツナビ】

 衰えを覚悟しなければならない5歳を迎えてなお、これまでの活躍すらもかすむ輝きを放つ最強女傑。武豊もこの衰え知らずの成長には舌を巻くばかりだ。
 「随分と大人になってきたと思いますし、いろんな意味で完成されてきたと思います。でも、もっと良くなっていくかもしれないですね」
 レース前半の折り合いに不安がなくなり、競走馬として絶頂期を迎えた今、期待されるのは6月28日に阪神競馬場2200メートルで開催される上半期のグランプリ・GI宝塚記念への出走。3歳で挑戦した2年前は雨の道悪と折り合いで自滅し、8着惨敗。だが、今のウオッカなら距離延長も含めすべてを克服できるだろう。角居調教師は今後についてこう語った。
 「まだレースが終わったばかりですし、オーナーとも何も話していないので今後の相談次第になりますが、私としては色んなことに挑戦したい気持ちがあります。それも、オーナーの意見が第一になりますが」

 JRAに頼まれても出ません、と即答した昨年の安田記念後に比べれば明らかに宝塚記念出走へ前向き。武豊も「出るとなれば馬の状態がいいからでしょうし、ここ2走の走りを見てもらえれば、僕も大きな期待を持って乗ることができます。乗りたい気持ちは強いですね」と“宝塚でも”の手応えは十分だ。

 ウオッカ最強女傑ストーリーは静かにフィナーレに向かうのではなく、むしろ今からがクライマックス。シンボリルドルフ、テイエムオペラオー、ディープインパクトらに並ぶ史上最多GI7勝目を目指し、いざ初夏の仁川に参戦となるか。

「あれで負けたら仕方ない」四位脱帽のディープスカイ2着

「あれで負けたら仕方ない」……ウオッカの強さに四位は脱帽するしかなかった 【スポーツナビ】

 力の差を見せつけられた敗戦だった。
 「ユタカさんが窮屈になりそうだったんで、こっちはあいてるスペースがあるうちにそこに入った。最後抜け出して『さあ、あとひと踏ん張り』ってところだったんだけど、アッサリ来られちゃったからね」
 四位が悔しさをにじませながら振り返った。最後の直線、スムースに馬群を割れた相棒ディープスカイに対し、ライバル・ウオッカは包まれたまま。残り1ハロンを切って先頭に踊り出る必勝パターンに持ち込めた。それでも、ウオッカの豪脚のもとに一刀両断。完敗だった。
 「ユタカさんも言っていたんだけど、向こうは残り100メートルくらいしか仕掛けていない。まともだったら5、6馬身は離されていたかもしれないね」

 自信を持って挑んだダービー馬同士の“最強対決”。結果はショックの大きい敗戦に終わったが、四位は下ばかりを向いているわけではない。次の目標、上半期の総決算GI宝塚記念へと視線を向けている。
 「きょうは体重がプラス14キロになって、次の宝塚記念を考えると体もこれくらいだろうし。きょうの負けは負け。あれで負けたら仕方ない。また、次に向けて頑張ります」
 このままウオッカの引き立て役のままでは終われない。グランプリこそは何としてでも――。

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