アドマイヤムーン、雨を切り裂く豪脚! 国内GI初制覇だ=宝塚記念 ダービー馬ウオッカ8着に沈む
豪脚を繰り出したアドマイヤムーンが宝塚記念を制覇! 鞍上の岩田は歓喜のガッツポーズ 【スポーツナビ】
一方、牝馬として64年ぶりに今年の日本ダービーを制し、1番人気に支持されたウオッカ(牝3=角居)は、古馬の厚い壁にはね返され8着に敗れた。
殊勲の岩田「レースが終わった後も足がぶるっていた」
激しい一騎打ちの末、最後はアドマイヤムーン(右から2頭目)がメイショウサムソン(左)をねじ伏せた 【スポーツナビ】
「レース中は落ち着いて乗れましたけど、レース前とかは自分自身が緊張していましたし、レースが終わった後も足がぶるってました」
アドマイヤムーンには今回がテン乗り(初騎乗)で、しかも、日本競馬が誇る天才・武豊からの乗り替わり。また、同馬は今年3月にドバイで開催された国際GIドバイ・デューティフリーを快勝しており、実力は国内トップの1頭だ。いくら初騎乗といえども、絶対に下手は打てない。そんな重圧の中、岩田は見事に最高の結果で応えてみせた。
「好位で、という指示がありましたけど、レースが激しくなりそうだなと思って、折り合いをつけながら進めていたら自然とあの位置になりました。メイショウサムソンが目の前にいましたし、すごく眺めが良かったですね」
道中は真ん中よりも後方、後ろから数えて6番目の位置。岩田の柔軟な思考と直感が選択したこのポジションは、確かに絶好の位置取りだった。前半1000メートルの通過が57秒5のハイペースだったということ、そしてすぐ目の前にメイショウサムソン、ダイワメジャーらのライバルがいたこと。すべてがアドマイヤムーンの追い風となっていた。
「折り合いはついていましたし、すごく乗りやすい馬だなと思いました。3、4コーナーでの手応えが良かったですし、追い出してからの反応もすごく良かったですね」
最後の直線は迷うことなく馬場状態のいい外へ。後は、先に抜け出していたメイショウサムソン目掛け、ためていた末脚を爆発させるだけだった。
「瞬発力のある馬ですし、並んでからも(サムソンに)負けない脚を持っていると思って一生懸命追いました。ゴールを過ぎた後は『勝ったやろうなあ』って思って……(笑)、すごくうれしかったですね」
秋は天皇賞、暮れは香港でリベンジ!
秋には日本&海外2度目のGI制覇を目指す 【スポーツナビ】
「JRAのジョッキーになってから初めてGIを勝つことができて、本当に感謝しています」
兵庫ナンバーワンジョッキーとして鳴り物入りで“再デビュー”を果たした昨年は、いきなり126勝を挙げ全国リーディング3位にランク。今年はさらに勢いを増し、6月24日終了時点で82勝は武豊、安藤勝己らを抑えて堂々の全国トップだ。
ただ、GIでの活躍となると成績、インパクトともに欠けていたのも事実。ともすれば“大舞台に弱い騎手”というレッテルが貼られかねない中、騎手としての真価が問われる大舞台での今回の勝利。岩田にとっては自信になっただろう。
「これからのGI戦線、馬もそうですが、僕も目立てるように頑張ります!」
一流から超一流へ、33歳・岩田が大きく走り始める。
また、岩田に負けない満面の笑顔を見せていたのは、同馬を管理する松田博調教師だ。
「最後はそりゃあ、『勝ってくれー』って思って見ていたよ。秋の目標は天皇賞(秋)。暮れは香港に行きますよ。去年のリベンジ(06年香港カップ2着)といきたいですね」
国内&海外2度目のGI制覇を目指し、この秋はアドマイヤムーンの豪脚にますます磨きがかかるに違いない。