錦織圭、2009年躍進の鍵はスタートダッシュにあり!
2月に消えるポイントを、いかに穴埋めできるか
全豪オープンでの活躍が、新シーズン躍進の鍵を握る 【Photo:Getty Images/AFLO】
そのことを考察する上で、もう一つ知っておくべきランキングのルールがある。テニスでは、出場した大会ごとに成績に応じたポイントが獲得できるが、そのポイントは一年経つと自動的に消失する、ということだ。つまり、前年度良い成績を上げた大会で翌年成績が残せないと、往々にしてランキングは下がってしまう。
先述したとおり、錦織は来年1月開催の全豪オープンには出場するだろう。その全豪オープンの次に控える大きな大会は、3月に米国で開催されるマスターズ2大会と、4月に欧州で開催される、これまたマスターズ2大会ということになる。このうち、米国開催の2大会は選手枠が96なので、現状維持で十分に出場圏内。問題は、選手枠が56の欧州開催2大会だ。もし錦織がこれら2大会にも出場できれば、来年の前半戦で大きくランキングを上げられる可能性もある。
全豪オープンの成績が大きな意味を持つ
そうなると、来年早々の全豪オープンの成績が、シーズン前半戦を占う上でかなり大きな位置を占めるはずだ。できることなら、この大会で4回戦(ベスト16)まで進んでおきたいところ。そうして現在のランキングを保ちながら3月のマスターズ2大会に出場し、それぞれここで3回戦か4回戦まで勝ち進めば、4月のマスターズ2大会への出場圏内……すなわち50位以内が見えてくるだろう。
一般的にテニス選手のランキング上昇カーブは、時間の経過と正比例ではない。一つの大会や時期を契機に大きく上昇し、その後横ばい状態が続くが、また次の機会で大幅に上がる。逆に言えば、一度その分水嶺(れい)を逃してしまうと、次のチャンスまで現状維持のまま待たねばならず、場合によっては、大きくランキングを下げてしまうこともある。錦織にとって来年のターニングポイントとなり得る要素は、まずは4月、選手枠56の欧州開催のマスターズ2大会に出られるか否か。そしてその成否を分ける大きな試練は、1〜2月に訪れる。
「テニスのシーズンは長いから」なんて悠長なことは、意外と言っていられない。来年も錦織圭の大躍進が見たければ、まずは序盤のスタートダッシュを、刮(かつ)目して見守られよ。
<了>