好投手がそろった大会は光星学院高が制す=2008年秋季東北大会リポート

松倉雄太

最速146キロ右腕・下沖が本領発揮

 昨秋の東北大会の主会場は宮城県名取市の愛島球場。交通の便が良くない同球場にもかかわらず、全国屈指とも言える好投手がそろった同大会を観戦しようと、毎日入場を制限するほどの高校野球ファンが詰めかけた。
 優勝した光星学院高(青森)のエース・下沖は最速146キロを誇る速球派右腕だ。夏場の故障の影響で県大会までは調子が上がらなかったが、東北大会に入って本領を発揮。聖光学院高(福島)、花巻東高(岩手)と東北地区のライバル校を撃破した。下沖が不調の間、チームを支えたのは左腕の六埜(ろくの)。スリークオーターからのキレのいいスライダーを武器に、東北大会では決勝をはじめ、3試合で先発を任された。
 打線の軸は4番の小野寺。181センチ97キロの体格で、パワーが自慢のスラッガーだ。だが、一番の山だった聖光学院高戦でほおに死球を受けて退場。それでも翌日の準決勝では打撃時にフェイスガードをつけて出場するガッツを見せた。4番のガッツに勇気をもらったチームは、準決勝で花巻東高の左腕・菊池に11安打を浴びせ快勝。決勝も一関学院高(岩手)を圧倒し、文句なしの東北チャンピオンになった。

一関学院高が準決勝の壁越える

 2枠目には準優勝の一関学院高が有力だ。昨春のセンバツに希望枠で出場した一関学院高は、飯田、阿部、菊地の3枚看板が残った。東北大会では菊地が不調で力を出し切れなかったが、飯田、阿部の2投手が踏ん張り、壁だった準決勝を乗り越えた。
 本来なら準優勝校の一関学院高が選出されるが、同じ岩手の花巻東を推す声もある。全国でもナンバーワンの左腕との声が大きい菊池を擁する花巻東は、東北大会で準決勝に進出。県大会決勝では花巻東が一関学院に圧勝していることが、難航との憶測を呼んでいる。選考委員会でどのような議論がなされるか注目したい。

 もう一つの4強である利府高(宮城)は21世紀枠の候補になった。県大会で仙台育英高を破り初優勝。東北大会でも日大東北高(福島)、酒田南高(山形)といった甲子園常連の私立校を破っての4強進出に、地元の期待も高まっている。
 4強以外でも、初戦で延長12回を投げ合った聖光学院高の横山と仙台育英高の穂積、青森山田高(青森)戦で5回1死までノーヒットピッチングを見せた明桜高(秋田)の二木といった投手が大会を盛り上げた。夏にどんな姿を見せてくれるか楽しみにしたい。

<了>
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著者プロフィール

 1980年12月5日生まれ。小学校時代はリトルリーグでプレーしていたが、中学時代からは野球観戦に没頭。極端な言い方をすれば、野球を観戦するためならば、どこへでも行ってしまう。2004年からスポーツライターとなり、野球雑誌『ホームラン』などに寄稿している。また、2005年からはABCテレビ『速報甲子園への道』のリサーチャーとしても活動中。

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